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――約束、破ってごめんね。
これからあなたは、きっと、遠い遠い、世界の中心に向かう。
その旅路に、私も一緒にいたかった。
でも、あの時わかったの。
――ああ、ここなんだ、って。
この時、この場所で、こうすることが――
私の、生きる意味だったんだって。
私の全てはそこにはないけど。
私の大切な一部はそこにあるよ。
だから――
* * *
――――私が銀色の髪になったのは、2回生のとき。
今から4年前のある日のことであり、そして、あの雪の日から少し後のことである。
……強くなりたい。
誰よりも強くなりたい。
弱ければ守られるだけ。
その分、誰が傷つく。
死んでいく。
そんなのは嫌だ。
私が守りたい。
私が傷つきたい。
誰も殺させない。
誰も悲しませない。
だから――誰よりも強くなる。
そう心に誓って、がむしゃらに戦っていた、ある日のことだった。
自分の身体がぼろぼろになるのも構わず、あえて一人で【陽魔】の大群に挑み、【第二解放】のまま戦い続けた私は、突然、自分の【霊脈】が制御できなくなったことに気づいた。
果たして何が原因であったのかは、今でもわからない。
ただその時、それまでの自分ではありえなかった量の【霊脈】が、身体の内側から湧き始めたのだ。
まるで、見えない何かが決壊したかのように。
――世界が変わって見えた。
私はその偶然を喜んだ。感謝した。
溢れ出る力と衝動のままに【第二解放】をしたときの全能感。
絶対に破損することの無い強靭な【霊器】。
手に入れた力。
その強さ。凄まじさ。
守れる、守れる。
――守れる!
皆を守れる。
歓喜を抑え切れぬまま、私は、より戦いに身を投じていく。
没入していく。
だから、ずっと……気づけないでいた。
突然特別になってしまった私を、皆がどのようにして見ていたのかを。
――ハヅミとツグネの記憶が教えてくれた。
私は、率先して戦って、皆を守っているつもりだった。
いや、守ってはいたのだ。
でもツグネは。
ハヅミは。
カオンさんは。
皆は――
私が誰かの都合の良い存在になっていくのを――誰かのために傷つくことに喜びを感じて、自分のことがどうでもよくなるのを――恐れていた。
私が、私の命を粗末にすることを恐れていた。
私が望む私の幸福。
皆が望む私の幸福。
それは、どうしようもなくすれ違っていて――
……結局私は、私の前で誰かが死ぬのが怖かっただけだ。
『守りたい』と『失いたくない』は、全く違う。
大切な人のために自分も生きるという選択肢が、私には欠落していた。
もっと早く、皆が、ツグネが、私に言ってくれた言葉の意味をわかっていれば――
……いや。
違う。
もう遅い。
何を言った所で、もう仕方が無い。
私は確かに望んだのだ。
誰よりも強く。
誰よりも傷つく。
そんな――都合の良い存在になることを。
自分の命を、誰かのために使い切ることを。
自分さえ傷つけば、それでいいと。
確かに望んで、嘘偽り無く求めて――その因果の果てに、今の私があるのだ。




