午前4時30分
午前4時30分
私は祈るような気持ちで手術室前にいた。
美咲があの桜の木の下から、飛び降りてからすでに数時間が経った。
『美咲っ!』
幸いにもワイヤーは切れていたが、なかなかの高さの木から落ちて、不幸なことに頭を強く打った。
『美咲っ!』
体を揺すっても目は開かない。
頭から少し血が出ている。
『ひゃ、119番!』
慌てて携帯を押す。
『はい、事件ですか?事故ですか?』
間違えた。いや、もういい。
『事故でっ!』
あれからずっとここにいる。
意識不明だという。
なぜ、美咲はあんなことをしたのか。
鹿島ケイの死の真相を知りたがっていたのだろうか?
何より美咲は何かに操られているような状況だった。
私の鹿島ケイの死の間際に見た真島の坊ちゃんたちとのやりとりを伝えたのは正解だったのか。
そもそもなぜ、そんなことを関わりのない美咲が知りたがる?
頭の中に疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消えてを繰り返す。
手術中と書かれた灯りが消えた。
医師が出てくる。
『み、美咲は!美咲はどうなりました!?』
医師はマスクを外し、一度目を瞑りこちらを見据える。
『峠は越えましたが、意識がいつ戻るか・・・』
『そ、そんな・・・・。』
私は膝を落としてその場にへたり込む。
後ろからカツカツと2つの足音が聞こえてくる。
私の真後ろあたりで音が止む、
『困りますよ。ご家族も憔悴しているのですから。』
医師は足音の方に怪訝な表情で伝える。
私はゆっくり振り向く。
かつて見た顔がそこにはいた。
『お父さん、娘さんのことでお話しをお伺いしたく。署までご同行いただけませんか?』




