4-2 崩れた街の中で
~前話までのあらすじ~
ある日、女子高生『飛鳥和深智』の部屋のドアが異世界につながった。
ドアではなく窓を開けると、そこは謎の工場に繋がっていた。
工場を出るとボロボロの人型ロボットが現れた。ついて来いと言っているようなので、ロボットについて行くことにした。
ロボットがゆっくり歩く。
それにあわせて僕もゆっくりとついていく。
ロボットの足音と、工場の中から聞こえる機械の音だけが聞こえる。
僕の部屋の窓からどんどんと離れていく不安はあったが、このロボットが僕をどこへ連れて行くかという期待もあった。
「ねえ、キミ。話せる? この世界について教えてよ」
「いまどこに向かってるの? キミの持ち主は?」
「異世界につながるドアについて何か知ってる?」
そんな事を何度かロボットに話しかけたが、ロボットは黙々と歩くだけで、返事は無かった。
数分くらい歩くと、工場地帯の外へ出た。
工場地帯の外には廃墟が広がっていた。
ポスト・アポカリプスの世界(人類が衰退した後の世界)だ。
5階建てくらいのオフィスビルのような人工物が立ち並んでいたが、どの窓にも光はなく、ただ月光にうっすらと青く照らされるだけだった。
ビル街の間を通る道路を、ロボットは歩き続ける。
道はひび割れ、スキマからは草が生えていた。
ビビビビビビビビ
突如、ロボットが警告音のようなものを大音量で鳴らし始めた。
そしてガシャガシャと音を立てながら、ロボットの上半身が変形し始めた。
それとともに周囲のビル街からいくつもの細い光が発射され、ロボットの近くをかすめた。
レーザービームのようだ。
レーザービームのうちの1つがロボットの腕に当たり、熱で赤くなった後に、炎をあげながら腕は地面に落ちた。
「何!? 何が起きた!?」
突然のことに、僕は驚き周囲を見回す。
バシュッ バシュッ
鼓膜が破れそうなほどの轟音とともに、変形したロボットの頭からミサイルが発射された。
ミサイルは四方へ向かって飛び、周囲にあったビルの残骸にあたり、ビルの中腹を大きくえぐるほどの大爆発を起こした。
爆発の衝撃波で僕の体は吹き飛びそうになり、その場にお尻から倒れてしまった。
爆音が僕の脳内にキーンと響き、頭がクラクラする。
ドガァン
ロボットのほうから爆発音が聞こえた。
レーザービームのうちの1つがロボットの頭部を貫いていた。
ロボットの頭部が燃えながら真っ赤に溶けていく。
レーザービームが消えるまで下半分は立ち続けたが、頭や胸部は完全に蒸発してしまった。
「う……嘘でしょ……?」
ロボットが完全に動かなくなると同時に、レーザービームによる攻撃も止まり、あたりはまたもとの暗さに戻った。
しばらくしてから、周囲のビルから何人かの人が出てきた。
「>%$#}*+^{"(&)\$?」
「^$#++*}\<+#"%\{#'*!」
銃らしきものを担いだ人たちが、僕のほうへ歩み寄ってくる。
耳がキーンとしているからうまく聞き取れないが、聞いたことのない言語のようだ。
そして、その銃口はあきらかに僕の方を向いている。
——言動をミスったら、殺されるかもしれない。
緊張で僕はゴクリとつばを飲み込んだ。
僕は両手をあげ、ゆっくりと立ち上がる。
さっきの銃撃の閃光と爆音のせいでまだ目はショボショボするし頭もクラクラする。
足もフラフラだが、立って逃げる準備をしないと、何をされるか分からない。
そして、そこで僕の意識は途切れた。
~あとがき(ネタバレ微含)~
異世界系で定期的に話題になる「言語をどうするか問題」。
今作はその問題をスルーしてるように見せかけて、実は「なぜか都合よく異世界でも日本語が使われてた」という設定です。
もちろん、異世界で日本語が使われているのには理由を用意してますし、このポスト・アポカリプスでは日本語でない理由もありますがそれは後ほど。(正直、ご都合主義と言われても仕方ないレベルの設定ですが……)




