表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/105

お前は何ものだ?

ボクは愛されていたのだろうか。

だってあの遺書は、

たしかに


鹿島の筆跡だった。


なのに。







あたりが白んでいる。

眩しい。


白みが薄れて


ボクは今自分がどこにいるかを

認識しはじめた。




白い天井

鉄格子が嵌められた窓からは

春の暖かい日差しが差し込む。



あの桜が咲くような暖かな季節。

何度目の春だろうか。



ボクはしばらくこの部屋に閉じ込められていた。




コンコン。



鍵を開ける音が部屋に鳴り響く。



『こんにちは。』


1人の女性が入ってきた。

そいつはかつてのボクの教え子だ。



『ケイちゃん。今日も検査よ。』


ボクは拘束具を外される。




『ああああああああああああっ!』



掴みかかろうとする。


その刹那。




ぶんっ!



『あ、、が、、、』



腹に食い込む警棒。

美咲の周りには屈強な男がいて、彼女を守っていた。



学習しないのだ。

いくらこいつに掴みかかっても無駄なことを。


薄れゆく意識の中で、ボクは引きずられて

今日も検査される。



もうボクの中に僕はいないというのにね。














『ねえ、美咲。そろそろまずいんじゃないかしら?』


私はペンをカチカチ言わせて、貧乏ゆすりをしていた。


母に言われずともわかっている。

いや、確かに。

確かに、鳴沢ケイ、現鹿島ケイは二重人格だったはずだ。



父がケイちゃんを花瓶で殴ってからだ。

ケイちゃんの中の鹿島くんの人格は消え去ってしまった。



そのことはいい。

問題は何もない人を病院に何年も検査と言って拘束していることだ。


ケイちゃんの刑務は猶予を持たされている。

母の権限でそうしてもらった。









『緊急ニュースです。伊豆沖ならびに渋谷で起きた大量殺人事件の容疑者が逮捕されました。

鹿島ケイ、自称経営者です。警察の調べによるとーーーー尚、鹿島容疑者は精神が不安定でわーーー疑いもあり、現在警察病院にーーーーー』




ここで実績を上げねば私はこの病院を終われるだろう。しかしここで、ケイちゃんが二重人格だと判明させれば英雄だ。



いや、そうなのか。

怪しい缶ビール型の麻薬を使い、大量殺人を仕掛けた犯罪者だ。


世間としては、然るべき罰を下すのが正統な印象ではないだろうか。




だから、たぶん私の好奇心だ。

だってあの鹿島くんの人格を持っていたのだぞ?



だって、鹿島くんは小学生の頃からとても面白かった。いや、もっと面白かったのは彼とケイちゃんが高校で再開したあの日からだ。



私はずっと鹿島くんだけど、鹿島くんじゃないものを観察し続けてきたのだから。





話は高校の入学式の日に遡る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ