その者、入学試験
強い日差しに当てられ、熱いのが嫌いな俺は軽く項垂れていた。
隣には俺とかわって涼しい顔をしたキール。
なぜキールは俺と違い涼しい顔をしているのかというと、キールは水属性、自分の体の周りに軽くミストを張って少し冷やしているからだ。
俺にもやって!と駄々をこねたのだが、不敵な笑みのみでやってもらえなかった。
あのドヤ顔は「これは俺が独自で考えた魔法だ。弟子とはいえそう簡単にやってやるわけにはいかかんなぁ」とか「その頼み方ではなぁやってやる気にはならないなぁ」とか、そういった類の表情だ。性格わるっ。
自分でやってみなよってことなんだろうけど‥‥
そういう風に言われると逆にやる気をなくすお年頃なんだよね。
あれから俺達はちまちまと依頼をこなしつつ、学園の方から来た入学試験会場の開催場所のうちの一つ、ここ西部大首都ガリアンに来ている。
一応俺の生まれたラルバンシェや、王都でも会場はあるのだが、もしかしてフランと被ってしまったら、と考え一番遠い西部まできたのだ。
会場である、ガリアン内で一番大きいとされる学校、都立プリティナ学園。
大首都の都立なだけあって、門も大きく門前に受付を設置していても余裕なほどだ。
「では、此処に記入をお願いします」
受付に願書を出すと、それと交換で渡された記入書類には名前等の個人情報、魔法経験、ギルド加入者か、等々。
門を通り、記入用に設置された中で空いたテーブルを探しながらキールとまじまじと紙面に目をやる。
基本的な中でふと目についた項目。
"ギルドについて・・・ギルドに加入していますか?"
俺はキールに訪ねた。
キールはちょっと考える仕草の後、「いーんでない?」の一言。
キールのあっさりとした返事に更に悩んでいると、ちょうど通りかかった案内だかのお姉さんの声が俺の方に掛けられる。
「大丈夫ですよ、贔屓する訳でもないですし…在学中の依頼の対応についての調査ですから」
「そうなんですか‥‥」
「たまに部活動などでのお金の捻出の為等に使われたい方もいらっしゃるようですよ」
と、笑顔で言う。
いや俺としては、その項目の下の欄、
"上記項目でチェックした方は、ギルドカードを提示ください"
これが気になっているのだ。
だって、提示したくないんだもん……
空いてるテーブルを見つけ、そこでギルド関係の項目以外はパパッと記入を終える。
その間も唸る俺。
そして、
まぁ、いいか。
と、もうため息混じりにチェックを付けた。
そして、受付に提出。
項目のチェックを見た受付のお姉さんは、変わらぬ営業スマイルで問い掛ける。
「ギルド加入者ですね、カードの提示をお願いします」
「……………はい。」
間はせめての抵抗である。
ギルドカードを提示、そしてしばしの沈黙。
営業スマイルが、ちょっと引きつってる。
俺とギルドカードを交互に見ると、パッチリとした目がもっとパッチリ開かれ、
「ぇ、……え?
――えぇえええぇええ??!」
うるさっ。
「……だから嫌だったんだ…」
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あれからまだ時間は経ってない。
うん、まだキールは腹を抱えて笑っている。
このやろう。
さっきのお姉さんの叫び声で、少し周囲の視線が痛い。
どうやら俺の名前は結構知れてるらしい。
変な魔石ついてるって騒がれたのは知ってるけど。それに比べてまぁ、レンジェーナ家は東部の方で名のある家名だからね、流石に西部にも名は知れている。
まあそれ以前に、俺の名が知られている理由は他にもあるわけなんだけれど。
……なんだよ、ただ最年少で二つ名とったくらいで。
「……ってか、どうすんだよキール」
「ぁん?なにが?」
「ここって、寮みたいだけど、俺が居なくなってキールそれからどうすんの?」
「え、別に今までと変わらないよ?
何、セランてば自分が居なくなって俺がさみしくてどうにかなると思ってる?むしろセランがさみしくてホームシックならぬキールシックにでもならないか心配だよ」
「・・・・・・」
聞いた俺が間違っていた。と俺は呆れた顔でキールの斜め前を歩き出した。
試験開始まで後少し、とりあえず会場であるアリーナへ向かおう。




