鹿島ケイの正体
『ねえ、ナルちゃん、あれ僕を見殺しにした用務員さんなんだあ。』
『ボクは悲しいよ、そんな人が学校にいたなんてね。』
用務員さんの上にまたがる、娘の美咲。
その子はかつてボクの生徒で、今回の伊豆沖で殺し損ねた女だ。
美咲は実の父の上で嬌声を上げている。
『美咲!やめるんだっ!』
『ん、何よ、父さん。一度私を抱いたくせに。』
美咲は妖艶な笑みを浮かべながら体を揺すっている。用務員は、縛られていて身動きが取れない。
『やあ、こんにちは。』
『な、き貴様っ!酒屋の!』
用務員は睨みつけながらも、何か快楽に抗うような苦悶の表情を浮かべている。
『ボク、用務員さんには残念だなあ。やっぱりクズだったね。』
『な、なんで。』
『ボクの鹿島を傷つけた罰だよ?ねえ、鹿島?』
『うん、僕はあの時助かったはずだから。』
『な、んでその事をお前がっ!』
スマホを出す。
再生ボタンを押すと、美咲と用務員さんのあの桜の木の下でのやり取りが聞こえてくる。
『用務員さん?ボクはね、鹿島の恋人だよ。恋人を傷つけるやつは許さないさ。』
『ふざけ、、、』
用務員の体が震えた。
『お父さん、また私の体で果てたんだ。最悪。』
美咲は妖艶な笑みを浮かべながら、用務員に唇を重ねる。粘液質をかき混ぜるような音が、室内に響き渡る。
嫌がりながらも、実の娘をまた抱いた最低の男。
ボクの恋人を傷つけた憎らしい男。
『み、美咲は関係ないだろ??』
『あるよ。だってさ、僕をいじめた奴らを放置していたじゃあないか。』
鹿島は動かない体だが、思い切り怒気を纏うように用務員を睨む。
『は?いじめられていたのは、鹿島くんじゃないか?』
『だから、それは僕だって。』
用務員の顔に唾を吐く。
『み、美咲こいつは何を、、、』
『お父さん、2回目。』
ベッドが軋み始める。
美咲はまた嬌声をあげはじめた。
『狂って、、る。だって、、、ここには。』
『はあ?聞こえない?』
用務員は体をばたつかせる。
『きゃっ!』
美咲はベッドから転げ落ちる。
用務員は縄を自分の力で解いた。
『お前は、誰だ!?鹿島ケイは死んだんだ!ここに鹿島はいない!この部屋にいるのは!』
用務員はベッドのそばにあった花瓶を振り上げながら、ボクに近づく。
ボクは目を見開く。
聞きたくない。
花瓶はボクの頭に振り下ろされた。
『この部屋にいるのは、私と美咲と、酒屋の店主、アンタだけじゃないか!なんだ、その蟹のぬいぐるみは!それが鹿島?狂ってる!死ねっ、死ねっ!死んでしまえっ!!!』




