頑張ったご褒美はぶら下げられたにんじんでした。
何から手をつけたものか。
調べようにも手がかりが少ない。
一つずつ解明していくしかないのだが、
まず気になるのはあの時たぶん古井戸に投げ入れられたはずの鹿島ケイの遺体のことだ。
真島の坊ちゃんに吊るされたが、確かに自分で踏み台を蹴り飛ばしていた。
あれは自殺だ。
問題は古井戸のロープから鹿島が引き上げられなかったことだ。
あの神宮寺という女生徒が鹿島に巻きつけていたのは私は見たのだ。なら、なぜ鹿島はあのロープに引き揚げられなかった?
『学校に行くしかないか・・・。』
だが、行ったところで不審者だ。
学校に入れてもらえないだろう。
どうする?
携帯が鳴る。
誰だろうか。
人間関係は全てを捨ててきたのだ。
開いてみた。
『美咲・・・・。』
娘の美咲からだ。何年振りだろう。
メールには、こう書かれていた。
『お父さん元気ですか?久しぶりに会って食事でもどうですか?』
胸が熱くなった。
私は美咲のために、用務員の仕事を捨てて指定校推薦を勝ち取らせたのだ。
ささやかなご褒美だろうか?
私は早速メールを返信した。
美咲との再会は明後日、場所は学校近くの定食屋になった。
美咲との再会は嬉しい。
『さて。』
美咲との再会だ。
少し服とこのボサボサの髪は整えないといけない。
『まずは床屋だな。』
空を見上げる。
雲一つなく、太陽がさんさんと降り注ぐ。
桜並木を一歩一歩歩く。
風で桜の花びらが舞う。
『儚げで綺麗だなあ。』
私は床屋に向かい、そのあとスーツを見繕うことにした。




