表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/105

美咲の様子がおかしい

ビルの前に立つ。


『うん、なかなか決まってる!!』


無精髭は全部剃り、髪型はオールバック。

黒のスーツは少しブカッとしているが中年太りにはちょうどいいだろう。



このガラス張りのビルの先に、美咲との待ち合わせの定食屋がある。





桜がすっかり散ってしまったが、

満月の綺麗な夜だ。


通勤でよく使っていた、桜並木を歩く。

桃色の花びらで敷き詰められた絨毯の上を歩きながら、満月が反射している河川を眺める。


こんな日は飯が美味そうだ。



木目の扉を開ける。

カランコロンと鳴るドアのベルは心地がよい。

さながら、再会を祝するファンファーレの代わりのようだ。


店内は夜ということもあり、中間照明がアダルトな雰囲気を醸し出す。よく来ていた定食屋も夜になるとこうも違うのか。



店の奥に美咲は座っていた。

私は少し口角をあげて美咲に手を振る。


美咲は顔を上げた。



『・・・・?』


ぎこちなく手を振る。

心なしか手が震えているようにも見えた。



『久しぶりだな、美咲。』


『ひ、久しぶりね、お、おとうさん。』


目が大きく見開かれている。

口元は噛み締めているからか、ブルブルと震えている。



『どうした?』


私は覗きこむように美咲を見る。



『・・・て。』


『うん、なんだ?』


『・・・きて』


『きて?』


『一緒に学校にきて。』


『美咲?』


美咲は立ち上がると私の腕を掴みそのまま店の外に出る。



美咲は私の腕をこれでもかという力で掴みながら、足早に歩く。



『お、おい。いったいどこに・・・。』


『学校!!』


そういうと、唐突に足を止める。



美咲の肩にぶつかる。


『どうしたんだ??』


美咲の顔を見る。



息はかなり上がっていて、過呼吸に近い。

眉間には何重にも皺ができており、怒気を纏っているかのようだ。



『入るよ。』



美咲はドアを開ける。

夜なのに、なぜ空いているのか。

そこは・・・



私のかつての職場、鹿島や真島の坊ちゃん、そして美咲の母校だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ