とらわれる。
夕陽を背にスーパーへの続く散ってしまった桜道を歩く。
『明日は、美咲のお見舞いに行かないとな。』
まだ意識は戻ってないのだろうか。
今すぐにでも行くべきなのだろうか。
いや、しかし腹が減っている。
腹が減っては何もできない。
ふらふらと歩いていくと夕陽が映された川を見る。
川が濁っておりよく見えない。
川底が全く見えない。酔っ払っているからだろうか、焦点もおぼつかない。
目を進路の方に移す。
『お隣さんじゃないですか。』
『やあ・・・用務さん。』
お隣さんは元々毛むくじゃらなので、街中にいたら非常に目立つ風貌だ。
その上顔が真っ赤で、目が血ばしっている。
『ずっと飲んでたんですか?』
『・・・・。あれどこでもらったんだい?』
『あれとは?』
お隣さんは一気に距離を詰める。
私の襟首を両手で掴む。
『緑のビールだよっ!どこで売ってる!言えっ!!』
こめかみに青筋を立てながら至近距離で飛沫を飛ばしながら怒鳴り散らす。
『お隣さん、落ちついて、、、』
すごい力だ。
襟首を掴んでいると服の繊維がぶちぶち裂ける音がする。
私が掴む手を叩く。
『あっ、、用務さん、俺、、何を?』
『お隣さん、大丈夫かい?飲み過ぎなんじゃ。』
私は咳き込み、その場に座り込む。
『ああ、なんだか、、用務さんにもらった缶ビールが切れてしまうとさ、、なんだろうつい、衝動的によ、、悪い。』
『ああいいさ。それより腹減らないか?惣菜でも食って、、いやなんかモツ焼きでも買って飲み直さないか。』
『ああそうだな。』
『うむ。じゃあよ、モツ買って酒屋行こうか。安く売ってくれるとこがあってよ。』
『いやあ、モツが安く手に入ったなあ。』
お隣さんはご機嫌だ。
たまたま路上でやってたモツ焼き屋がありそこで手に入った。
『あとはそこの酒屋の・・・・。』
酒屋の前に誰かいる。
『用務さん?』
私は立ち止まった。
『お隣さん、悪い、先酒買ってはじめててくれ。』
『おうよ。』
お隣さんはあの自分をボクと呼ぶ、店主の店に入っていった。
『久しぶりね、あなた。』
酒屋の前にいたのは、別れた妻もとい、私の用務員の前の職場の同僚であった。




