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17歳と神殺し  作者: 彼岸堂
第五章 彼女達へ
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 ――約束、破ってごめんね。

 




 これからあなたは、きっと、遠い遠い、世界の中心に向かう。

 


 その旅路に、私も一緒にいたかった。



 でも、あの時わかったの。



 ――ああ、ここなんだ、って。



 この時、この場所で、こうすることが――


 私の、生きる意味だったんだって。




 私の全てはそこにはないけど。


 私の大切な一部はそこにあるよ。



 だから――



 

 





















  * * *












 ――――私が銀色の髪になったのは、2回生のとき。


 今から4年前のある日のことであり、そして、()()()()()から少し後のことである。



 ……強くなりたい。

 誰よりも強くなりたい。

 弱ければ守られるだけ。

 その分、誰が傷つく。

 死んでいく。

 そんなのは嫌だ。

 私が守りたい。

 私が傷つきたい。

 誰も殺させない。

 誰も悲しませない。


 だから――誰よりも強くなる。


 そう心に誓って、がむしゃらに戦っていた、ある日のことだった。

 自分の身体がぼろぼろになるのも構わず、あえて一人で【陽魔(ダイヴァー)】の大群に挑み、【第二解放(セカンド)】のまま戦い続けた私は、突然、自分の【霊脈(ハオム)】が制御できなくなったことに気づいた。

 果たして何が原因であったのかは、今でもわからない。

 ただその時、それまでの自分ではありえなかった量の【霊脈(ハオム)】が、身体の内側から湧き始めたのだ。

 まるで、見えない何かが決壊したかのように。


 ――世界が変わって見えた。


 私はその偶然を喜んだ。感謝した。

 溢れ出る力と衝動のままに【第二解放(セカンド)】をしたときの全能感。

 絶対に破損することの無い強靭な【霊器(フラヴァルド)】。

 手に入れた力。

 その強さ。凄まじさ。

 守れる、守れる。

 

 ――守れる!


 皆を守れる。

 歓喜を抑え切れぬまま、私は、より戦いに身を投じていく。

 没入していく。

 だから、ずっと……気づけないでいた。

 突然特別になってしまった私を、皆がどのようにして見ていたのかを。



 ――()()()()()()()()()()()()()()()()()



 私は、率先して戦って、皆を守っているつもりだった。

 いや、守ってはいたのだ。

 でもツグネは。

 ハヅミは。

 カオンさんは。

 皆は――


 私が誰かの都合の良い存在になっていくのを――誰かのために傷つくことに喜びを感じて、自分のことがどうでもよくなるのを――恐れていた。

 私が、私の命を粗末にすることを恐れていた。

 私が望む私の幸福。

 皆が望む私の幸福。

 それは、どうしようもなくすれ違っていて――

 ……結局私は、私の前で誰かが死ぬのが怖かっただけだ。

 『守りたい』と『失いたくない』は、全く違う。

 大切な人のために自分も生きるという選択肢が、私には欠落していた。

 もっと早く、皆が、ツグネが、私に言ってくれた言葉の意味をわかっていれば――


 ……いや。


 違う。

 もう遅い。

 何を言った所で、もう仕方が無い。

 私は確かに望んだのだ。

 誰よりも強く。

 誰よりも傷つく。

 そんな――都合の良い存在になることを。

 自分の命を、誰かのために使い切ることを。

 自分さえ傷つけば、それでいいと。

 確かに望んで、嘘偽り無く求めて――その因果の果てに、()()()があるのだ。


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