鹿島を想う
鹿島とボクはあれ以来距離を取らざるを得なかった。
ボクは大学生になり、社会人になった。
社会人になってからは忙しく鹿島のことを考える暇もなかった。
教師になってからは年がら年中仕事に明け暮れた。
仕事に疲れて帰ったきて満たすのは食欲と睡眠欲が最優先になったのだ。性欲なんて枯れてしまったのだと思う。
しばらく教師を続けていたある日だった。
『今日からみなさんの担任をします、鳴沢ケイです。よろしくお願いします。』
クラスを見渡す。
(真島くんがいる。気持ち悪いなあ。)
ボクを見ながらニヤニヤしている。わかる。
あれは、性欲を満たしたいと欲している顔だ。
ずっとずっとそういう目で見ていたのは知っている。鹿島と距離を取って以来、真島がよくアプローチしてくる事があった。
わかるのだ。
だから、積極的に避けて生活をしていた。
担任になってしまったのだ。
(最低限の関わりでやるしかない。)
真島から視線を外す。
教室の反対側に視線を送る。
顔が丸っこくぽっちゃりした体格の男子生徒。
あれは、かつてボクが交わった男の子だ。
(鹿島・・・・・)
ボクが好きな人がボクの生徒になった。
♦︎♦︎♦︎♦︎
『おーい、鹿島っ!ちょっとアンパン買ってきてよ!』
『うん、わかったよ、真島。』
よく鹿島が真島にパシられている光景を目にする。
鹿島は嫌な顔1つせずにパシられている。
真島は相変わらずの悪い人相だ。
私が教師でないならば、真島をぶん殴るところだ。
この手の問題は、
教師が介入するとより陰湿になる事が多いのだ。
だから、私は傍観者にならざるを得ない。
鹿島が生徒になってからは、私の枯れていた性欲も戻ってきた。しかし、鹿島には近づけない。ありし日の鹿島との思い出を胸に、自慰行為にふけるしかなかったのだ。
夜な夜なベッドで致した後に、情けなくなる。
なんとかして鹿島とまた交流したい。
そう思いながら私はとうとう職員用トイレでも自慰行為を行うくらい鹿島への妄想が膨らんでいったのだった。
『はあ・・・・。』
行為を終え、ショーツを履き個室を出る。
トイレのドアを開ける。
職員用トイレのあたりは人気がなく静かだ。
だから、私も油断をしていた。
『ケイちゃん?トイレで何してたの?』
私は全身を強張らせた。恐る恐る声の方を振り向く。
ニタニタと笑う男が1人。
真島だった。




