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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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22/60

恐怖が嗤う夜

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

神奈川県の夜。


 


ユズとサファリングはプライドと再会し——


 


そして、“恐怖”フィアーと出会った。


 


 


だが、その静かな邂逅は——


 


突如として現れた異形によって、打ち破られる。


 


 


イエティが、一歩前へ出た。


 


 


「ナラバ、力ズクデ」


 


 


サファリングは、ため息混じりに呟く。


 


 


「……私たちと戦う気?……無謀」


 


 


ゴートマンは低く笑う。


 


 


「それはどうかな……」


 


 


「デハ行クゾ」


 


 


空気が凍る。


 


 


サファリングが一歩前に出る。


 


 


「ユズは下がってて」


 


 


「は、はい!」


 


 


次の瞬間——


 


 


「絶対零度ノ伊吹!!」


 


 


イエティの吐息が、白い嵐となって襲いかかる。


 


 


だが——


 


 


「ん、通用しない」


 


 


サファリングは冷静だった。


 


 


両袖からムチを取り出し——


 


 


それを地面へと叩きつける。


 


 


ドンッ!!


 


 


巻き上がる土埃が、氷の嵐を遮る。


 


 


「ナニ!?」


 


 


ゴートマンが間髪入れずに突撃する。


 


 


「ならば!!!ゴートマン・螺旋角!!!」


 


 


「ッ!?」


 


 


「サファリングさん!」


 


 


凄まじい速度。


 


 


サファリングは迎撃ではなく——回避に徹する。


 


 


「ん、問題ない」


 


 


だが、その表情はわずかに鋭くなる。


 


 


“速い”。


 


 


純粋な突進力。


 


 


「まったく!」


 


 


その時——


 


 


プライドが一歩前へ出た。


 


 


「ナンダ!?」


 


 


ゴートマンが足を止める。


 


 


(空気が……)


 


 


異様な違和感。


 


 


プライドは静かに微笑んだ。


 


 


「……自負。それは慢心、それは幻惑……」


 


 


その瞳が、闇を帯びる。


 


 


「さぁ!あなたたちの自負を見せて!!」


 


 


「プライド・オブ・ダークネス!!!」


 


 


一瞬で、視界が塗り潰される。


 


 


「何だこれは!?前が見えん!!」


 


 


「ん、ありがとうプライド……」


 


 


サファリングが、ゆっくりとムチを構える。


 


 


「拷問・苦虐のムチ『100連』」


 


 


——バシィィィィィッ!!!!


 


 


連続する打撃。


 


 


逃げ場のない嵐。


 


 


「ギャァァァァァァァ!!!???」


 


 


イエティとゴートマンの絶叫が夜に響く。


 


 


やがて——


 


 


「ふぅ……」


 


 


サファリングが息を吐く。


 


 


「サファリングさんも、プライドさんも、すごいです!」


 


 


ユズは思わず声を上げる。


 


 


ゴートマンは地面に膝をつきながら呻く。


 


 


「く……くそ……」


 


 


サファリングが近づく。


 


 


「答えて、何が目的?」


 


 


「そ、それはさっき……」


 


 


「そうじゃな……」


 


 


サファリングの声が、わずかに低くなる。


 


 


「……わかった」


 


 


「サファリングさん?」


 


 


その瞬間——


 


 


「な、何だ?……ッ!?こ、こいっ——」


 


 


 


気づけば——


 


 


そこに、フィアーが立っていた。


 


 


いつの間にか。


 


 


まるで最初からそこにいたかのように。


 


 


(あなた、恐怖したわね……)


 


 


「っ……!?頭の中に声が!?」


 


 


(あなたの恐怖……もっと見せて♡)


 


 


ゴートマンの顔が歪む。


 


 


「ぁ……あ……ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」


 


 


次の瞬間——


 


 


グシャッ!!


 


 


音だけが、響いた。


 


 


フィアーは、無表情のまま——


 


 


その小さな手で、ゴートマンの頭を握り潰していた。


 


 


(さ〜て……ふふっ♡最後の一人……)


 


 


イエティは——


 


 


「ッ……ッ……ッ……」


 


 


声が出ない。


 


 


ただ、震えている。


 


 


(可哀想に……こんなに恐怖して……)


 


 


フィアーが、ゆっくりと近づく。


 


 


(今すぐ、楽にして——あ♡げ♡る♡)


 


 


——グシャァ!!!


 


 


すべてが、一瞬だった。


 


 


静寂。


 


 


夜の音だけが戻る。


 


 


 


「……えっと、何が起きたんですか?」


 


 


ユズの声。


 


 


プライドが、そっとその目を覆っていた。


 


 


「見ないほうがいいわ……」


 


 


サファリングも静かに頷く。


 


 


「ん、そのほうがいい」


 


 


「はあ……?」


 


 


何も見えないまま。


 


 


ユズはただ——


 


 


この世界の“もう一つの側面”があることだけを、強く感じていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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