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一枚奇譚  作者: 裃 左右
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隠れん坊

記憶ってのはよくお隠れになります。

 かくれんぼ。

 よくあるのは、上手く隠れすぎて、誰も見つけられなくなったり。

 寂しくなって、自分から出てきたり。

 案外、そう言うのは忘れているけれど、思い出深いこと。

 楽しい思い出。

 よく、わたしが隠れたのは。

 公園のプレハブ小屋の横にある、土管の中だった。

 ここに隠れると、誰にも見つからない。

 だから、わたしが見つかるのはいつも一番さいご。

 自分から出て行って、見つかる場所に移動して、それから見つかる。

 みんなには、こっそり歩き回ってたんだよ。とか、説明してたっけ。 

 でも、けっこう変な場所でさ。

 なんどか、わたしが隠れていたら不思議なことがあったんだよね。

 わたしが隠れていると。

 なぜか、知らないオジサンやオバサンがわたしの名前を呼んで探していたり。

 何も言わずに、知らないこどもが覗き込んできたり。 

 ずっと、誰かが目の前に立っているような気配がしたり。

 あと、そう、誰かが歩きまわるような音だけが延々としたり……。

 今から、考えると、不気味にも思うけど。不思議と怖くはなかった。

 んー、なんで見つからなかったんだろう。

 土管の中だなんて、ありきたりな隠れ方だと思うけど。

 この間ね、同窓会の時に、公園でかくれんぼしたよね。と盛り上がってさぁ。

 いつも見つかんなかったよね、とか言われたから。

 ふと、言ってみたの。

「わたし、プレハブ小屋の横の土管に隠れてたんだよ」って。

 そしたら、みんな、「えっ?」って目を丸くして。

「そんな場所なかったよ?」

 ……やっぱり、不思議だよねぇ。

 んー。

 そういえば、わたしさ。

 一回だけ、オニやったことあるんだけど。

 そのときに、だれか他にも隠れてるんじゃないかなって、探したことあるんだ。

 その土管。

 だれか居たかって?

 いたよ。

 うん、一緒に遊んでた子だったよ。知ってる子だった。

 でも、忘れちゃった。顔もわかんない。

 ……誰だったかな。同窓会の時にもいなかったみたいだし。

 んー、ところでさ。さっきから疑問なんだけど。

 さっきから話してる、きみ。だれ、かな?

思い出せないってだけで、不思議な話になる不思議?

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