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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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24/60

揺れる水面、次なる感情へ

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

神奈川県の夜。


 


ユズは、フィアーの感情石に触れ——


 


“恐怖”という感情を知った。


 


 


そして——


 


フィアーと別れ。


 


 


新たに、自負の上位想霊感情体プライドが仲間に加わった。


 


 


静かな夜道を、三人は歩く。


 


 


ユズは、少しだけ考え込むようにしてから口を開いた。


 


 


「……次は、どこに行くんですか?」


 


 


サファリングは、少しだけ空を見上げる。


 


 


「……ん、次は——千葉県」


 


 


「千葉県……!」


 


 


ユズの声が、少し明るくなる。


 


 


すると、隣を歩いていたプライドが楽しそうに口を挟んだ。


 


 


「千葉にはね、“慈しみ”の上位想霊感情体がいるわ」


 


 


「慈しみ……」


 


 


ユズは、その言葉をゆっくりと繰り返す。


 


 


「名前は“コンパッション”」


 


 


プライドは少しだけ微笑む。


 


 


「優しくて、包み込むような子よ」


 


 


サファリングが補足する。


 


 


「ん……人懐っこくて、誰にでも寄り添う……でも、それだけじゃない」


 


 


「それだけじゃない……?」


 


 


「……慈しみは、時に重くなる」


 


 


その言葉に、ユズは少しだけ首を傾げる。


 


 


「……会えばわかる」


 


 


サファリングはそれ以上は語らなかった。


 


 


 


そして——


 


 


場面は変わる。


 


 


港。


 


 


夜の海は静かに揺れ、街の光を映している。


 


 


「船……ですか?」


 


 


ユズは少し驚いたように言う。


 


 


「ん、今回はこれで行く」


 


 


「電車じゃないんですね」


 


 


プライドが肩をすくめる。


 


 


「たまには違う移動もいいんじゃない?」


 


 


ユズは少しワクワクした表情になる。


 


 


「はい!」


 


 


三人は船へと乗り込む。


 


 


 


——出航。


 


 


ゆっくりと、船は港を離れていく。


 


 


波の音。


 


 


風の音。


 


 


そして、遠ざかる街の光。


 


 


ユズは手すりに寄りかかりながら、海を見つめていた。


 


 


「……綺麗ですね」


 


 


「ん……」


 


 


サファリングも、静かに隣に立つ。


 


 


プライドは後ろから二人を見て、くすりと笑った。


 


 


「旅って感じね」


 


 


 


しばらくの静かな時間。


 


 


やがて——


 


 


「……見えてきた」


 


 


サファリングの一言。


 


 


ユズは顔を上げる。


 


 


遠くに、陸地の影。


 


 


灯りがぽつぽつと見える。


 


 


「……あれが」


 


 


「千葉県」


 


 


船はゆっくりと進み——


 


 


やがて港へと近づいていく。


 


 


新たな地。


 


 


新たな感情。


 


 


そして——


 


 


新たな出会い。


 


 


 


船が岸に着く。


 


 


ユズは一歩、地面へと降り立った。


 


 


「……ここが、千葉県」


 


 


その瞳には——


 


 


新しい物語への、期待が宿っていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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