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2-6 強敵

   ~前話までのあらすじ~

 ある日、女子高生『飛鳥和(あすかわ)深智(みち)』の部屋のドアが異世界につながった。

 ミチはRPGのダンジョンを歩き、イケメン主人公剣士ダイチと出会い、ご飯を食べて腹を満たした。

 それからダイチの提案で、モンスター狩りをすることになった。

「よしっ、15匹目っ!」


 ダイチが軽快にモンスターを討伐する。

 それと同時に、僕の経験値メーターがじわじわと溜まっていき、またレベルがアップした。

 このあたりのモンスターが弱すぎるのかダイチが強すぎるのか、僕がなにかをする前に戦闘は決着がついた。

 何もしないのはあまり面白くないけど、着実にレベルが上がっているので文句は言えない。


 剣を鞘にしまいながら、ダイチが僕に話しかけてくる。


「キミ、そろそろ疲れてないかい?」


「僕はさっきから何もしてないし、全然疲れてないよ」


「そうかい。ではあと5匹くらい討伐しようか。こっちだ、ついてきたまえ」


 パーティーのリーダーはまだ僕に設定されたままだが、ダイチはずんずんとダンジョンの奥へと進んでいった。

 ダイチは幼稚な雰囲気はあるが、バトルになると僕を守るように戦ってくれる。

 顔は良いし、しっかりと教育すればなかなかメロい男に育つんじゃなかろうか。

 常識とかモラルなんて教えればすぐ身につけるだろうし、ダメと教えたら混浴したいなんて言わなくなるだろう。

 この世界に住んで、この大きな子供を調教したいか?

 いや、でもイケメンとの同居も魅力……。


「あぶないっ」


  メキメキ、バキン


 ぼーっと考え事をしていたら突如、ダイチが僕の体を掴み、壁から離れるようにジャンプした。

 それと同時にダンジョンの壁をブチ破って巨大なモンスターが現れた。

 高さ3mくらいだろうか、全身が土や岩で出来た人型のモンスター。

 いかにもゴーレムといった感じだ。


「キミは下がって。こいつは、さっきまでのとは違って強力だぞ!」


 ダイチが剣を強く握り、ゴーレムと向き合いながら言った。

 僕は言われたとおり、後ろに下がりゴーレムから離れた。

 僕が離れたことを確認してから、ダイチは「うおぉぉぉ」と声を上げながらゴーレムと切り合いを始めた。

 ゴーレムは相当硬いらしく、ダイチの攻撃を食らってもビクともしない。

 ダイチの言うとおり、こいつは強そうだ!


「オープン!」


 ダイチが戦闘しているのをただ見るだけというわけにはいかない。

 僕はステータスパネルを開き、何かできることはないか探してみた。

 自分のパラメータ一覧、装備武器詳細、パーティーメンバー一覧、アイテム欄、ダンジョンマップ……。

 画面に映っている項目をひとつひとつ確認していく。

 その中に「スキル一覧」というものを見つけた。急いでそれをタップする。

 『フレイムアロー』と『イーグルアイ』という2つのスキルが書かれている。

 僕は片方のスキルをすぐさま発動させた。


「スキル【フレイムアロー】!」


 そう叫ぶと、僕が持っている弓が赤く光りはじめた。スキルが発動したということなんだろう。

 僕は弓を構え、矢を射った。

 すると放った矢が赤い炎をまとい、ゴーレムへ向かって飛んでいった。


——カッコいい。


 矢はゴーレムにあたったが、ゴーレムはノーリアクションでダイチとの戦闘を続けていた。

 僕のレベルが低すぎて、ダメージが通っていないのか?

 僕はまた弓を構え「フレイムアロー」と叫んだ。

 弓が赤く光る。僕はすぐさま弓を射る。

 するとゴーレムの攻撃が止まった。

 そして足踏みするように体をぐるりと回した後、僕の方に向かって歩き始めた。


「ヘイトがそっちに向いてしまった! 攻撃をやめるんだ!」


 ダイチが叫ぶ。

 あれだけの攻撃でヘイトがこっちに向くなんて、遠距離攻撃キャラを優先して攻撃するAIになっているのか!?


 ダイチが急いでゴーレムの前に回り込み、ゴーレムの動きを止めるように足払いをする。

 ゴーレムがバタッと倒れ、床がびりびりと振動した。

 転倒(ダウン)状態だ。おかげでいったん落ち着いて考える時間ができた。


 すぐにヘイトが向いてしまうなら、僕が攻撃するのは得策ではないらしい。

 なら他にアシストする方法はないだろうか?

 僕はもう一度スキル一覧を開き、もう一つのスキルを発動させた。


「スキル【イーグルアイ】!」


 僕の周囲がぱあっと明るくなり、通路の隅の暗いところまで良く見えるようになった。

 それとともに、ゴーレムやダイチのHPやレベルも見えるようになった。

 どうやらパラメーターを可視化するスキルらしい。

 すでに戦闘を開始してから5分くらい経ってそうだが、ゴーレムのHPはまだ90%近くあった。


――このモンスター、硬すぎでしょ!


 ゴーレムが立ち上がり、また僕に向かって歩き始めた。

 ヘイトはまだ僕に向いているらしい。

 ダイチがゴーレムの動きを止めようとするが、ゴーレムはひるむこと無くドシンドシンと近づいてくる。

 このままではヤバそうなので、僕はいったん距離をとるために逃げる。

 が、すぐに見えない壁にぶつかってしまった。


「えっ!? 見えない壁!? 何これ」


 壁をよく見ると、空中に大きく『逃げられない!』と表示されていた。

 RPGで逃げられないときってこうなっているのか。


「う、嘘でしょ。そんな仕様なの!?」

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