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その者、”異端”につき。  作者: 月乃あかり
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入学準備に


時が経つのは早いもので、

もう入学式間近。


入学試験から一か月ほどで試験結果が通達される。

本来は家とかに届くものだけど、俺たちのように居を構えないものは試験会場地になったところへ張り出しをされる。

張り出しがされるまでガリオン周辺で依頼をこなしたりと時間を過ごしていた。


しかしどこからか漏れたのか、俺の入学試験への受験の話がなぜか西部の一部で知れ渡っていた。

しかも、試験結果が出るよりも早く、ギルドで発刊している冊子で噂か真実か、俺の合格発表は書かれているようだ。


『最年少記録を多数持つ無色の奏覇者、王都ミストニア学園へ入学!』


受付のお姉さんと、ガリオンのギルドマスターからお祝いの言葉を聞いてから冊子に目を通してはみたが…これは個人情報の漏えいではないのか。

というか虚偽記載の可能性もあるだろうに。

ギルドマスターに至っては俺がどんな奴かわかっているはずなのに、「俺の子供とたいして変わらん!」と入学祝いと書かれた封筒に結構な額の祝い金まで渡された始末。

西部の人たちは祝い事というか人情味があるというか…嬉しいことなんだけど、少し複雑な心境。


まあとりあえず、結果発表の当日、しっかり自分の合格を確認したところで俺たちは王都ミストニアへ足を運んだ。

もちろん道中も依頼を受け資金集めをして。


そしてミストニアにつくと学校で指定された備品の購入だ。

やっと今日ミストニアに到着したばかりだというのにもう、だ。

足早に宿屋へ向かう。

俺たちと同じように周辺の地域から来た人たちも多い。そのため埋まってしまう前に先に宿の確保。

あまり大きくない、そんなに立派でないところを探してギルドの受付のお姉さんに聞いた場所へ。


「ギルドのお姉さんが言ってたのはここら辺…」

「あ、あれじゃない?【猫獣の寝床 ミーティア】」

「よし、早く入って宿帳に記入してもらおうぜ」


この時期なものだからか、受付の人も簡単に済ませてくれて早めに部屋に案内してくてれた。

かわいい装飾をされた扉を開けると、今までに無い広さの部屋。

だからちょっと居心地はよくない、違和感ありまくり。

幾ら少しランクを下げた宿とはいえ、流石王都というべきか。


クローゼットの中に軽く衣類をしまい、外出用の鞄を準備すると、俺たちは宿屋を出た。



合否の確認をしに行ったときに渡された書類の中から入学前に準備する備品が記載された用紙を出す。

指定の制服・運動用の服・靴・鞄…様々あるが、宿屋の人に聞いたところ学校用品を主に取り扱っている店があるらしいのでそこへ向かう。

制服のサイズも見ないといけないしね。

結構な量だ。出費もかさむ…多めに稼いでおいてよかった。

今日の出費でまだ少しある期間の中、調整しないと…。


「入学前から、忙しいなあ…」

「入学してからも忙しいと思うけど」

「まあね…」


時期的なものもあって込み合う大通り。

入学前というと、学校自体休校なところが多い。また俺達のように入学前の物資の購入や、入学を控え早めに入国する人も多いため、さまざまな店が稼ぎ時のようだ。


人ごみの中、はぐれないようにキールが羽織るローブの端を手にして進んでいく。

この大通りの中に学校用品を主に取り扱っている店があるとの事だ。

宿屋のお姉さんからはわかりやすく旗が立っているはずだと聞いていたから、それを頼りに探して歩くところ数十分。

建物ほどの大きな細長い旗を発見。


[ 各学校制服・用品等品揃え多数 ]

[ 入学の準備はここだけでOK! ]


と、大きく書かれている。


「確かにこんなに大きければわかりやすいか」

「……そうだね。まず入ろう」

「おう」


店自体は王都にしては少しこじんまりとした三階建て。

入ってすぐのフロアは私立のだいたい似たような形をした制服や指定の靴下・帽子・鞄・靴がずらりと。

店内の案内板をみる限り、本当に品揃えが豊富なようだ。旗の通りここ一店ですみそう。


上へと続く階段のところに[ ミストニア学園 必需用品類は二階へ ]と書かれた案内板がさらに飾ってあった。

それを指差すと俺とキールはお互いうなずき、二階へ足を進めた。


「おぉ…」


さすが国立なだけあって、布から違う。そんな一式が階段を上ってすぐに飾られている。

ひとつのマネキンが着ている制服の横へ、補足のように書かれたポスターが貼ってある。


…今年の入学生徒の指定色は赤色のボーダー色になります。


制服の襟や袖に一本の太めな線が縁取られている。そこの色が各学年ごとに違うようだ。

各学年の色も一緒に記載してある。二年生は青、三年生は緑、四年生は黄色、五年生は白、六年生はオレンジなようだ。


キールと壁に貼られたポスターを呼んでいると、年配の店員が声をかける。


「いらっしゃいませ、ご来店ありがとうございます。この度は制服をお求めでしょうか?」

「あ、はい…ミストニア学園用の、一式を購入しにきました」

「ほぉ! ご入学誠におめでとうございます。本日はこの店[サファリ・ローズ]をお選びいただき、嬉しく思います」


胸の前に手を沿え、浅くお辞儀をされる。

つい固くなる俺に、キールは一歩前へ出ておじ様な店員さんと話を進める。


「制服のサイズを測っていただいてもよろしいでしょうか? 幾分今まで服を気にしたこともなかったので…恥ずかしながらサイズがよくわからなくて」

「いえいえ、ご自分の服の測りを性格に把握してらっしゃる方は珍しいほうですので、お気になさらずとも」


ではこちらに、と試着ルームへ通される。

そこへつくまでにもちらほら視界の端に同じ入学者であろう家族の姿が見える。

「お似合いよ~!」なんて拍手をもらっている子までいる。

決して羨ましいなどの感情で見ているわけではない。ただ…。


「では、失礼いたしますがローブと服を一枚脱がせていただいてもよろしいでしょうか」

「はい」

「後ろより失礼いたします…おや」

「はい?」


後ろからローブをはずし、一応と購入していたよそ行きのジャケットを脱がせてもらう。と後方からおじさま店員の声。

何かきになることでもあったのだろうか。まだシャツとインナーもあるから魔石は見えないはずだし…。


「いえ、随分所作がしっかりしていたものですから…慣れていらっしゃるなと」

「あー…いえ…。あ、入学するのを気に作法として身につけようと練習しまして…」

「…そうでしたか。いえ途中で申し訳ございませんでした。ではこのままで結構ですので、計測の方始めさせていただきます」

「お願いします」


後ろからメジャーを扱う音が聞こえると、肩幅や首周りから計測が始まった。

時々手が止まり、記入に迷う時があるようだが、そんなに時間もかからず終了する。


その間キールはというと、どうやら制服につけられるアクセサリーの中に補助系のものが多数あると興味をもち、見漁っているところだ。

…自分がつけるわけでもあるまいに…。


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