あの用務員の日々
私は、寮に着いた。
NPOが運営している低所得者層向けの寮だ。
部屋は4畳1間ではあるが、大浴場がついているのでまあ寝るためだけにある部屋だと思えば問題ない。
大浴場にいく。
夜遅い時間だが、みんな1人でいたくないのか賑わっている。
『よう、あんたか。』
『こんばんは。』
気さくに話しかけてくる寮生もいて居心地はいい。
服を脱ぎ、風呂に浸かる。
『ああー、生きかえる・・・・。』
酒飲み後の風呂は最高だ。あまり推奨はされてないのだろうが、そこまで深酒をしていないので、まあ許容範囲だろう。
『ああアンタか。仕事大変だな。』
隣人が話しかけてくる。
『こんばんは。』
挨拶を返す。
『いやあ、今日もパチンコですっちまったわ。明日も朝から労働に勤しむしかねえよ。』
『ははは・・・・。』
乾いた笑いで返す。
『もうちょいだったんだよ。はあ。あーそういや、ニュースみたかい?』
『ニュース?何かあったのですか?』
『おっかねえよ。伊豆の方の島でよ、大量殺人だとさ。私有の島らしいんだがさ。その私有の島がよ、またおっかなくてな。』
この隣人は、こういうゴシップ系も好きなようだ。しかし、私有の島とかどれだけ裕福なんだか。
『その島がどうしたんです?』
興味はないが、合いの手をいれないと拗ねて面倒な人だから聞いてみる。
『いやさ、あの島よ、あの死体が出た学校あったべ??あの死体の名義でよ、私有なんだとさ。』
全身が強ばる。
あの死体の出た学校。
私がここに来る前勤めていた学校だ。
あの死体が見つかったせいで、私は今ここにいるのだ。
そう。あの首を吊った生徒の名を私はよく覚えている。
『用務員さん、こんにちは。』
『やあ、ケイくん。今日もここでお昼かい?』
そう。
鹿島ケイ。
そんな名前だった。




