銀髪の好奇心、福重小学校にて
「アルケオン 第二章 感情の色を探して」
彩葉たちの活躍から、十年――。
世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。
日本・大阪府大阪市。
その街に、一人の守護者が存在していた。
イラストから生まれた守護者――ユズ。
絵を描くことを愛する彼女は、
しかしひとつの欠落を抱えていた。
それは――
“色で感情を表現できない”こと。
どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。
色が、ただの色にしか見えないのだ。
そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。
苦しみの上位想霊――
感情体「サファリング」。
感情から生まれる存在である彼女は、
ユズの“欠落”に興味を抱く。
そしてユズもまた、
“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。
タブレット端末を手に、
二人は旅に出る。
喜び、怒り、悲しみ、愛――
さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。
これは、色を知らない守護者が、
“感情の色”を探し出す物語。
そして――
世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。
福岡市西区の街並みを抜け、ユズたちは川沿いの道を歩いていた。
ユズは目を輝かせ、川の大きさに感動している。
「わぁ〜!おっきな川……キュリオシティさんはどこにいるんだろう?」
プライドが考え込むように唇を噛む。
「う〜ん、やっぱりあの子の生まれ故郷……“福重小学校”よね」
マーダラスは肩をすくめて言う。
「ま、それが妥当ね」
サファリングも頷く。
「ん、その可能性大……」
学校の門をくぐると、校庭の奥で小さな気配を感じた。
銀色の髪が日の光に反射して、まるで光の輪のように揺れている。
「……あの人?」
ユズが指差す先には、白衣を着た少女が立っていた。頭上には円盤型の装置、その中央には時計が埋め込まれている。
「やっほー!君たち、誰〜?」
少女は元気よく手を振り、少し男っぽい口調で話しかけてくる。
「私、キュリオシティ!好奇心の感情体だよ!」
ユズは小さく一歩前に出る。
「はじめまして!イラストの守護者、ユズです。……キュリオシティさん、ですよね?」
キュリオシティはにこりと笑い、円盤を少し傾ける。
「そうそう、そうだよー!よくぞ来たね、君たち!」
プライドが脇から補足する。
「この子は、好奇心の上位想霊感情体よ」
マーダラスは冷静に観察しながら小さく頷く。
「ふむ、活発そうね」
キュリオシティはサファリングに目を向けると、少しにやりと笑う。
「おや、サファリング。生まれた頃に会ったよね?」
サファリングは軽く顔をしかめる。
「ん……、あの頃の話は覚えてる……正直、少し苦手だった」
キュリオシティは肩をすくめて笑う。
「へへ、私もあの時は色々と冒険してたからね〜。でも覚えててくれて嬉しいよ!」
ユズは少しドキドキしながら、周囲を見回す。
「……キュリオシティさん、今日は会えてよかったです!」
銀髪の少女はにこっと笑い、軽やかに手を振る。
「ふふ、私もだよ!さあ、これからいっぱい教えてあげるから、楽しみにしててね!」
川風が吹き抜け、校庭に小さな笑い声が響く。
好奇心の化身と、新たな仲間たちの出会いは、ここから始まった。
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次回もお楽しみに




