子ども時代2
「・・・・。知らない天井だ・・・。」
異世界あるあるのような言葉とともに、俺は目を覚ました。
正確には、知っているけど、初めてのような感じがする。だ。
と、いうのも。
溺死しかけたことにより、俺は気づいてしまったのだ。
自分が、異世界転生をしてしまったことに。
「『強い衝撃で前世を思い出す』って、ラノベではあるあるだったからなあ・・・。今の俺は、それと同じ状況と考えていいよな。強い衝撃って普通は頭を打つとかそういうレベルなんだけど、俺は溺死かー。すっげえハードモードじゃん。」
いくらなんでも6歳の子供にはやりすぎじゃないですかねー。
「ていうか、俺の親ヤバすぎない?子供殺しにかかるとか、頭いかれてんだろ。前世思い出さなかったら、生きてても精神死んでたぞきっと。6歳で精神死んでる子供ってなんだよ怖すぎるだろ。」
本当に前世思い出せてよかったよ・・・・。
コンコンッ
と、うだうだと考えをめぐらせていると、ドアをノックされた。誰だろ?
とりあえず、返事をすることにする。
「どうぞー。」
「っ!!失礼します!!」
かわいらしい声とともにドアが勢いよく開かれ、小さな影が飛び出してくる。
その影は、そのままの勢いで俺の元へ一直線に駆けてくる。
「ああ、ルー兄様!お目覚めになったんですね!ルー兄様3日も寝たきりだったんですよ?僕はもうずっとこのままになってしまうかと気が気でならなかってす!本当にお目覚めになってよかった!3日も寝たきりだったから、お顔の色がすぐれませんね。今すぐ身体にいい食事を持ってこさせますので!それと、それと」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「はい、ルー兄様。やっぱり使用人の作った食事より僕が作った方がよかったですか?ああ、うれしいです!最高級の食事をつっくてみせまs」
「ストップストップ!落ち着いてくれ、ユリウス!!」
「はい、ルー兄様!やっと名前を呼んでくれましたね!」
俺の身体にぎゅっと抱き着いて怒涛の勢いでしゃべり続けたこの子供。今は満面の笑みで黙っているこの子。
俺の2歳下の弟、ユリウス君である。ふわふわの銀髪にきれいに透き通った金眼である。うん、控えめに言って天使かな?ちなみに、この子はブラコンである。俺だけに対して。
「ユリウス、俺ってどのくらい寝てた?」
「3日間寝たきりでした。ときどきうなされていましたので、本当に気が気でなかったんですよ!」
プクっと頬を膨らませるユリウス。そんな風にしたって、俺には可愛いだけですよ?
「あはは、そっか。それはユリウスに悪いことしたなあ、ごめんな。」
そう言いながら、抱き着いているユリウスの頭をなでる。
ユリウスは、さらに強い力で抱きしめてきた。うん、嬉しんだけど、お兄ちゃん内臓がでてきそうだよユリウス君。
「ゆ、ユリウス・・・。」
「あっ、ごめんなさいルー兄様!」
ユリウスの背中をタップすると、すぐに力を緩めてくれた。いい子だ。
「はあ、ルー兄様を殺そうとするなんて・・・。あいつら、どうしてくれようか・・・。」
あれ、ユリウスの口調が変わった?
「えーと、ユリウス君?」
「はい、ルー兄様。どうしました?」
「えと、あいつらって・・・?もしかして、親の事?」
『親』という単語を出した瞬間、スンっとユリウスのまとう雰囲気が暗くなった。こわ。
「そうですが・・・。ルー兄様は、まだあいつらを親だと思っていますか?」
「いや、思ってないけど。」
「え。」
ユリウスは、即答されるとは思ってなかったのか、驚いた顔をする。
「ん?ユリウスは違うの?」
「いえ、僕も同じですが・・・。ルー兄様は今まで、何を言っても聞いてくれなかったので。」
「ああ、そういえばそうだな。」
前世を思い出すまでは、いい子にしていれば自分にも愛情が注がれると思っていたからなあ。必死に説得してくれるユリウスに怒ってばかりだったな。
「さすがに、殺されかかったらな・・・。もう愛情が俺に来るなんて信じられないよ。」
「そう、ですか・・。」
俺の言葉に、ユリウスは複雑そうな顔をする。「説得を聞いてくれてうれしいけど、愛情をあきらめさせてしまった」ってとこか。
「気にすんな。うすうす感じてたことだし。俺は、ユリウスがいてくれたら、それでいい。」
「!!!ルー兄様・・・っ!」
ずっとずっと、俺を慕ってくれたユリウスさえいれば。俺のために説得し、何度も助けようとしてくれたユリウスさえいれば。
「ごめん、ちょっと重かったかな・・・。」
ユリウスは賢くて大人みたいだけど、まだ4歳なんだ。こんな重い兄と一緒は嫌かな・・・?
「いいえ、そんなことは全くありません!!」
杞憂だった。食い気味に否定された。おめめキラキラになってる。
「そっか、嬉しい。これからもよろしくな、ユリウス。」
「もちろんです!地の果てまでずっと一緒です!!」
「ふふふ、そうだな。」
こういう重めの兄弟愛をかきたかったんです・・・・。
重いの苦手な人はすみません。この作品ときどきこういうの出てきます。
慣れてください。←何様だお前




