↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔優等生と天使ギャル ~不器用と狡猾な二人とSNSジャンキーなボク~  作者: 黒船雷光


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/41

28話:鬼神古賀崎先生

 先生の凄まじい威圧感の前に、サキ、天宮さん、志摩、神原の4人が揃って直立不動で謝罪した。

「大体において、不純異性交遊は高速で禁止だ!不純でなくても、同意でも一線を越えるのは断じて許さん!」


 よく見ると、一番興奮しているのは実は古賀崎先生なのではと思う。


「あ、あのせ、先生?」

 恐る恐るオレが声をかける……

 ピクリと反応し、オレの方を見る、さっきのサキもヤバかったが、先生はそれ以上だ。

 ------------

【緊急検証】古賀崎先生が他人の恋愛・一線を越える行為にブチギレている件について


1:【冷静のオレ】(青ネーム:論理担当)

 状況を分析する。風紀委員長でもない担任の古賀崎が、生徒の「手をつないだかも知れない疑惑」に対してここまで過剰に、かつ神妙な面持ちで激昂しているのは異常だ。論理的に考えて、通常の教師のリアクションを超えている。


2:【熱血のオレ】(赤ネーム:情熱・暴走担当)

 決まってるだろ!! 先生自身が青春を謳歌したくてたまらないのに彼氏彼女がいないから、若者たちの甘酸っぱいエピソードに対して全方位的にジェラシーを爆発させてるんだよ!!


3:【中立のオレ】(緑ネーム:オブザーバー担当)

 ……待て、あながち外れていないかもしれない。


4:【冷静のオレ】

 [解]導き出される仮説:古賀崎先生がこのネタに過剰反応し、やけに「一線を越えること」を厳しく禁じるのは、ズバリ『現在進行形で自分に恋人がいない(非リアの極み)』からではないか。


5:【熱血のオレ】

 ヒャッハー!! つまり「高校生のくせにリア充しやがってコンチクショー!!」っていう全独身教師の叫びがそのまま表に出てきやがったんだな!!


6:【冷静のオレ】

 声に出したら即座に職員室送りにされて単位を剥奪されるぞ。絶対に思考を悟られてはならない。


7:【中立のオレ】

 じゃあ、どうすんだよ?……もう、無言で訴えるしかないのか?


 ------------


「あ、あの……せ、先生……」

 般若の面をしてオレの顔を振り返った古賀崎先生は、オレの無言の脳内会議結果を察したのか、ふと肩の力を抜いて、「ハァ」と皆に聞越えるようなため息をつく。


「ふん。……で、だ」

 古賀崎先生は冷静さを取り戻し、冷ややかな視線を志摩と神原に向けた。


「さきほどから『行くところまで行った』などと物騒なワードが聞こえたが……高校生として一線を越えるような不適切な行為があったのなら、当然ペナルティを課すが、どうなのだ?」


「ち、違います先生!! 全然そんなんじゃありません!!」

 志摩が顔を真っ赤にして全力で手をブンブンと振る。


「あたしたち、先週の休日にちょっと大きめの公園を散歩して……その、帰り際にめちゃくちゃ緊張しながら【手をつないだだけ】ですからぁぁぁ!!!」


「「「「…………は?」」」」


 車両全体が、一瞬にして静まり返った。


「て、手をつないだ……だけ……?」


 サキが呆然と呟き、天宮さんも「あれだけ思わせぶりな態度をとっておいて、まさか純愛すぎますわね……」と脱力する。


「そ、そうです! 初めて手をつないだ時は心臓が飛び出るかと思いましたけど、それ以上は何も……! まだ付き合いたてなんですから!」


 神原も赤面しながら弁明する。


 ——つまり、先ほどから周囲を盛大に勘違いさせ、ヒロインたちの妄想を爆発させていた「一線を越えた発言」の真相は、**「手をつないでドキドキした」というあまりに純度100%の初々しいエピソード**だったのだ。


「……なんだ、健全な青春の1ページじゃないか」


 古賀崎先生はふっと肩の力を抜くと、ミンティアを一つ取り出して口に放り込んだ。


「せいぜい京都の古都で歴史と大人のマナーを学んでこい。騒ぎすぎるなよ、一ノ瀬、お前もだ」


「は、はい……お疲れ様です……」


 先生が去っていった後、車内には何とも言えない脱力感と、赤面して俯く志摩&神原の甘酸っぱい空気が残された。


「ななんだよ……すっげえドキドキ損したじゃん……!」


「まったくですわ……。ですが、手をつないだだけであそこまで動揺するとは、まだまだ青いですわね」


 フンと鼻を鳴らすサキと天宮さんだが、その頬はなぜか少し赤い。


(……やれやれ)


 オレはぐったりと座席にもたれかかり、京都に到着する前からすでにHPを半分ほど削られている自分に気づき、遠い目をして窓の外の富士山を眺めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。