#40 キュエーン先生
東側の岩山に向かうあち
(あちび…あちび…あちび…)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
いつもなら身体が炎化するのだが、あちの身体の周囲に炎のオーラが揺らめく。
スー、ハー、スー、ハー……
『随分炎の操作が上手くなってきてるのじゃ』
※※※※※※※※※※
『あちびは炎の操作がまるでなっとらんのじゃ』
『炎の操作…??』
『服は燃やさないように調整は出来ておるんじゃが、身体そのものが炎化してしまっておるじゃろ』
『あ、この服は……天狗山に住む巫女様?から頂いた物で多分その神聖なお力で燃えてなくて…』
『そんな便利な服があるわけないじゃろ』
『え!?』
『あちびが頭の中でこの服は燃えないって強く信じたから、深層心理的にあちびが自らの意思で燃やしてないだけじゃ』
『そうなんですかっ!?!!』
『それに炎の翼を自身で権限する事も出来ないみたいじゃな…』
『そ、そうですね。最初の一回切りでそれ以降は一度も…』
『まぁよい。炎の翼は置いといてまずは身体の炎化を抑えるコントロールを身につけるのが先決じゃな。コントロールが出来ないままでは戦闘中に仲間も一緒に燃やしかねん』
『!?……そうなんですっ!!私、それがとっても怖くて、、』
『身体の炎化はある意味無敵状態。物理攻撃の殆どを無効化してくれる。しかし致命的な弱点もある』
『弱点??』
『これじゃ』
キュエさんはそう言うと右手を空に突き上げ唱える。
『俄雨』
ザザザザー!!!
あちのみの範囲に激しい雨が降る!
『ふえぇぇぇぇん…』
『炎化した状態で水を浴びるとお主は消えてなくなるのじゃ』
『ええええええ!?』
『まぁ言うてもあちびの五行の炎を消せるだけの霊力の高い水なんぞは、わっち並の能力がなきゃ無理じゃ。自然に降る豪雨程度じゃ蒸発させられるのがオチじゃけどな』
『ほえ~??』
『あちびの乗ってる赤亀は炎無効化の甲羅を持っておる。その亀の上に乗りながら常に炎化を維持、そして身体を炎化させないイメージを持ち続けるのじゃ。まずはそれの習得にのみ集中!』
『はい!頑張りますっ!!』
※※※※※※※※※※
(身体はそのまま…身体はそのまま…炎は着るもの羽織のように纏うもの…)
スーハー…スーハー…
迫ってくるあちの姿を見てスズメバチ達がざわめき出し、数十匹が裂け目から飛び立ち臨戦態勢をとる。
(大丈夫…私はやれる…炎が私を護ってくれる)
裂け目まであともう少し。一歩、また一歩とあちはゆっくり近づいていく。
ブゥゥゥゥン!!!
飛んでいたスズメバチ達が一斉にあちに襲いかかる!
シュボオオオッー!
毒針を構え飛んできたスズメバチ達があちに接触する手前でオーラのように纏っている炎に触れた途端に黒焦げになりススと化す!
『よし着いた!焼き尽くせ!五行の炎!』
裂け目の入口に五本の指を構えあちの最大火力の炎を顕現させる!燃やす対象をスズメバチの巣として強くイメージされたあちの炎は裂け目の中に侵入していき隅々まで行き渡る水のように燃やし尽くしていく!
そしてその熱で岩山の一部が赤く変色していく!
『あちび!そこまでじゃ!戻れ!』
『!?…はいっ!!』
ブゥゥゥゥン…
上空に飛んでいた一匹のスズメバチが静かに逃げていく。
あちが小走りにキュエーンの元に駆けて来る。その背後で超高熱を帯びた岩山の内部がマグマ化し裂け目から僅かに流れ出る。
ジュワワワワ!!
流れ出たマグマが周辺の木々や大地を焦がし煙を立ち上げる。そしてそれはやがて静かに収縮されて行く。
『ふぅ~危なかった。あれ以上溶かしてたら岩山が崩れ落ちて来るとこじゃったぞ?まだまだ燃やす対象のイメージが弱いと言う事じゃ。炎の使い手として一流を目指すのなら燃やすのでは無く、燃やさない制御を強める事じゃ』
『はい!キュエ先生っ!私、頑張ります!』
―――――
『縮地飛翔っ!』
りゅとは空高く舞い上がり南西に鬱蒼と広がる茂みの地区を上空から見渡す。
『上昇気流の泡!』
りゅとの身体が泡状になった上昇気流に包まれ柔らかな速度で高度を少しづつ落としていく。
※※※※※※※※※※
『りゅー坊、お主の能力は何じゃと思っておるのじゃ?』
『うーん、俺かぁ、、縮地?あとは天狗の団扇で風を作れる事かな??』
『はい、ぜんっぜんダメ!ちっともわかっておらん』
『むぅ…』
『まずは山伏修行で得た験力によって山や神聖物から得られる力を己の力に変える超身体能力、霊力、神通力の大幅な底上げが出来ておる。それとは別にりゅー坊は《引く力》と《強靭な足指》の二点が大きな個性。そして縮地を含めた《風の操作》それがお主の能力の根底じゃな』
『(あれは…?)カマキリ!カマキリの集団だ!目の色は青!』
『カマキリ種は目の前に獲物がいない時はたいてい青じゃの。奴らは動く者全てに襲いかかるから駆除しときー!』
『りょーかい!』
りゅとは上空に浮かんだまま小太刀のみを抜き、それをカマキリたちのいる茂みへと投げつける!
そして背中の団扇を抜き取り意識を集中させる。
『旋風・乱れ斬り!』
団扇から放たれた旋風が小太刀を拾い、カマキリの集団たちを斬り裂きながら周辺をグルグルとベーゴマのように回り続ける!
『風座布団!』
地上の2m程の位置に風で作った座布団を設置する。
『とうっ!』
りゅとは泡の風を解除し、風の座布団を経由し一気にカマキリたちの中心部に降り立つ。
そして弱まった旋風の中から小太刀を抜き取り、二本の刀を構えカマキリの残党たちの首を落としていく!
『鎌鼬・乱切り!!』
細かく縮地で周囲を飛び回りながら目に入ったものをとにかく斬りまくる!!
周囲に転がる無数のカマキリの残骸たち。ただそれのどれもが個別にまだ動き続ける。
『りゅー坊、あとは綺麗に掃除して終わりじゃ』
『はーい』
りゅとはそのまま真上に飛び上がり浮遊する。
『大旋風・吸込』
巻き込んだものを次々と吸い込む大きな旋風を地上に生み出し、カマキリの残骸をその中心にかき集めていく。
『水牢獄!(ウォータージェイル)』
キュエーンが生み出した水の塊が中心に飛んでいき
掻き集められたカマキリの残骸を覆い包む。
『すぐ酸欠で絶命するでの。その後は他の蟲共が勝手に食い尽くすからそれで終いじゃ』
『お掃除完了!』
『かんりょーう!』
『わっちは少し寝るでの。周囲の見張りしながら各自で自習しとくように』
キュエーンはそのまま大甲羅の中に入りスヤスヤと昼寝を始めた。
あちは赤亀の上に座り炎化しながら思い描いたイメージ通りに炎の姿や範囲を変化させる練習を始める。
そしてりゅとは体液の付着した刀を手入れしつつ、風と刀を利用した戦闘スタイルのイメージトレーニングとネーミング決めをする為に地べたに座りブツブツと独り言を始めた。
―――――
《双山村 神楽殿》
『ふぅ…今日の舞はここまでっと』
セオリが神楽殿から出てくるや否や遠くから良ば声がする。
『セオリさーーーん!!!』
血相を変えた蓮見が走り向かってくる。
『どうかしました?』
『ハァ…ハァ…ハァ…、南東部で緊急配備の号令が…』
『緊急配備!?予定より二日も早いじゃない!!』
『ですよね、、マリさんと射撃隊の皆が既に戦闘を開始してるようで、それ以外の間接員は河原から砂利を運ぶように指示が…』
(今はタツキもいない、、おじい様はどうしたのかしら…私が代わりに…)
『とりあえずセオリさんの姿が無くて気になって探してたんですけど無事で良かったです!自分は今から戦場に向いますのでセオリさんは非戦闘員の皆さんと避難壕の中で待機しててください!』
非戦闘員たちは防御癖で高めたシェルターのような半地下の建物に集められていた。
『私も…』
セオリが何かを言いかねた時、セオリと蓮見は突然背筋が凍りつくような気配を感じる!
『ここがこの聖地の神聖所ですか』
慌てて振り向くとどこかの制服のような衣服を着た小柄な男性が御社殿を近くで眺めている。
『誰っ!?』
セオリは身構え、蓮見は手にしていたカブト角の鍬を構える。
『僕?僕はバアル。蟲の王様だよ』
少しづつですがイラストと共にキャラ紹介もしていこうかと!
あと文字数をやや少なめに細かく区切っていくかも知れません!
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