表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/28

No.022 言失

『言失』


朝起きると世の中から一つ、言葉が失われていた。


どういうわけか、気づいているのは僕だけのようだった。


何の言葉なのかはわからない。


それでも、失われる前と後では何かが大きく変わっていた。


会社の昼休み、コンビニで買い物をした。


カップラーメン、おにぎり、お茶。


普段と同じ物を買ったはずなのに、しっくりこない。


どこか苛立ちを覚えていた。


困り顔をした人に、駅までの行き方を聞かれた。


通勤で使っている駅だったから、細かく道順を伝えた。


相手は財布を取り出して、僕に百円玉を握らせた。


どこか虚しさを覚えていた。


お年寄りに優先席を譲ろうとした。


「私がいつ頼んだ!この詐欺師!」と罵らられた。


周りの視線から逃げたくなり、途中の駅で電車を降りた。


どこか恐怖を覚えていた。


「大丈夫ですか」


俯いている僕に、誰かが優しい言葉をかけてくれた。


「気分でも悪くしましたか」


顔を上げた僕に、誰かは心にも無い言葉をかけた。


僕はその人に一万円札を握らせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ