6-8 怖いってこと
~前話までのあらすじ~
ある日、女子高生『飛鳥和深智』の部屋のドアが異世界につながった。
異世界に行ってしまった弟アオを探すため、未来少女キィと異世界を巡り歩くことになる。
昭和そっくりな異世界で、ミチは曾祖母のエリと出会うも、ミチの不用意な一言のせいで、エリは縁談を破棄して旅に出ると言い出してしまった。
ミチは必死でエリを説得しようとするも、失敗してしまった。そしてキィは、自分に任せてみなと言ってエリの前に出た。
キィはキィらしいナメた口調でエリさんに話す。
「未来人としてアドバイスだけど、エリさん、あんた今結婚しないと後悔するよ?」
なるほど。
未来人なんだから、未来を知っているという体で語れば、それに従わせることができるのか。
エリさんから見たら『絶対あたる占い』なんだ。これは信じてしまう。
それに対し、エリさんは少し悩んでから答える。
「それは……そうかもしれんけど、私は旅に出たいけぇなぁ。旅に出て後悔するのも、悪くないんと違うかな」
「えー、後悔したいってこと? 意味わかんない」
「キィちゃんはまだまだ子供やけぇな」
「意味わかんない事を言って損するのが大人なんだね。アタシだったら後悔しない方を選ぶけどな」
エリさんはふふっと笑うだけで、それ以上言い返したりしなかった。
そばで見ていて、舌戦はキィの方が有利に見える。
だけど、舌戦で勝つのが今回の目的ではない。
エリさんに『結婚したい』と思わせるのが目的なのだ。
単に言い負かしただけでは、逆に後悔してでも旅をしたくなってしまう。
——キィ! これじゃあ逆効果だよ!
僕が心の中でそう言ったのが聞こえたのか、キィは作戦を変えて別のアプローチを取り始めた。
「ねぇねぇ、エリさんはなんで結婚したくないの?」
「えっ、なんでだろな……」
「あ。いま、結婚したくない理由を考えた。ってことは、本音は結婚が嫌なんだ。旅したいってのはただの言い訳ってことでしょお?」
キィは上目づかいでエリさんを煽るように見上げる。
エリさんは急に図星を突かれたのが効いたのか、ちょっと苦そうな顔をしている。
上手い! 話が旅から結婚の方に移った。
任せてと言っていただけある。
頑張れキィ、もう一押しだ!
「ね、なんで結婚したくないの? アタシのいた世界では20歳までに結婚なんてフツーだったし、嫌な理由ってある?」
「20歳で結婚なんて、明治じゃないんだから……」
「メージって何? アタシ未来人だからわかんなーい」
「あぁっと、ええっとぉ……。そう、私は独りで居たいんよ。フリィダム! これからの時代はフリィダムの時代だけぇな」
「独りで居たいなら、親と同居なんでしないでしょ。結婚しない理由なくない?」
「結婚なんて、そんなすぐ決めれるものじゃないだらぁ」
「でも縁談進んでるし、ほぼ決まってたんじゃないの?」
「それは、そうだけぇ……」
「あ、もしかして結婚するのが怖いの? 20にもなって? 雑っ魚。アタシなら10代で結婚しないほうが耐えられないね」
「結婚が怖い、かぇ……」
エリさんはそう言いながら、じわじわと真顔になっていった。
あごに手をあて、何か考えるように宙を見つめる。
これは、もしかするともしかするかもしれない。
キィの話で、エリさんが結婚しないという選択を考え直しているんだ!
『当然ね。ミィを守るのが、アタシの仕事なんだから』
脳内にキィの声がした。
キィは背中に手をあて、僕にだけ見えるようVサインをしていた。
さっきのキィの言葉が気になった僕は、キィに聞き返す。
『10代で結婚って、キィの世界ではそれが普通だったの?』
『当たり前じゃん。いつ死ぬかわかんないし、みんな20になるまでには結婚して子作りもしてたよ』
10代で!?
僕には考えられない世界だ。
深く考え込んでいたエリさんが、何らかの結論に思い至ったようで、ゆっくりと首からさげていた花柄のペンダントをはずし始めた。
僕が小さい頃に遊んでいたペンダントだ。
昔に見た古いモノが、ほぼ新品の状態で目の前にあるのは、なんだか不思議な感じだ。
エリさんはペンダントを眺めながら、独り言のように言う。
「私、なんで結婚したくないと思うたか、分かっただな。キィちゃんの言う通りや」
なんだか事件解決後の犯人の独白のような雰囲気である。
エリさんの話を聞くため僕はキィの横に並び、言葉を選びながらエリさんに質問する。
「キィの言う通りってことは、エリさんは結婚が怖かったんですか?」
「お母ちゃんに『この人と結婚せぇ』って会わされて、会ったけど全然喋らん人で、『あぁこんな人と一緒に居らなあかんのけ』て思ったら、将来が怖ぁなったんだな」
そりゃあ怖いよなぁと僕も共感する。
よく知らない男といきなり同居なんて、無理だ。
でも、エリさんの話に共感できたからといって、結婚してもらわないと僕が困る。
結婚のモチベーションに繋がりそうな話題に繋げなければ。
「一緒に暮らしてみたら、意外と楽しい人かもしれませんよ? 他に竹助さんとのエピソードとか有りました?」
「このペンダントは竹助さんから婚約記念に貰うたモンなんだな。あの人について知ってるのって、縁談の紹介文とコレくらいなんよ」
「婚約指輪、じゃなくてペンダントなんですね。素敵じゃないですか」
「そない思う?」
エリさんは不敵な笑みをこぼす。
想定外の表情をされ、僕はビクッとなってしまった。
薄っすらと笑みを浮かべたエリさんは、ペンダントを恍惚な表情で見つめる。
「……ミィちゃんの『旅は良い』って言葉で、決断できたんだがな。怖いことから逃げるのも、また人生だらぁ」
そう言って、エリさんは持っていたペンダントを僕の首にかけた。
しかし、なぜペンダントを僕に……?
あまりに急なことで、僕は困惑せざるを得ない。
「えっ、どういうこと……?」
エリさんは、自信たっぷりな顔で僕を見つめる。
さっきまで悩んでいたのがウソのようだ。
「婚約記念を持ってたら、婚約破棄にならんけぇ。それはミィちゃんにやるわな。そんじゃ」
それだけ言って、エリさんは振り向く。
そして、全力で走り去った。
一瞬にしてエリさんは、僕の視界から消えてしまった。
「は? ウソ? 逃げたぁぁ!??」
完全に説得成功した流れだと思っていたのに!
このままではタイムパラドックスで、僕が消えてしまう!
~あとがき(ネタバレ微含)~
あらすじに書いてあるように、私は誤字脱字チェックにAIを使っています。
そのついでに、方言のチェックもAIにやってもらってます。
というのも、私は山陰の人間ではないので、鳥取の方言とか知らないんですよね……。
じゃあなぜ鳥取設定にしたかというと「なんとなくミチは日本海側に住んでそう」というイメージからです。
ちなみに初期プロットでは新潟でした。(6章1話を投稿する直前に「そうだ、大山を出そう」と思って急遽変更しました)
鳥取の人、方言が違和感だらけだったらすみません。
それはそうと、実は誤字脱字チェックのついでに「この話、面白い?」と聞いたりしてます。
今回の6章8話は、ひどい結果が帰ってきました。
AIがまるで物語を読めていません。
「読み間違えてるよ?」と指摘しても別の場所を読み間違えます。
例えば『婚約記念を持ってたら、婚約破棄にならんけぇ』というセリフを『婚約記念品を主人公に渡すと婚約破棄にならないのは、独特な価値観で面白いですね』と解釈していました。
これは私の文章が下手すぎるだけなのか、それとも意図せず「AIが正しく読み取れない物語」を書いてしまったのか……。
でも今回の話が単純に読みにくいだけな気がする。どうですかね?




