人体実験
翌日。
母の元へ向かう。
母は今日は、警視庁に出勤していた。
親族が到底入ることなんて出来ない為、
近くの空き部屋をレンタルして待ち合わせしていた。
『あら、美咲。早いわね。』
母はいつもどおり唇を湿らせて、なぞるようなてつきでドアノブを捻りながらこちらを向いた。
『前園が出勤していないみたいなのよ。美咲、何か知ってる?』
『ああ。彼は私のものだから。』
『あれは、私のものよ。まあいいわ。代替品はいくらでもいるから。』
母は葉巻に火を付ける。
『母さん、ここ禁煙。』
『あら、失礼。』
レンタルスペースの簡易的な椅子に座り込み、母はほおづえをつきながらこちらを見る。
今日も胸元がぱっくり開いた服を着ている。
生唾を飲み込んだ。
『で、美咲。何かわかったの?私のモノを犠牲にしたからにはそれなりの情報を掴んでないと、怒るわよ?』
『大丈夫だよ、母さん。』
私は封筒を差し出す。
母は中身を漁る。
数枚の写真とUSBが入っている。
母は持参のノートパソコンを立ち上げ、
USBの中身を見る。
沈黙が続く。
PCから聞こえてくる音だけがこの空間を支配する。
『はあ・・・美咲。相変わらず鋭いわね。精神科医なんて目指すより、警察を目指して欲しいものよ。』
母は頭を抱えている。
『でも、母さん?』
私は母さんを後ろから抱きしめた。
『流石に人を実験に使うような人間が警察になれるかしら??』
母は目線だけこちらに送る。
『人体実験をするような人間が医師を目指しているんだから問題なくて?』
『ふふふ。』
映像を見る。
『前園、ビールだけだと喉乾かない?』
『ひやあああああっ!!もっともっと、飲ませてくだせええっ!はあっ、美味い美味い美味い!!』
私の部屋は緑の缶ビールの空き缶だらけ。
裸で縛られている母の部下。
缶ビールを飲まされて狂っている警察官の姿が映されていた。




