ナルちゃんと満天の星空と
『ねえ、ナルちゃん。』
『なんだい?鹿島?』
ナルちゃんはコテージの窓のへりに座りながら缶ビールを飲んでいる。
『これからボクの友達はどうなるの?』
『鹿島の友達?』
ナルちゃんは首を傾げて僕を見る。
『鹿島の友達で、かつ恋人はボクじゃないか?』
『うん、確かにそうだけど他にもいるじゃない?』
『ああ。もしかしてクラスメイトのことを話している?』
『そうだよ。』
『キミは本当にお人好しだよね。』
ナルちゃんは顔に手を当てて、高らかに笑っている。
『何がおかしいの?』
『だってキミをそんなふうにしたんだよ?食べ物も食べれない、飲みものも飲めない、そもそも食欲も性欲も睡眠欲すらないじゃないかっ!!』
ナルちゃんは缶を握りつぶす。
『ボクはね、許せないんだっ!!鹿島と美味しいものも食べたかったし、こうやってキミのクラスメイトは大きくなってさ!!酒を一緒に飲んでさ!!酔い潰れて一緒に朝を迎えることすらできないっ!!!』
『・・・・。でも彼らも仕方なかったんだよ。彼らはあの学校という閉鎖的な社会では、ああするしか・・・。』
『残されたボクはどうすれば良かったんだ!?』
『・・・・。』
『いじめの主犯格はカリン、委員長、陽キャだ。真島はもうやった。確かに主犯格は・・・でもさっ!!キミを守ろうとした、クラスメイトはいたのか!?あからさまにキミを・・・・。』
『ナルちゃん。じゃあ聞くよ。そんなにそう思うならキミがなぜ当時助けてくれなかったの?』
『それは・・・その、』
『いや、ごめん。難しいよね。確かに同じクラスの人間だったけどさ、ナルちゃんは。仕方ないよね。』
ナルちゃんは涙を流している。悔しそうにボクを見ている。
『ああああああああっ!!!』
ナルちゃんが僕に掴みかかる。
お腹を掴み思い切り引っ張る。
『あ・・・・。』
お腹が裂けてしまった。
『ボクは、ボクはそんなつもりじゃなかったんだ!!許してよっ、許してよおおお!!鹿島ぁぁぁぁっ!!!』
『ナルちゃん、力強いよ。お腹破けちゃったよ。』
『ああ鹿島!鹿島!大丈夫かい・・・ごめんよ。』
『ああ大丈夫だよ。痛くもないし、血も流れない。ましてや、こんなんじゃあどうってことないよ。』
ナルちゃんは急いで僕の腹を縫い出した。
『ナルちゃんは上手だね。傷口があっという間に塞がっちゃったよ。』
『ああごめんね、鹿島。痛かったろう。』
『大丈夫。僕はこんなんじゃ痛くもない。ナルちゃんごめんね、もう聞かないよ。ナルちゃんは僕の為にやってくれてるんだからね。僕の無念を晴らしてよ。』
『ああ絶対晴らすよ。』
『次はどうするの?感染源はすでに作ったよね?』
『うん。しばらくはこの缶ビール漬けになってもらうさ。』
『それから??』
『内緒。』
『意地悪だなあ。』
『ふふ。ああ、大好きだよ鹿島。』
ナルちゃんは抱き抱えてくれる。
『ボクもさ、ナルちゃん。』
こんな体になっても、こうやって満天の星空をナルちゃんと眺められるんだ。
ナルちゃんとはずっとずっと一緒さ。




