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恋なんかじゃない。

ボクは日に日に鹿島のいじめが激化する様子を目の当たりにしていった。


ボクが(・・・)企んで、ボクが孤立させたにも関わらず胸が痛む。



だが、チャンスだった。






『おい、鹿島あっ、てめえ、カレーパンとイチゴミルクな。』


『う、うんわかったよ。』


パシリに使われていた。


『か、買ってきたよ。』


『うわっ、なんかお前の手汗で濡れてんだけど。キモッ!』


カレーパンを投げられる鹿島。

イチゴミルクを頭からかけられる。


『くっせー!お前風呂入ってんのかよ!』



鹿島はされるがままだった。


『やめなよ。』




『んだ、てめえっ!』


『お、おいやめとけよ。』


『あーー、まあ、そうだな。』


引き下がるいじめっ子達。


『あ、ありがとう。ナルちゃん。』


『全く。鹿島が何したんだっていうんだよ。』


『あはは。いやさ、僕がデブでコミュ障だからさ。僕がいけないんだよ。。』



『・・・んなことないよ。』

『え?』

『そんなことないよ。鹿島は、、私は知ってるの。鹿島の素敵な顔、知ってるからっ!』


ナルちゃんは力を込めて言う。


『な、ナルちゃん、、』


辺りは誰もいない。ボクは知っている。


『だ、誰かに聞かれていたらまずいよ。そのさ・・・・。』


鹿島は私から視線を外す。


『鹿島のそういうところ、ボクは好きだよ。自分より他人を思いやれるところ。』


鹿島の顔が赤くなる。


『な、ナルちゃん。』


『とにかく次あったらすぐ教えて。』


『うん。』




何気なしに介入してみた。

鹿島もあの幼い頃のことを忘れてくれてたのか、時効を迎えていたからか普通に話ができた。





♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

ナルちゃんと話をしたのはいつ以来だろうか。

正直2人きりになった時は怖かった。


あの時の欲にまみれた惚けた顔でまた馬乗りされて、捌け口にされるのではないか。


この日はそうでもなかった。

自分の中で懐かしい感覚になった。



あれはそうだ。




愛だった。



何においても、愛だった。

たった一度だけ。





あれは、まだお母さんと住んでたころだったかな。




『うっく、ああ!うえーーん!!』

真島に駄菓子屋にパシリにされた日だ。

十円のお菓子を買ったのに。


『ちげえよ、鹿島。』


ぶん殴られた。

そのまま真島は帰ってしまった。


親友の真島に見捨てられた。

僕は世界に1人だけだ。

心の支えを失ったような感覚だった。




いつまでも泣いてるわけにはいかない。

母さんに見られたら大変だ。

涙を拭く。


鍵の開く音がする。


『母さんお帰りなさい。』

『ああまだ起きてたのね。』


母さんは相変わらず酒臭く、そして妙にはだけていた。


『母さん、水だよ。』

『飲ませて。』

『わかった。』


コップを持って口に流し込もうとする。


『違うよ。』

母さんは口にコップをつけて、口を含むと僕の口に水を流しこむ。


『こうすんだよ。』


母さんはそのまま口に舌を入れてきた。


何が起きたのだろうか。

夢精をするようになって僕に欲情したのだろうか。僕はその日、母さんに童貞を奪われた。



でも確かに母さんに愛された。

愛してくれた。


悲しみは、性の慰みで癒されるのだ。










『鹿島のそういうところ、ボクは好きだよ。自分より他人を思いやれるところ。』


鹿島の顔が赤くなる。


『な、ナルちゃん。』


『とにかく次あったらすぐ教えて。』


『うん。』




次あったら。

ナルちゃんは本当の意味で愛してくれよう。

あんな欲にまみれたナルちゃんじゃなくて、

僕を愛してくれる清らかなナルちゃんになってまた会えるだろう。




僕のお母さんのように包んでくれるナルちゃんに戻ってくれるなら僕はこれ以上求めるものはないのだ。

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