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悪魔優等生と天使ギャル ~不器用と狡猾な二人とSNSジャンキーなボク~  作者: 黒船雷光


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22/41

22話:名物カウンセラーの誕生と、京都への秒読み

 中間考査の結末は、誰も予想しなかった形で学校史に刻まれることになった。


 志摩と神原のまさかの展開を目撃した『黒木派』と『天宮派』の生徒たちの中で、突如として奇妙な化学反応が巻き起こったのだ。


「え、あいつら派閥越えて付き合うの……? じゃああたしたちもワンチャン……?」


「天宮派のあの人に勉強教えてもらう口実、できるんじゃ……?」


 不毛な罵り合いだった教室は一変。互いに好意を寄せる異性へ勉強を教わるという『恋成就の合同勉強会』へと進化を遂げ、クラス内には空前の勉強ブーム(と甘酸っぱい空気)が吹き荒れた。


 結果——我がクラスの平均点は、学年トップを独走していた特進クラスを脅かすほどの異常な数値を叩き出したのだった。


 ◇


「……フッ、まさかこんな力技でクリアしてくるとはな」


 テスト返却後の放課後。指導部室に呼び出されたオレに、古賀崎先生が苦笑しながら成績一覧表を放り投げた。


「先生、これでオレの『オブザーバー』としての有効性は証明できましたよね?」


「まあな。というか……そもそもお前の存在にクレームをつけてきていた張本人どもが、真っ先に恋愛脳になって平均点爆上げに貢献したんだ。文句の言いようもない」


「え……クレームをつけてた張本人って……」


「志摩と神原だよ」


 古賀崎先生はメガネのフチをすっと上げ、呆れたように肩をすくめた。


「『一ノ瀬が両方のトップにヘラヘラ対応しててムカつく』と直談判しにきたのがあいつらだ。まさか当事者同士でくっついて解決するとは……お前、狙ってやったなら相当なタヌキだな」


「いやいやいや! 100%偶然ですから!!」


 冷や汗を流すオレに対し、先生はミンティアを噛み砕きながら、少しだけ表情を曇らせた。


「……だがな、一ノ瀬。問題はここからだ」


「え?」


「お前の『ご意見番(オブザーバー)』スキルだが……『両派閥の壁を越えて恋を成就させる神カウンセラー』として、すでに他クラスや他学年にまで噂が爆走しているぞ」


「は……?……えっ?」


 先生がスマホの画面をオレに見せる。そこには校内SNSで大バズりしている投稿が並んでいた。


------------


【噂】2年B組の一ノ瀬に恋の相談をするとどんな障害のある恋も100%叶うらしいwww【都市伝説】

│

├ 1:名無しさん@2年

│マジで一ノ瀬くんヤバい。あの絶対相容れないはずだった黒木派の志摩と天宮派の神原が手繋いで帰 │ってるの目撃されたんだが???

├ 引用ツイート 125件 / リツイート 220件

││

│├ 2:名無しさん@1年

││それマジ!? 志摩先輩と神原先輩って廊下ですれ違うだけでバチバチだった二人じゃん!!

│└ 引用ツイート 25件 / リツイート 20件

│

├ 3:名無しさん@3年

│一ノ瀬が間に入って縁結び(アドバイス)したらしいぞ。

│なんか「両派閥の仲裁(オブザーバー)」とか言いながら裏でキューピッドやってるらしい。

│

├ 4:名無しさん@2年

│【求】一ノ瀬くんと話す方法(※放課後はすでに他クラスの予約でいっぱいとの噂)

└ 引用ツイート 256件 / リツイート 440件

 │

 ├ 5:名無しさん@1年

 │一ノ瀬先輩に相談したら意中の人と100%付き合えるって本当ですか!?

 │私、他校の男子に片思いしてるんですけど予約ってどこで取れますか!!??

 └ 引用ツイート 67件 / リツイート 40件

  │

  └ 6:名無しさん@3年

   B組の前に女子が長蛇の列作ってるから最後尾に並べ。

   ただし黒木さんと天宮さんが殺気立って見張ってるから命の保証はない。


------------


(ちょっ?!……最近クラスや学校の公式はあえて見ないようにしていたが……)

「……嘘だろ……!?」


「嘘じゃない。明日からお前は全校生徒から引っ張りだこの指名手配状態だ。……そして、そうなればどうなるか、分かるな?」


 古賀崎先生の言葉の意味を理解した瞬間、オレの背筋に冷たいものが走った。


 オレが他の女子や男子からの「恋愛相談」で忙殺されればされるほど——サキと天宮さんが、オレと一緒にいられる時間が物理的にゼロになる。

 そうなれば、オレはネットでもリアルでも爆発炎上家消炭案件だ……。


「……これこそが、私が懸念していた最悪のシナリオだ」

 古賀崎先生は呆れ混じりの溜め息を吐き、壁のカレンダーを指さした。

 そこには『11月:修学旅行(京都・大阪)』の文字。


「来月には修学旅行で京都だぞ……。情緒ある古都で、あの二人の暴走を抑え込めるのか? お前、本当に大丈夫なのか?」


「……そんな時期か……」


 目の前の古賀崎先生は、メガネをくいと上げて「これ以上騒ぎを起こすなら修学旅行も中止」くらいの顔をしているし、サキと天宮さんのことを想像すると修羅場しか見えない。

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