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――――肉が貫かれる音がした。
……これで本当にお仕舞いだ。
何も果たせないまま、私は死に行く。
そう覚悟を決めて――
カオンさんが、自分自身を槍で貫いていることに、気づいた。
「え?」
漏れる声。
私の声。
崩れる何か。
因果。
音。
カオンさんが、どくりと血を溢れさせ、大きく身体が震え、ぐらりと体勢を崩し――
思わず私が、地に倒れる寸でのところでそれを受け止める。
――――あふれ出す記憶。
そういえば、あの雪の日も――こうして、カオンさんを受け止めた。
カオンさんの血に、汚れた。
「――――どうして」
倒れ掛かるカオンさんを抱きしめて問う。
「どうして?」
もう一度問う。
「どうして……」
何度でも問う。
だが、カオンさんは、答えてくれない。
答えてくれないけれど。
カオンさんは――――
約束を、守ってくれたんだ。
「あぁ――――」
あの人は、本当に私を、私達を、見守ってくれていた。
ずっと、そして、今も。
この瞬間も。
「あぁ、あああ、ああああああっ…………」
抱きしめたその身体に、温もりは、ない。
それでも、少しでも残るカオンさんを感じ取ろうとして、私はその骸を強く抱きしめていた。
「――――君の勝ちのようだ。クギョウ・アイハ」
拍手の音が、再び響く。
「君は今、君自身から成る因果を絶った」
「壊すがいい。この世界の要の一つを」
「だが忘れるな。人は必ず求める」
「永遠を、絶えず求め続ける」
「そして、君が一つの運命を呪い、その永遠を壊そうとする限り――」
「君が守った可能性もまた、滅びの渦に飲み込まれていくのだということを――――」
…………私は、カオンさんに最後の別れを告げた。
最後の最後まで中途半端な私を助けてくれた最愛の姉に。
妹を代表して――――精一杯の気持ちを込めて。
そして――
――――私は、この星の全てを敵に回す覚悟で、【刀】を握った。




