用務員室
『ああ!なんで、なんで僕がこんな目に・・・・。』
神宮寺、ナルト、有島さんによるいじめが始まった。
昼休みは教師の目が届かなくなるので、いじめは激化しやすいのだ。
だから僕は、人目のつかないところに隠れる。
便所じゃダメだ。
一度便所飯をしていたら、上から水をかけられた。
僕は今、校舎から離れている用務員の部屋近くの桜の木の下で身を隠しながらご飯を食べている。
ここだと最悪用務員さんが監視役になるから問題ないのだ。
『やあ、またキミか。』
『ああすみません、ここ落ちつくんです。』
『ああいいよ、いいよ。それより、どうだ?菓子でも食べないかい?』
用務員さんは優しいのだ。
よく話を聞いてくれるし。
ここなら腰を落ちつけることが出来る。
用務員さんから菓子をもらい食べる。
『ここはね、いろんな学生さんが来ては隠れ家的に使っていてね。まあ、また来るといいよ。』
お茶を飲み一息つく。
真島も、有島さんもナルトも神宮寺さんも、
友達だから、いじめられていてもそれが彼らを喜ばすことならば受け入れるしかないのだ。
でも心は壊れていってしまう。
ナルちゃんに頼れるなら。
ナルちゃんをあの日拒絶してしまったから。
僕はナルちゃんが担任になってもなんとなく気まずいままだ。
高校生になってわかる。
ナルちゃんと僕が昔したこと。
ナルちゃんは多分僕のことが好きでそれで、あんなことをしたんだと思った。
『少年、何か悩んでいるのかな?』
『いえ、まあ悩みはありますけど、、味方がいればいいなって思います。』
『そうかい。』
用務員さんは窓越しに話を聞いてくれている。
机に座りお弁当を食べながら。
『キミはその味方がいるのかい?』
『はい、でもずっとずっと話をしてなくて。気まずくて。』
『そうかあ。よくわからないが、相手は頼ってくれるのを待ってるんじゃあないかな?』
『そうですかね。』
『ああ。おじさんはわかるよ。キミは動いた方がいいのだ。なんだか、辛そうな時こそ無償の愛を注いでくれる人に縋るべきさ。』
僕は買ってきたお弁当を食べ終わる。
『ありがとうございます、ちょっと頑張ってみようと思います。』
『ああそうしなさいな。』
『ああ、あんな若い頃が私にもあったな。悩んだり苦しんだり。』
『おうよ、おじさん。アンタはそうやって結果転げ落ちていったよな。』
『ああ坊ちゃんが用務員の仕事をくれたからなんとかやってけてますからね。このくらいの舞台は整えますよ。』
最近の若者は恐ろしい。
こうやって人目のない場所をうまく利用しているのだから。こうやって貸しを作るのだから。
私はこの時思いもしなかった。
真島の坊ちゃんの犯罪に加担することになるとは。




