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第14話 戦いの後の宴

レイヴンさんと合流して、トーマス、オーガとの顛末を説明したあと、トーマスを回収し、オレンジの街に帰還した。

帰還後すぐに、ギルドでシエラにトーマスたちのことの顛末について説明した。


「そんなことが、こちら側の不手際です。申し訳ございません。」

「いや、いいんだ。襲われたのが俺たちで良かった」


 いや、ほんとに。良い人ぶってるとかではなく。トーマスとの戦いはエリシアも楽しそうだった。それにトーマスで存分に実力を試せたおかげで、フィストに勝てたんだ。


トーマスと、なんとかとなんとか、なんとかの弓矢の人たち襲ってきてくれてありがとう。


「俺、月下の弓矢のやつらほんとに嫌いでよ、ありがとうな。兄ちゃん!」

そうだ、月下の弓矢だ。あいつらのエリシアへの言動を考えると、パーティー名が卑猥に思えてきてならない。


冒険者のおっさんが絡んでくる。これを皮切りに次々と月下の弓矢を憎たらしく思う冒険者が集まり、大騒ぎになった。


飲むぞ飲むぞ、今日は飲むぞと、てめえらも行くぞと、人が集まる集まる。


どんだけ反感買ってたんだ、月下の弓矢よ。

どうもあいつらが町の二番手、下手に手出しはできなかったようだ。


それに、瀕死だったマルコさんとコールマンさんも無事とわかってみんな大騒ぎだ。月下の弓矢とは正反対に、紅蓮の騎士の人たちはこんなに好かれてんだなーと感心する。


「レイヴンも来いよ」

最初に絡んできたおっさんが、レイヴンも呼んだ。レイヴンは受付で依頼の後処理をしている。

やれやれという態度を取っていた。いや、あれは来るな。前世でも嫌がっているような態度を取りつつも、なんだかんだ誘えば飲み会に来るやついたもんな。ああいう感じだ。


「ヤクモさーん、明日か明後日またきてくださいねー!」

 去り際、シエラが遠くから頑張って叫んでいる。こっちも頑張ってグッドサインを送る。

 ハンドサインとか遠くからやり取りするのって二人の空間って感じで良いよな。


 エリシアはというと、ごっつい女冒険者に囲まれていた。その人たちも合流し、宴会に参加するようだ。

 そのまま冒険者ギルドの隣にある酒場に、連行され宴会が始まった。


 途中、重症だったマルコさんたちが登場し、大いに盛り上がった。だが、それと同時に二人が引退を発表した。


紅蓮の騎士の残りのパーティーメンバーであるジンとユナが大泣きしている。引退する寂しさ、無事であったことの安堵、忙しない表情をしている。


エリシアとシエラたち女性陣が、恋愛話に花を咲かせていた。


「ねぇ〜、年はいくつなのー?」


楽しそうにしているエリシアを眺めていると、不意に女性冒険者に絡まれた。


腕に、柔らかな感触が押し当てられる。


む、胸が当たっている。


その事実に意識が一気に引き寄せられ、感触を楽しむどころではなくなった。


「……18歳です」


思わず声が硬くなる。


「若いわね〜。彼女とかいるの?」


距離は近いまま、上目遣いで覗き込まれる。おそらく20代後半、ムンムンだ。


「ちょっと酒、取ってきます」


そう言って、俺は急いでその場を離れた。


……たぶん、俺が強いから。あるいは、見た目がそれなりだから。

こうやって寄ってくる女性は、これからもいるんだろう。


その気になれば、すぐに関係を持つこともできるはずだ。


けど――こういうのは、違う。


心の繋がりがない関係なんて、人形相手と変わらない。


……だから、いつまで経っても彼女の一人もできないんだろうけど。


女性陣から逃げたと思えば、次は男性陣だ。


エリシアとの関係を、根掘り葉掘り聞かれる。


「いや、まだ何もしてないって」


何度言っても、にやにやとした視線は消えなかった。


「そういやよ、王都にもお前たちと同じくらいの歳の新進気鋭の冒険者がいるんだよ。そいつ、登録してまだ一年なのに、もうCランクだってよ」


「へぇ、そりゃすげえな」


「しかもソロらしいぜ。なんでも……妙な術を使うとかでよ。確か、忍術って言ったか」


「忍術? 聞いたことねえな」


「すげえ、強えらしいじゃねえか。まあ、うちのヤクモには劣るがなあ!!」


ガハハハ、と場は笑いに包まれる。


だが――


その言葉だけが、やけに耳に残った。


……忍術?もしや俺と同じ転生者がいると言うのだろうか。転生者ではないにしろ、いつか会ってみたいな。


気づいたら、遠くにいるエリシアの顔が真っ赤になっていた。


エリシアは大人っぽい見た目の割にお酒に弱いらしい。大分酔ってるらしく、今日は帰ることにした。


「もう帰るのか」

あんな嫌そうな顔をしておいてやっぱり来ていたレイヴンさんに、帰り際話しかけられた。


「レイヴンさん」

「レイヴンで構わないよ。」

「では遠慮なく。月下の弓矢の件は申し訳ない。レイヴンの顔に泥を塗ってしまった」

「いや、君たちが謝ることなんてないさ。君たちのおかげでマルコさんとコールマンさんを助けられたんだ。お礼をさせてくれ。ありがとう」


本当はフィストを仲間にしたかったからなんて、絶対に言えない。


宿につくシーン、ベッドシーン


寝る前、正当防衛といえど俺は人を殺した。でも、人を殺すことを悪いと思ってしまうと、この世界では生きていけない。


時には非常に合理的な選択をすべきだ。普段からそういう心がけをしておかなければ、いざという時に躊躇してしまう。常に殺すことを選択肢として入れておくべきなのだ。


1ヶ月で2人の魔人を仲間にしている。これからもどんどん仲間は増えていくだろう。その時、仲間を守れるのは俺自身だ。

異世界で生きていくために、捨てるものも得るものもたくさんある。


異世界で生きていくための変化に向き合い、常に選びながら流されず判断していこうと思う。


するとーー                  横から、チョンチョンと服の裾を引っ張られる感触があった。


振り返ると、そこにいたのは、いつもの寝る時の狼の姿ではなくーーネグリジェを身に纏ったエリシアがいた。


淡い布地が、白く細い肩と腕をやわらかく包み、

白銀の美しい髪が、艶やかに赤い頬にかかっている。狼の耳と尻尾


その瞳は、戦場とはまた違った色っぽさを含んでいた。


エリシアは少しだけ近づいてきた。

ネグリジェの裾を無意識に指でつまみ、視線があちこちに泳いでいる。


「えっと……さっきから、ずっと難しそうな顔してたから……」

そう言って、ちらりとこちらを見るが、すぐに目を逸らした。


その仕草がやけに可笑しくて、そして――妙に胸が落ち着かない。


「……ちょっと、心配で」


ほとんど聞こえないほどの声でそう付け足し、彼女は小さく頬を赤くした。


こちらからも近づく...


そして、、、


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