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その者、”異端”につき。  作者: 月乃あかり
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まあ、最初から期待なんてしてないけど



色々あったが入学式が終わった。この瞬間から俺はここ、ミストニア学園の生徒になるのだ。

そんなに実感がわかない。

式が終わり、入学生は一度保護者席へ戻る。最後に、じっくりキールの顔を眺めた。


「…色々ありがとな、キール」


顔を見た途端、今までのあった色々なことが思い出してきて、つい口から出た。

なんか意外な顔してたけど、すぐ笑顔になって俺の頭を撫でた。

ちょっと、いつもと違ってこそばゆい。


「セランも、頑張れよ」

「誰に言ってんの?」

「っはー、生意気」


撫でていた手に力が加わって、その手は俺の頭をぐしゃっと掻き混ぜた。

二人で笑って、俺は生徒の群れに体を向けて歩きだした。


すぐに後ろを振り向くと、キールは笑いながら手を振ってて


「また、次に会う時まで」


あと何か言ってたけど、周りの声に紛れて聞こえなかった。

でも少しして開かれた口が動いた内容は流石にわかった。


 頑張れよ


そう、言っていた。






周りの生徒たちの雑踏から聞き取った感じだと、アリーナから移動した生徒達は入学式の時に座った時の列ごとのクラスらしい。

となると……………フランと同じだと?

なんてことだ。


先行きが不安になってつい眉を寄せる。そして溜め息を一つ。

まぁ…それは、あっちも同じか。


というか気づくと横にフランがいる。横目で見やればこれまたかなり嫌そうな、嫌悪感に似た感情たっぷりな目がこっちを見ていた。

解りやすいというか、あからさますぎる。流石に兄ちゃん泣いちゃうよ。


教師らの話によると、俺達はA組らしい。

ちなみにクラスは各学年6組構成。そして最初はアリーナで呼ばれた家名順だが、一年生は基礎学習の他に実力テストという形で二年生からのクラス分けにかかわる試験が多くあるとのこと。

二年生からはレベルによって先生だけでなく教える内容もがらりと違うとか。一言に面倒臭い。


しかしさっきからチラチラと周りの視線が刺さる。

順番的に俺とフランが並んでるからか、只でさえ目立つのにさらに二倍になって酷いものになっている。

とりあえず先生の話に集中して、気にしないようにしよう。

生徒たちの群れの先頭に立つ先生が大声で話し出す。


『じゃあ、クラスの入口に席の書かれた紙が貼ってあるので確認して入るように』


拡声器を使用しそう言われると、皆次々に紙を見て教室に入っていく。

俺もその波に混ざって扉に貼ってある紙をちらっと見て入ろうとする。が…。


「………げぇ」


なんとも情けない声が。

俺の席は一番窓側の、後ろの席。

とても奥まっていて良いね、3階なのもあって眺めも案外良い感じで好きだよ。

しかしよりによってフランの後ろの席である。情けない声はこのためだ。


まぁ隣や前よりはマシだが、後ろもキツイものがある。


とぼとぼと教室内に入り席へ向かう。

俺の席の前にはもうフランが座っている。

ちょうど俺が席につくと恐らく担任の先生が声を上げた。拡声器なしでもなかなか声の大きい先生のようだ。


「今日から6年間、君たちは此処で仲間たちと共に暮らし学んでいく。まあこのクラスでの過ごす期間は一年だろうが、もしかしたらずっと続く縁もあるだろうからな!…とその前に自己紹介だ!出席番号順に立って紹介な!」


どうやら俺の苦手なタイプのようだ。

ハッキリしゃっきりとした声に身体はガッチリ大きめ。そして少し黒色の入った肌。

しかも見た目からして勢いよくよさそう。やりずらそう。

なんて俺が微妙な顔で先生を見ていると、既に始まっていた自己紹介タイム。


とても初々しい雰囲気の自己紹介が続く。ほとんどが10歳。ちらほら11歳が混ざってる。

そしてあまり間もなく、俺の目の前が立ち上がった。


「フラン=レンジェーナ、10歳です。守護聖霊はレムナス、魔法史が好きです。皆さんよろしくお願いします」


………おっふ…わざとらしい。


大体他の人が話すのは名前・年齢・趣味や得意科目が主だったのに。守護聖霊言うなよ、俺言いにくいじゃんか。

フランが前に座ると、パチパチと拍手が起こる。その為少し…いやかなり立ちづらい。


「次!」


そんな俺にかかる先生の声。

おずおずと立ち上がる俺、とたんに拍手が止む。

立ち上がって周りを見渡すと、俺に集中している皆に若干怖気づく自分がいた。


「…セラン=レンジェーナです。11歳で……ええと、魔法学と解明が得意です、よろしくお願いします」


ガタンと座る。もちろん、フランと違って拍手なんて起きない。代わりに皆の痛いほどの視線。

先生も苦笑気味。おい、見えてるんだぞ。



「……聖霊無しが魔法解明してどうすんの?」

「いや魔法使えないからでしょ。できないならしょうがないよなぁ」


ぼそぼそとした言葉が、それをきっかけに飛び交う。

紹介が俺で止まってるのに何も言わない先生。小声でもここまでくると騒がしくなってくる。


「そもそも魔法使えんの?」

「よく此処入ったなー」

「地方の小さな所行きゃ良いのに」


まぁ、エトセトラエトセトラ。

ちなみに今魔法使えるのか聞いた奴、入学試験内容覚えてないのかそもそも魔力量も入学条件の一つだったろう。


「ホラ、次だ次!」


ようやく次の人に移り、少しずつ皆の意識が俺から離れていく。

あるる程度いくと、完全に俺への視線はなくなった。俺はふう、と一息。


…これが、ずっと続くのかなぁ…


ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、期待があった。こんな俺でも友達ができたら、とかさ。

本とかで見る学校生活、楽しみでもあったのだが、こんなカタチ。


少しばかり寂しくなったとか、絶対に認めたくはない。

それから、学校内の説明とか校内の見取り図、授業についてなど…一通り説明が終わると、先生はプリントを見ながらまた口を開く。


「ぁー…忘れてたな。次にギルドに所属してる者に配分するプリントがある。学校で依頼を受ける方法とか、その間の授業の事とか書いてある。あと書類が………」


言いかけて、表情ごと固まる。

目がプリントの上を泳ぎ、少しの間の後口が開く。



「を、書いてもらう。ので、前に取りに来い、セラン」



――ざわっ…



あぁ、クラスで俺だけなのね。てっきりフランは入っていると思った。

俺は席を立ち、前に出て教卓の横に止まる。


「ホラ、プリントだ。できるだけ早めに提出するように!あと学校が嫌だからって依頼に逃げないようにな!」


まぁ、出来るの少ないしないだろうが。


そう付け足して、プリントを渡される。

大口を開けてガハハと笑う様はなんとも俺のイライラを増幅させて。

一言多いどころか二言も三言も。先生実は俺の事嫌い?なんて思ってしまうよね。

そんな先生の言葉を聞いてかやっと落ち着いていた俺の話題がぶり返される。


「何でギルド入れてんだ?」

「よく入所できたな」

「依頼なんてこなせるの?」


だから聞こえてるっての。

もうなんかイライライライラと。


一番は先生なんだけれども。


「じゃあ早く席にもどれ!ホレ!ほれほれ!」


未だ笑いながらいる先生に、ちょっとキレそう。俺、我慢だ我慢。

自分に言い聞かせながら自分の席に戻る。先生は気にしていないのだろうが、生徒の関心は俺に向いている。道中の視線や小声、気になるに決まっている。


教卓の椅子にどかっと座った先生。

と同じタイミングで人差し指をピッと振ってポツリと一言。


消滅(デリート)

「ぅおぉっッ!?」


途端に椅子の背もたれの付け根の一部が消失。勢いよく座ったものだからバランスが崩れ、椅子は先生を乗せたまま後ろに倒れて行った。

勿論クラス中は爆笑。


…我慢なんてできるわけないよね、俺まだ子供だもの。


「きょ、今日は連絡だけなのでこれにて終了だ!残りは各自寮部屋の片付けと、ルームメイトとのコミュニケーションを取るようにな!教科書やらは各部屋の机上に揃えてあるのを確認するように!」


そして一日目の学校、終了。


皆がバタバタと早くも話し相手を見つけて一緒に活動を始める中、俺は一人。

はぁ、と一息吐いて俺も寮への道に足を向けた。




キール、学校が始まって早々だけど、もう心が折れそうです。

少し、キールシックになってきました。







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