その者、筆記試験
入学試験は筆記試験と実技試験の二つがある。
本来面接もあっていいと思うのだが、大半を貴族が占めているためか、合否の結果により面接官の家系が…なんてことの防止なのか、面接はないようだ。
マーク先生以来の座学にとても苦労したが、なんとかヤマをはり頭に叩き込んだ。
しかし、普段より家で勉強している人より劣る自分。
なので今回の入学試験に渋るところが大いにあったのだが、過去問題を見ていたキールによりなんとか対策を得た。
俺は出来るだけ空欄がないようにし、問題用紙をペラペラとめくる。
運がいいことに、ヤマをはったところが多く出題されており、どんどんと解答欄を埋めている。
きっとこの試験が終わったらほぼ頭から抜けていること間違いない。
「……お、あった」
見つけたものの解答欄は、大き目の枠を使用している。
◎魔法の解明と証明…魔法の指定なし。簡易詠唱を可能にするまでの解明・証明をせよ。
配点 30~50
入学試験は400点満点。のわり平均が200~300点と年により幅広い。
理由としてはこの魔法の解明が三問ほどあり、これの出来で大いに変わってしまうからだ。
配点が30~50とあるが、過去試験の情報を取ったとき満点者はほぼいないとのこと。
一般教養がなくとも、魔法の才能・知識があれば入学の可能性は大いにある。
王都なだけあって、卒業さえできれば大体の将来は約束されているようなものだ。
家を継ぐにしても、他に就職するにしても、とても優位になる。
しかもパンフレットを見たところ、申請すれば貴族でなくてもこの入学試験で高得点、更に入学後も高評価を継続さえできれば流石王都、学費を半減してくれる制度もあるらしい。
だから貴族らしくない服装の人もちらほら居たみたい。
「…こんなもん、かな」
つい小さく呟く。
解明と証明は実は得意分野なのだ。
おそらく一番多く解答に多く使われている魔法は各属性の基礎魔法。
火属性なら炎の玉とか、風属性なら風の玉とかね。
採点が正確さを求めているのか、それともそれに加えより高度な魔法を求めているのか…。
”詠唱破棄”ではなく、”簡易詠唱”とかかれた部分をみたキールより、中級魔法のものを正確に書くように、と指示をもらっている。
他のみんなもそうするのでは、と俺は思ったが、『解明』はある程度なら専門書があるほど知識としては簡単に覚えられるが、『証明』には本がない。基礎魔法程度のものならどこかの学者が自分で本を出してるのもいるけど。
そもそも『解明』されたその現象を起こすための原理やコツを理解し、どのように魔法を使用し組み合わせ調整を行い、その魔法を簡易詠唱や詠唱を破棄して『証明』するのだ。
先ほど例にだした基礎魔法の中で一番面倒なのは、水属性かな。空気上の水分を元にするのか湖とかもともとあるものを利用するのか、自分の体内の水分を…ってくらい引き出し方がある。
証明するためには、詠唱のどの言葉がどのように魔力や力場に干渉し、流れを生むのか。そして魔力に練りこみコントロールするのか…本来長い詠唱のもと、一部は魔法式や魔方陣を用いるものだってある。それをいかに自分のものにするか。
キールから簡易詠唱・詠唱破棄を教わる時最初に言われたのが、息を吐くように自然なことのように魔法を使うのが最終目標、と。
確かに何度も同じ魔法を詠唱破棄で唱えていると、自分の魔力がそれを覚えるのかとても自然にコントロールできるようになる。みたい。
そう考えてみると、ただただ高度な魔法の解明をしたところで証明できるほどの魔力の量もまだないであろう他の受験者が、中級のものを書く人は少ないはず。とふんだ。
ということで、得意と思われる中級魔法を三つ枠いっぱいに書き込んだ。
せめて40点以上に採点されるといいなと期待。
というか書き終わってから思ったんだけど、これ恐らく基礎魔法以外だと採点者の人が実際に実践してみるんだよね。
馬鹿みたいな考えなんだろうけど、天才な人が上級魔法の証明して書いててたまたまそれが採点者の人の適正だったら、職権乱用じゃないけどそのまま覚えちゃって自分のものにしちゃうとかあるのかな…。
なにそれうらやま。とか思ったけど、よく考えたらそこまでの天才だったら学校なんて通わないか。
書き終わったにしても変にキョロキョロして怪しまれても困るし、答案用紙を見る体勢で軽く周りを見るが、みんな解答用紙にびったり張り付き、机にペン先が埋まるんじゃないかってくらいガリガリと音を立てて書き込んでいる。
「……もう一回、見直すか」
ここまできたのだ、受からなければ。
「筆記試験、そこまで!」
暫くすると終わりの時間を告げる声が響いた。
再びざわめくアリーナ内。
その中前方にてぴょんぴょんはねる女の人、総合試験管のソフィアさんの声が聞こえる。
おそらく次の会場の案内を叫んでいるのだろう、しかし受験生の声やその家族の声やらで俺の場所までは聞こえない。
すると
『みなさん!!次の会場である、外の運動場へ、移動をお願いします!!』
と、どこから出したのか拡声器を使い大声をアリーナに響かせた。
外へ移動か…どうやら荷物も持って行かなければいけないとのことで、受験生の群れはぞろぞろとアリーナの外へ向かっていく。
運動場の場所なんて覚えていない。ので、他の受験生の波に流されていこう。




