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フェニックスとは。


寿命を迎えると、自ら燃え上がる炎に飛び込んで死に、再び蘇る鳥のこと。


不死鳥、火の鳥とも言われる。


いろんな作品にも登場しているし、知っている人の方が多いかもしれない。


フェニックスはラテン語での呼び方だったと何かで読んだ気がする。


そんな彼らが、人の身を得て、こうして同じように窓の外を見ているという事実が嘘みたいなことだと思う。


ただ話を聞くだけなら夢物語ですませられる、俺らがいた現実では起こりえないファンタジーの世界。


ソファの背もたれに右腕を起き、その右腕に頭を乗せるような体勢でぼーっと窓の外を見ていると、俺の隣でソファにしなだれ掛かるように座っている少女の羽が視界にちらついた。


少女以外は暇をつぶすためのボードゲームをするためか、少し離れた場所にいる。


背中でぱたぱたと犬の尻尾が動いているような自由さで動いている羽。


確かに体にくっついているそれを見られていることに気がついた少女が窓の外を見ながら笑い、此方に顔を向けた。


「凛花の羽が気になる? 気になる?」


理由は分からないが俺のそばから離れたがらない少女はまだ小さい羽をぱたぱたと嬉しそうに動かして、子どもらしい高い声が問いかけてくる。


俺は何も答えずに少女を見た。


しばらく見つめていたのが、肯定だと受け取ったのだろう。


彼女はふるりと体を震わせてから、顔の半分を隠していた仮面を取った。


月白色の目と目があう。


彼女は、その瞳をきゅっと細めながらゆっくりと羽を広げた。


さほど大きくはないと思っていた羽はばさりっと広げられて漸く、彼女の体を包み込めるほどに大きいことに気がついた。


「まだ、小さいでしょう?」


毛づくろいをするように手で羽を触りながら、少しだけ恥ずかしそうに少女は言う。


テストで低い点をとってしまったのだと、相談しに来ていた幼い従姉妹を思い出して、何だか笑みが漏れた。


これで小さいというのなら、大きい羽はどれだけ大きいのだろうか。


「それに、あんまり綺麗じゃないよね……。お手入れ頑張ってるんだけど、カネちゃんみたいに綺麗にならなくて」


羽に綺麗汚いがあるのかと、今更ながらに思う。


彼らにとっては身なりの一部なのだから、気にするのは当たり前なのだろうか。


服やアクセサリーではなく、髪のような扱いなのかもしれない。


「触っても?」


興味から聞いてみれば、少女はこくこくと嬉しそうに頷いた。

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