一応チビは禁句です
主人とおっさんに交互に目をやるが、やはり住みつき常連となっているの人なのか、バツが悪そうな表情で目を背けられる。
――― バンッッッ
鉄でできたカウンターでも割れるんじゃないかってくらいの強さで拳が降ろされた。
ん?
勿論、俺の目の前。
「………聞いてんのか、このガキ」
「やめとけよー、もうビビって声も出てねーじゃねぇか」
「んなちびっこに声荒げんなよなー」
「そうだぜ、ちびっちゃうと悪いしな!がははは!」
…………ちび…?
このギルド兼酒場の建物は大して大きくない。
ということで、騒がれると煩い。
その上に、よく聞こえる。
俺は眉間にしわを寄せると、主人に声をかける。
「…すみません。お金、払いますんで」
言いながら、ぴらっとギルドカードを見せる。と。
主人は驚いたような表情を見せた後、小さく頷いた。
のを確認すると
「あ?何言ってんだぁ?金出されてもお前みたいなガキにはなぁ…」
―― ダンッッ
ちょっと力を込めて、俺は拳をカウンターに叩きつける。
すると。
― ガタンッ
恐らく鉄か何かででできているであろうカウンターは俺が拳を打ち付けた所から亀裂が入り、そこからパカッと割れ倒れていく。
「ぅおっ??!」
カウンターに手を置いて体重をかけていた男の体は、割れたカウンターと一緒に崩れ落ちた。
主人はタイミング良く割れ物を取ったので割れないで済んだよう。
床に崩れたまま、目をぱちくりさせた男を見下ろして、俺はフッと鼻で笑ってみせる。
「じゃあ…このブラックベアので良いです。依頼書ください」
「ぁ、はい」
俺は多分弁償金くらいにはなるだろう、ファイルの一番上にあった5万の依頼書を貰うと、男を放置しギルドを出た。
カラン、と鐘の音を立てて扉が閉められる。
と直ぐにまた、今度は大きな音を立て開けられた。
出てきたのはさっきの男。
「おい、ガキ!」
「はい?」
「ブラックベアなんてBランクの魔物1人で受けられんのか?なんなら、俺がついてってやろうか」
………。
こいつ、さっきので何も思わなかったのか。
カウンターが割れたのは老朽化とでも思っているのか?
俺は男を見上げたまま固まる。
後にふぅ、と小さくため息をつくと、大丈夫ですと断りを入れて俺は再び足を進めた。
後ろから男の叫び声が聞こえる。
………やっぱり、1人で来るんじゃなかった。




