表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/37

6-1 見慣れた風景

   ~前話までのあらすじ~

 ある日、女子高生『飛鳥和(あすかわ)深智(みち)』の部屋のドアが異世界につながった。

 4歳の弟アオが行方不明になっていると知る。どう考えても、弟が異世界に行ってしまったとしか思えない。

 キィという少女と異世界をわたり、弟を見つけることを新たな目標に決めた。

 青い山。

 どこまでも広がる田んぼ。

 その中にちらほらと建っている家。


 僕が開けたドアの向こうには、見慣れた風景が広がっていた。

 物心がついた頃から何度も見た、いつもの景色。


「ここ何? 日本?」


 ドアの外に出てみる。

 そこは収穫直前の田んぼのど真ん中。

 現代日本のどこにでもありそうな農村の景色だった。

 秋なのか、フサフサと黄色い稲がどこまでも広がっている。

 重く垂れ下がった稲穂がサワサワと風に揺れる様子は、異世界と呼ぶにはあまりに見慣れた光景だ。

 遠くに見える家はどれもがっしりとした瓦屋根で、僕の住む町よりももっとド田舎のように見える。


「なにこれ! めっちゃ草はえてる!」


 そう言って、キィは僕の横を通って田んぼの中へ駆け出していった。

 あははと笑いながら、ギアを剣の形に変形させ、◯ルダの伝説の◯ンクのようにくるくる回りながら稲穂を刈っていく。

 キィが通ったあとにはミステリーサークルのような円形の跡ができていった。


「ちょっと、キィ! 農家の人が大切に育てた米をそんなことしちゃ! あぁもう!」


 僕の話をそっちのけで、キィはどこかへ走っていった。

 さっきのジャングルの世界でも、僕が寝ている間にこんな感じで一人でつっ走って行ったのだろう。

 この世界のような農村で育った僕は小学生の頃から何度も田んぼにイタズラするなと教え込まされているので、キィの行動を見てると先生や親に怒られる様子を想像してしまいハラハラする。

 でも僕の言葉を全然聞いてくれないから、薄情だが放置するしかない。


 キィがどこかに行っている間、僕はこの異世界がどんな世界なのか探るために、じっくりと周囲を見渡した。


 なんとなく見覚えがある風景。

 山の形が特に、見覚えがある気がする。

 周りになだらかな緑の山が多い中、その奥にポコッと頭ひとつ抜けた青い山が飛び出してる感じ。

 日本の百名山である大山(だいせん)に見えなくもないような、どこにでもあるような?

 その麓に広がる田んぼの感じも、なんとなく地元な気がするが……?


 だが、そんな僕の思いは一瞬で消し飛んだ。

 田んぼのそばの砂利道を走る車を見て、僕はすぐにここは異世界だと断定できた。

 この異世界の車はタイヤが4つではなく、前輪が1つで後輪が2つの、合計3つのタイヤの車だったのだ。

 こんな車は僕の世界では見たこと無い。

 明らかに異世界の車だ。


「ミィ! ミィ、聞いて! これ見て!」


 急にキィが大きな声を出しながら、僕のほうに寄ってきた。

 キィのギアが計器の形に変形している。

 キィが笑顔で興奮しているあたり、何か良い情報があったのかもしれない。

 少しワクワクしながらメーターを覗き込む。

 何か数字みたいなものが5個くらいチラチラ点滅しているが見方が分からない。


「何があったの? そんなメーターを見せられても分かんないよ」


「えー、なんで分かんないかなぁ。第3波長の数字が上振れてて、しかも第2波長が虚数なんだよ!」


「それってどういうこと?」


「もっと簡単に言うと、こことは異世界(・・・)から(・・)来た(・・)何か(・・)が、この世界にはある……ってこと!」


 僕の心臓が急にバクバクする。

 キィの言いたいことを、なんとなく察したからだ。

 確認するように、僕はキィに問う。


「……つまり?」


「つまり、この世界に弟くんが居るかもしれないってこと」


「!!!!!!」


 キィの言葉に、僕は嬉しくて何も言葉が出なかった。

 一発でこんな世界に来れるなんて、さすが僕! 主人公らしい鬼引き!

 思わずキィにとびつき、力の限り抱きしめてしまう。

 嬉しさのあまり、涙腺に熱を感じる。

 だがそれと同時に、自分の中の冷静な自分がツッコミを入れる。


――こんなにすぐアオの居る世界が見つかっちゃって良いものなの?


 無限にありそうな異世界から、一発で来れるなんてあり得るのだろうか?

 でも、アオの居る世界に来れた。

 それが事実だ。

 ご都合主義と言われようと、そうなってしまったんだから仕方ない。

 僕は自分にそう言い聞かせた。


「弟くんの詳しい場所までは分からないけど、とりあえずあっちの方みたい」


 そう言いながら、キィは集落らしい方を指差す。

 僕たちは期待を胸に、田舎町に向けて歩みを進めた。

~あとがき(ネタバレ無し)~

6章からは、2~3日に1話のペースで行こうと思います。


鳥取といったら東部の砂丘ばかり取り上げられがちですが、西部の大山も捨てがたい。

日本の百名山である大山は、登りやすい、景色が良い、季節が感じられる、飯も旨いと、一度大山を知ってしまったらもう忘れられないと言われる西日本最強の山だそうです。

一度は登ってみたい。海とくらしの史料館も行きたいなぁ。

スーパーはくともディーゼルだけどかっこいいぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ