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その者、”異端”につき。  作者: 月乃あかり
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入学前に【制服】


計測が終わり、室内に設置されたテーブルへ案内されると、そこに計測値が書かれた書面がおかれる。

おじさま店員はふむ…、と少し考える仕草をしている。


「…どうやら、そのお年の割りにとても苦労…いえ大変失礼いたしました…努力をされてきたようで、平均的な数値より少し差がある部分が数点ありまして」

「えっセランってば脱いだらすごいの?」

「そうですな。年の割りには脱いだらすごいタイプです」

「あらやだ「やめてくれないかな」


俺の隣に移動してきたキールがその用紙をみるとふふっとつい笑みがこぼれてしまっている。

入学試験のときに他の受講生をみたけど、そんなに変わりないと思うのだけど…少しショックだ。

俺の体について説明を始めるおじさま店員。


「まず、肩幅や腕・脚の長さは平均とほぼ変わらないのですが、上腕と両下肢の筋肉量のため太さが少々…あと全体的に随分引き締まっているようですね…」

「セラン君12歳という若さで細マッチョ的な」

「…うるさいな。だと往来のサイズの制服は」

「少々きついものになるかと、ワンサイズ上のものを少し詰めさえすればおそらく可能です…ですが、また入学中に成長されると思われますので」

「確かに…」

「通常の仕様ですと、着用者の体と魔力の成長に合わせて、服も伸長していく付与がついているのですが、そのような加工をしてしまいますと、外れてしまう可能性があります」


六年も居れば、そりゃサイズも変わりますよね。

というかそんな付与効果ついてるの制服に。普通買い替えとか、そういうものではないのか。

魔法学校だからかな…。

テーブルの端にオーダーメイドの場合の価格設定表があるのをみつけ、見てみる。


「!!?」


つい金額に息を呑んだ。

正規の制服の金額より1.5倍もあるんだけど…。

常に古着屋で服を安めに購入している俺だけど、服一着にかかる金額が一ヶ月近く宿屋に泊まるくらいの値段って、どういうことよ。


「だと、オーダーメイドのような形が好ましいということですよね」

「そうなりますね…店内へ商品外になってしまいますので…」

「ふむ…」


キールとおじさま店員が二人して考えている。

や、以来とかがんばれば制服くらい買い換えるよ?桁数ちょっと多いけど払えないわけじゃないし…。

するとキールのほうからなにか思い浮かんだらしく、声が漏れた。


「制服だけつめていただくのは対応にどれくらいかかりますか?」

「えぇ、それですと30分ほど時間をいただければ…」

「ではこちらで付与を加えますので、正規の金額で購入する形にしていただくことは可能ですか?」

「ほお…可能ですが、こちらの制服は服全体に付与がついていますが、なかなか難しいと思われますよ」

「そもそも付与効果をつける自体が少し難しいですものね」

「店側としては、ぜひオーダーメイドをお勧めしたいところですが…」


そこでおじさま店員が言葉を止める。

俺を静かに見据えると、声のトーンが変わった。


「しかし…今後の学校生活のことを考えますと、その方が安心かもしれませんね」

「あれ、反対じゃないんです?」

「店側としては、ですよ。こちらも商品には自身を持っておりますからね。指定といえど若干製法が違うもので。

 一応店からの付与は先ほど話した体の成長に合わせて服も伸長されていくものと、防塵、耐破損・耐炎・耐氷がついております。

 こちらで確認できた正常に付与効果が対応された数は5個…と多いほうです。しかし」

「しかし…?」

「大体は外からの刺激に対応しているのですが、内側や着用者の魔力への対応はそこまでしっかりしてません…」


内側。着用者の魔力。

俺とキールはあわせて首をかしげる。

その反応を見てか、おじさま店員は続けて


「ある程度の生徒の魔力量には対応しておりますが…正直SSランクほどの魔力量に耐えられるか、までは」

「んっ?」


あれっ、おれ、何かいったっけか?

キールをみるがキールも何もいってないよ?というような顔でこっちを見ている。


「いえ、先ほど測定のときにあれほど触らせていただいたのです。この年にもなるとそれくらいで魔力量くらい感じれますよ…。

 この年でこれほどの魔力量…親でなければおつきのものと一緒に来たわけでもない…となりますと、無色の装覇者さま…でお間違いないでしょうか」

「……そう、です」

「いえ、ギルドの会誌にも載っていましたので、もしかしたら…とは思いましたが、お会いできて光栄です」


光栄とか言われちゃったよ。

というか体触って気付くつか本当にプロって感じがする!

キールと顔をあわせながら苦笑する。

そういえばこの個室に案内されるとき横目に何組かの入学者を見ていたが、みんなフロアに設置されたテーブルや応接スペースを使用していた。

俺達はすぐ個室に案内されたところを考えると、もしかしたら最初からわかっていたのかも知れない、このおじさま店員。


「…なので、私が行っているわけではないのですが、我が店で取り扱っている商品がどのように扱われるか、ということにはとても気になるのが本音でもあります」

「なるほど…」

「それにしてもキールってそんなに付与魔法好きだっけ?確かに俺らの装備してるものってほぼキールが付与魔法つけてくれてるけど」


俺の言葉におじさま店員の目が光るのが見えた。

そんなに俺らと店員との距離がそんなにないテーブルではあるが、グイッと身を乗り出し俺達の装備を眺めだす。


「なんと!そうなのですか?!ぜひお見せください!!」


とても強い語気で言われ、つい俺はいつも来ているローブを差し出す。

するとおじさま店員は胸ポケットから魔道眼鏡を取り出し、フンフンと鼻息を荒くしながらローブを眺めている。


「なんと全属性耐性強化…裂傷無効…また珍しい幻影効果ですか…!」

「あ、セランのだけそれを…」

「そうですよね、なんと言ってもいわくつきのランクSSでございますからね…」


その言葉に別に悪意は感じないのだが、ちょっと言葉が詰まる。

少し時間が経ってからだが、ハッとした表情のあと「大変失礼いたしました。少々お待ちください」と席を立ち、室内においてあった台車とともに部屋を出て行った。

するとキールはいそいそと鞄から紙と筆記用具を出し、制服に施せる効果をガリガリと書き出しはじめた。


「……楽しそうだね、キール」

「おう、あんなこと言われたら燃えてくるよな!やっぱりプロの目は凄いわ…!」

「…そう…ね……はは」


適当に相槌を打ちながら室内を見渡す。

こうなるとキールって一気に集中し始めるから、俺暇なんだよなぁ…。

制服の直しに数十分といっていたこともあり、俺は暇つぶしに店内を見て回ることにした。







「お買い上げありがとうございました」



深々とお辞儀をされ、店外へ見送られる。

多量の入学用品一式はマジックバッグにきれいに収納された。


「高かったのは制服系だけで他のこまごまとしたやつ含めてもそんなにしないんだね」

「いいことじゃないか。でもこれならオーダーメイドでも大丈夫だったかもな」

「そんなこと言って、付与って聞いたときから若干目が輝いてたよ」


ごまかすような笑いで返される。

俺が支払いしている時もアクセサリー系の商品ずっと楽しそうに眺めてたしな。


書店に寄って教科書類や筆記類も購入した俺たちは、簡単に軽食を取れる店を探してこの後の予定を練ることに。

どこかで付与魔法を制服に施さなければいけない。一応宿屋などの施設内では個人の魔法は禁止されているようだ。


ということは一度王都からでなければいけないかな、なんて思っていたらキールによるとギルドの演習場でなら魔法使用が許可されているし場所を貸してくれるとのこと。

なので行先のひとつはギルド。

そしてギルドにいくならついでに登録内容の変更を行うことに。

今後学校に入学とのことで、ごくごく稀に、個人やランクでの指定や指名の依頼があるためだ。

王都かもしくは周辺にランク指定の依頼が来たとき、もしも誰もいない場合に駆り出される場合がある。そんなこと本当滅多にないけれど。


あと魔法道具屋に念のための素材道具とかの補充。

おそらくそれくらい回ったら今日は終わりだろう。

付与魔法考えて施す時間を考えたら先に買い物類だろうな。


サンドイッチの包み紙を丸めると、残った紅茶を飲み干して席を立つ。

キールは「俺デザートも頼んでいい?!」と注文したケーキの最後の一口を口に含み、俺のトレーの上にちゃっかりと食器をおいた。

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