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アキノカゼ
稲穂
秋の稲穂は
頭を垂れて
何かへ感謝を
捧げるように
ただ、じっとしています
時折吹く風に揺られ
さらさらと
それでもただ
頭を垂れて
稲のみのりの隙間を通る
夏の暑さの風とは違う
涼やかさを多く含んだ秋の風は
夏の気配を押し出して
冬が遠征してくる前の束の間
さらさらと
稲穂の合間を通るので
大きな波のようにも見え
そこに夏の名残を感じるような
冬の訪れの先触れのような
なんとも言えない感覚が
するりと心の隙間に入る時
秋の稲穂は
頭を垂れて
祈るように厳粛に
捧げるように確りと
何をするでもないけれど
ただそこにひたすらに
頭を垂れてあったのです
かっとしてやった。後悔はしていない。
そう言えば、むかぁし、文集の題名は稲穂でした。




