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ぶともちを踏んだせいで、中に入っていた蜜がその足を汚している。


そいつはやっちゃったというように眉をきゅーっと顰めて、プルプルとぶともちを踏んだ足を振ったが、蜜が少し飛び散っただけで汚れはとれそうにない。


何度かプルプルと足を振っていたが、汚れの被害が周りに広がっていく結果に終わる。


それに気がついたのか、それとも諦めたのか、そいつは分かりやすいため息を吐いた後、何事もなかったかのように話し始めた。


「もう、余計な手間をかけさせないでくださいよ。怒られるじゃないですかあ」


新しく現れたそいつは他のやつらと違って、白以外を身に纏っていなかった。


ゆったりとしたローブっぽいものを羽織り、頭にはカーネーションに似た花の髪飾りをつけている。


下はスカートを穿いているのだと思っていたが、よくよく見たらスカートっぽいパンツのようだ。


そこから人ではない足が見えている。


服装のせいもあるが、そいつ自身の足ではなく、コスプレの一部だと考えそうになる。


もしくは義足的なもの。


足にばかり注目していたが、白一色の服装も少し気になる。


服に使われている装飾や糸までもが白だからか、よく分からないモヤモヤ感を味わっていた。


装飾品とかが別の色だったら、また違った感想を抱いただろうけど。


髪と瞳だけ赤いせいで、白の中で浮いて見えた。


色合いが鶏みたい。


コケーッとゆるキャラみたいな鶏が怒っている様を想像して、声を出して笑い出しそうになった。


まあ、普通にしていても睨まれていると勘違いするような目つきの悪い顔だから、想像ほど可愛い怒りかたではないのだが。


本当に今は睨んでいるだけなのかもしれないけど。


「……美鈴にいや」


ぽかーんっと口を開けていた少女がそいつの名前を呼ぶ。


「なんですかあ? 今更、謝ったって許されませんよ」


「帰ってきてたんだね」


「手紙出したはずですがあ……じゃなくて、話をそらさないでください。なんで、客人を案内せずに寄り道してるんですかあ」


「…………許してくれたから?」


へへっと誤魔化すように笑いながらこちらを指差す少女の言葉を聞き、ギロッと刺すような視線がこちらを向く。


責任を押し付けられた。


少女はもう此方を見ようとせず、関係ないといわんばかりに気配を消そうとしている。


くそガキと怒りが込み上げてくるよりも、従姉妹の家で飼っていた犬のバレているのに必死に隠そうとする様子に近くて、ふはっと笑い声が漏れた。


白いやつの目つきが更に鋭くなる。


「……ご案内に不手際があって、大変ご不快の念をおかけしました。配慮が足りなかったと、自責の念にかられております。今後、十分に注意して、二度とこのようなことはいたしません」


文句の一つくらい言われるかと思っていたのだが、テンプレートのような言葉とともに頭を下げられてしまった。


「いえ、そんな……俺も強く反対しなかったのですから」


「この子がワガママを言ったのでしょう? 客人なのですし、それを否定できないのは仕方ないです。本当に申し訳ありませんでした」


素直に謝られると悪い気にはならない。


例え、それが謝る気がない態度でも。


「ここからはワタシも一緒に案内させてもらいます……さあ、何をチンタラしているんですかあ。怒られる前に早くしなさい」


ぺこり、と機械的にもう一度頭を下げた白いやつは、いまだに知らぬ存ぜぬを通そうとしている少女の頭を叩いた。


ぱしんっと、それはいい音がした。

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