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第15話 ギルドマスター

今日はフィストのところに行くついでに、依頼を受けようと朝から、冒険者ギルドにやってきたのだが、シエラからギルドマスターと会って欲しいと言われた。


そして、今ギルドマスターの執務室の前までやってきた。


「失礼します。シエラです。鐵の皆様がお見えです。」

「いいよ。」


扉を開けると、オレンジ色の瞳に茶色の短い髪、そしてエルフ特有の長い耳を持つ少女がそこに座っていた。

見た目はどう見てもまだ幼い。けれど、こちらを見返してくるその視線は、長い歳月を生きた者のように静かで澄んでいる。


俺が言葉を探していると、少女――いや、そのエルフは、にこりと柔らかく笑った。


「やあ。僕がギルドマスターだよ」


あまりに場違いな自己紹介に、思考が一瞬止まる。

どう見ても18歳くらいにしか見えないこのエルフが――この街の冒険者たちを束ねる、ギルドマスター……?


それにボクっ娘だ、要素詰め込みすぎだろ。

「君がヤクモで、そっちがエリシアだね」

そう言うと、彼女は椅子から立ち上がり、こちらへと小さな足取りで近づいてきた。

そして目の前まで来ると、くいっと背伸びをして、俺の顔を覗き込む。


オレンジ色の瞳が、すぐ目の前で静かに揺れていた。

その距離の近さに、思わず息を呑む。


――やっぱり見た目は女子高生くらいなのに。

視線だけが、不釣り合いなほど大人びている。


「いい目だ、よし、君たちは今日からDランクだ。」

「ギルドマスター説明を」

「そうだね、とりあえず座って座って」

俺とエリシアを背中から押して、ソファへ誘導して、座る。


「では、改めて僕がオレンジの街のギルドマスター、アステリア・グレイシスだ。ステラでいいよ。」

「そうか、でステラ。俺たちはなんで呼ばれたんだ?」

「君たちをDランクに昇格させるか、判断し損ねていてね、こうして実際会ってみることにしたんだよ」

「合格か?」

「もちろん、合格だよ。君たちは強い」

「そうか。それでどうして急に?俺たちはEランクに昇格したばかりだぞ?」

「レイヴンからの推薦だよ。」

「レイヴンさんからですか?」

エリシアも驚いている。


「そうだよ。赤いオーガの討伐、月下の弓矢の確保、それらをやってのけた君たちはDランクにしてやってくれって。僕はDランクでも足りないぐらいだと思うけどね。でも、Cランクになるには試験を合格する必要があるから、僕の権限で昇格させられるのはDランクまでだよ。」

「たしかに、Cランクを単独で倒す実力があるのにEランクでいる意味もないか。わかりました。Dランクになろう」

「いい心がけだね。早速だが、Cランク試験を受けてもらいたい」

「今からですか!?」

「いや、君たちの予定が合う時で大丈夫だよ。」

「そうですか、もうCランクですか。なぜそんなに早くCランクに?」

「今この街では、Cランクが1パーティー、Bランクが1パーティー。先の依頼で一気に2つのCランクパーティーがなくなってしまった。レイヴンたち英傑の集いはAランクになったら、この街を出ていくんだよ。だから、早急にこの街の住民の拠り所となるような冒険者が必要なんだよ。」

「なるほど、英傑の集いが、、、わかりました。」

「まあ、君たちもすぐにレイヴンに続くような気がするけどね。もちろん僕も手伝うから、後輩の育成も頼むよ。」

「他の冒険者を後輩と呼べるほど、冒険者やってないんですけどね。それに申し訳ないですけど、俺らはここに定住するつもりはないです。」


前世のようにイエスマンではいられない。俺の人生だ。俺の好きなようにやらせてもらう。

それにーー

「街を守るのは、俺たち冒険者の仕事ではなく、冒険者ギルドの仕事だ。俺もエリシアも、ギルドにもこの街の住民にもお世話になっているから、できる限り協力はさせてもらう。」

「そうだね。それは君の言うとおりだ。」

俺はステラに試されていたのかもしれない。

「もちろん、僕たちもそのつもりだ。君の本心を聞きたかっただけだよ。ごめんね。」

てへぺろとでも言いたげな表情だ。


「君たちは強くなる。これから魔法騎士団やら貴族やらいろんな勢力に話を持ちかけられるだろう。その時、自分の選択をして欲しいんだ。意志のない力ほど虚しいものはないからね。」


試されていたのか、そしてやはり、いたずらな表情をしていた。


Cランク試験は、後日に決まった。対人形式で行われるらしい。どんな相手か今から楽しみだ。もちろん、エリシアもウッキウキだった。


コカトリスの討伐依頼を受注して、冒険者ギルドを後にした。





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