4-4 チーム結成
~前話までのあらすじ~
ある日、女子高生『飛鳥和深智』の部屋のドアが異世界につながった。
ドアではなく窓を開けるとそこは終末後の世界で、ボロボロの基地に連れてこられた。
そこでキィという少女に出会い、この基地に住む前提で話が進められてしまった。
結局、質問タイム無しで僕はキィに連れられ、基地の外まで連れてこられた。
移動中に何度か人とすれ違ったが、どの人も僕をじっと珍しそうな顔で見ていた。
こんな未来世界だろうと、異世界から人が来たなんてのは珍しいのだろう。
キィに連れられ、地下鉄の駅のような出入り口から基地の外に出る。
基地の中にどこにも窓が無いことから予想できていたが、基地はやはり地下にあるようだ。
階段を上り地上に出ると、そこは廃墟と化した大都市だった。
暗い地下鉄の階段を昇った後だからか、満天の星空が眩しく感じた。
草の生えた道路の上に小型ボートのようなものがあって、その周りに数人の人が立っていた。
その中の一人が僕たちが来たことに気づき近寄ってきて僕の肩に手を置いた。
30代くらいの、背が高くて体がガッシリした女の人だ。
「キミがミチだね。オレの名前はウィシャ=ノシ=ペルベルヴァ。隊長と呼んだらいいぞ」
そう言ってニコッとスマイルをした。
そしてボートの周りに立っていた他のメンバーに声をかけ、一人ずつ自己紹介させた。
イアーガはブロンド髪が綺麗な、僕よりちょっと年上くらいの女性。隊長の右腕をしているらしい。
クヴィトテは僕と同い年くらいの、人見知りな男の子。会話は苦手だが戦闘スキルは隊長の次に凄いそうだ。
サランノは、キィと仲良さそうにハイタッチしている中学生くらいの男の子。キィの兄の親友で、キィと同チームになるのは初めてらしい。
ウェネネアは、目の細い40代くらいのボサ髪女性。メンバーの中で最高齢で、この基地の調査班のリーダーだそうだ。
バラペテは、サングラスをしてる20後半くらいのチャラ男。ウェネネアの助手だそうだ。
サラハサラは、他のメンバーから離れたところでポツンと立っている女の子。『中二病』だとみんなに言われ、不貞腐れているらしい。
――こういう自己紹介、されても絶対覚えられないんだよなぁ……。
僕は名前を覚えるのが苦手なタイプである。
いきなり隊長含め7人も自己紹介されても、覚えられない。
しかも異世界の聞き馴染みない名前ならなおさらだ。
そんな事を思いつつ、次に来るであろう僕の自己紹介で何を言おうか考えた。
自己紹介を聞くのは苦手だが、言うのはもっと苦手だ。
「ちょっとオタク気質のあるごく普通の女子高生」で、それ以上でもそれ以外でもない。
オタク系が多そうな場面なら好きな作品とか好みのキャラを挙げることも出来るけど、そうでないなら名前を言っておしまいになりがちだ。
それぞれの紹介を終えて、隊長が一呼吸おいてから続けて言う。
「オレが隊長。ウェネネアとバラペテの2人は調査班。エルゾキィを含めた残り5人が戦闘班。そしてミチには調査班のサポート役を頼む。この9人で今から調査に出る。詳細は配布済みだから見ておけ。以上、各自船へ!」
隊長が言うが早いか、全員ササッと船の方へ走っていった。
次は僕の自己紹介の番だと思っていたのに無かったので、あっけにとられる。
自己紹介なんてしたくないのだが、しないならしないで収まりが悪い。
僕は隊長に聞いてみた。
「あの、隊長さん。僕の自己紹介は無くても良いの?」
「そりゃあ要らないだろ。みんなキミの記憶を知っているからね。……エルネティアが言ってなかったかな? 君が目を覚ましたときに居た女のことだ」
――……はぁ?
そんなの聞いてない!
最初に説明してくれたあの女の人だけが僕の記憶を見たんだと思ってた!
衝撃の事実に、僕の頭の中がぐるぐるする。
――あの船に乗ってるメンバー全員、僕の恥ずかしい過去全て知ってるってこと!?
船の上で優しそうな顔で手を振っているあの副隊長のお姉さんも?
ちょっと年上のあの男の子も?
あの調査班のチャラ男も?
その上、キィも僕の過去全部知ってるっての!?
眼の前にいる人全員が自分の黒歴史全て知っているなんて、考えただけで背中がぞわぞわする。
胃袋のあたりもなんだかキリキリ痛い。
――あぁもう、最悪!
そんな僕の事を誰かが気遣ってくれることも無く、9人を乗せた船は暗闇の廃墟の中を静かに動き出した。
~あとがき(ネタバレ微含)~
初対面のメンバーでチームを組むということがあると、まず自己紹介をすることになると思いますが、あれって全然覚えられないですよね。
今回はキィをあわせて8人も急に出てきます。
キャラの顔がある漫画でも厳しいですが、小説ならなおさらです。
レベルEの野球回とか、作者はキャラが見分けが全然できません。
覚えられないです。当然です。なので「読者は覚えていない」前提で書き進めます。




