AM6時30分の絶望
午前6時。
『いやあ、お久しぶりですね。』
『・・・・。』
私はかつて、真島の坊ちゃんの罪を告白した、
警察署の取り調べ室にいた。
『やはり、赤の他人は見殺しにできても実の娘は見殺しにできませんよね。』
『何が聞きたいんですか?』
私はうつむきながら、刑事と目を合わせることなく質問した。
『いやいや、そんな邪険になさらなくても。どうです?一服されますか?』
タバコをすすめてくる。
『要りません。』
私はあくまで目を合わせない。
『はあ、まあ、今回はあなたに何も嫌疑はかかりませんので安心してくださいな。いやね、実は娘さんに嫌疑がかかってましてね。』
ピキッと体全身が固まる感覚に襲われる。
顔をゆっくりあげた。
『美咲が・・・・?』
『ええ。』
『何をいったい・・・・。』
刑事はタバコに火をつける。
深呼吸するようにタバコを吸い、思い切り吐く。
『ははあ、あなたはあまり娘さんと接点がないのですかな?』
侮蔑するような刑事の表情。
ぐっと怒りを堪える。
『いいでしょう。実はね、薬ですよ。あなたの娘さん、ヤクをやっていたみたいでね。あ、いや病院の方からの検査結果待ちなんですがね。』
刑事は私を貫くように見据える。
『教えて欲しいんですよ。昨夜のあなたとあなたの娘さんのやりとりを。』
『・・・・。』
美咲が麻薬だと・・・・・。
『娘さんの為です。ヤク漬けになって死なれてもあなたの犠牲が無駄になるだけでしょうよ。』
ねちっこい取り調べだ。
だから、この刑事は嫌いなのだ。
しかし。
しかし、美咲の命がかかっている。
ただこの刑事は信用出来ない。
匿名を条件に真島の坊ちゃんの罪を告白したのに、私は解雇された。
ならば、嘘を・・・・。
『おーっと、虚偽の供述は罪に問われますからね。』
ニッと笑いながらこちらを見てくる。
『・・・・・。』
口をキュッと閉じた。
『黙秘ですか。まあいいでしょう。今日のところは。でもね、一つ伝えておくと。娘さんの麻薬の件は他言無用ですよ。』
『・・・・。』
『脅しでもなんでもないですから。あなたもね、娘さんとか、、、そうですね。あなたの娘さんのクラスメイトみたいになっちゃいますからね。犯人は意外と近くにいるんですよ、こういうときは。』
警察署から解放される。
朝日が眩しく、道が霞む。
『美咲のクラスメイトのようにか、、、』
娘のクラスメイトか。
そう娘はあの鹿島ケイがいたクラス、すなわち、伊豆沖の大量殺人事件のクラスの一員だったのだ。




