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世紀末な後始末  作者: 柊隼凌
第2章 新たな世界
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31/34

#31 この世は謎だらけ

タンポポの綿帽子に掴まり、一時の空中旅行を堪能していた2人の前に謎の【おじさん】が現れた。


『ちょいちょいちょい~。初めましてでおじさんは声に出していっちゃダメだよー。あはははは。まぁ、おじさんなんだけどね…はは』


『ごめんなさい!おじさん!』

『りゅと…しーっ…しーっ…』


『…そ、そんな事より君たち子供だけで?いやそんな訳ないよな。お父さんやお母さんはどちらに??』


『あ、いやぁ、僕たち道に迷っちゃって、、』

『そ、そうなの!私たち迷子!!』


『へぇー…大人でも一人で歩けない危険区域内で迷子ねぇ………ちょっと失礼っ!』


『ん?』

『え?!』


おじさんは2人に向けて指で何やら印を結ぶ。


『天眼!』


何をされたかさっぱりわからず顔を見合せたり自分の手を見てみたりそわそわする2人


(邪気無し、、、)

(!?、、神持ち!!いやまぁ当然か!)

(こっちの女の子は、、、!!!?)


『か、、、神憑きだとおおお!!!』

心の声をガッツリと口に出し腰を抜かすおじさん


『カ・ミ・ツ・キ、、?』りゅとあち


おもむろに飛び起きあちの両肩に手を置くおじさん!


『き、君は一体、、君たちは何処から来たの!!!』


『うーん、、』

『りゅとぉ、、』

返答に悩むりゅと。りゅとの袖を引っ張るあち。


困っている2人を見ておじさんは自らの動揺を落ち着かせながら改める、


『あ、いきなりごめんね!ちょっとびっくりしちゃってさ。まずは僕が自己紹介しないとね。僕はここより3日ほど北に向かった先にある猫の都で宮司をしてる坂巻っていいます。宜しくね』


おじさんは迷子の子供に話しかけるような口ぶりで優しく2人に自己紹介をした。



『坂巻さん?』

『猫の都の宮司…??』


『そう!猫の都で宮司をしている坂巻と言う者だよ。君のその服、かなりアレンジしてあるけど、巫女服だよね?』


『え、、あ、、んー、、』

返事に困りりゅとの背後に隠れるあち


『あち、この人は多分大丈夫そう。おじさん、俺たちはずっとずっと遠くの小さい集落から来た旅の者です。お父さん達とはぐれちゃって探してたとこで、、』


『そっか、お父さん達を探して綿帽子にねぇ、、』

明らかに俺の誤魔化し口調に気づいてらっしゃるご様子。



『ん、まぁあのね、さっき僕は君たちの魂を少し覗かせて貰ってさ。子供とはいえ君たち2人だけでこの樹海を進められる力があるのはもう理解は出来てるから取り繕わなくて大丈夫だよ』


『りゅと、、』

心配するあち


『……そうですか。ごめんなさい。驚かせてもいけないと思ってつい。そうです。2人きりで旅をしています』


『何か事情があるんだね?良かったら少し話をしないかい? そうだ!、君たちお腹空いてるんじゃない?僕もお腹空いてるからご飯でも食べながらさ!』


そう言っておじさ、、坂巻さんはその場に簡易結界を作るために地面の4隅に祓い具を置き祈祷を唱えた。


『よし、これで暫くここは安全だよ。ろくなものは持ってないんだけど良かったら皆で、、』


坂巻さんは背中に背負ってたリュックからリンゴと何かかりん糖の様な物をだし2人に分けてくれた。


『あ、ありがとうございます』りゅと

『ありがとうです』

あちはそう言うとりゅとの肩をツンツンする。


『これなぁに?』

耳元で囁きかりん糖を、指さす。首を傾げるりゅと。


『ん?ああそれはこの樹海で捕れるカリン虫を火で炙った物でカリカリしてて美味し、、』


『ぎゃあああああああ!!!!』

あちはカリン虫をおじさんの顔面に投げつける。


『痛っ!、あぁ、勿体ない、』

坂巻さんは地面からかりん糖、いやカリン虫を拾い息を吹きかけてからパクッと食べる。


『いいいいやあああああああ!!!!』

あちが絶叫して白目を剥いて倒れる!


………


『あち?起きろ、あち!』

『んっ…り、りゅと…』


数秒の失神から意識を取り戻すあち

『お前、いきなり失神なんてびっくりさせやがって!』

『…え、あ、、そうか、、わたし、、』


『なんかごめんね、、虫は苦手だったかな、ははは』

『あ、すみません、見るのは多少慣れてるのですが触ったりはあまり得意では、、ごめんなさい』


『旅慣れてそうだったから当然のように渡しちゃった僕が悪かったね。本当にごめんよ!』

虫をこんなに嫌がるなんて本当に普通の女の子にしか見えないな。坂巻は未だにこの子が【神憑き】なのかと半信半疑にも感じていた。



『まったくあちは仕方ないなぁ、虫なんて山や森で行動しようと思ったら嫌でも食べなきゃやってられないぞ?』

そう言ってりゅとはあちにカリン虫を食べてみせる。


パクッ カリカリ

『うん、なかなかイケる』


『うげぇ、、、』

口を抑えてうなだれるあち


『まだ旅立ったばかり?食事も初めてだったのかな?』


『俺はこーゆーの慣れてるんですけど、こいつ、、あちは旅は初めてで、、』

『こいつって言うな!』

りゅとのほっぺを抓るあち


『あちちゃん?でいいのかな?』

頷くあち

『俺はリュウトです』

『リュウト君とあちちゃんね!改めて宜しくね!』

『皆、略してりゅとって呼ぶのでりゅとでいいです』

『了解!りゅとくん!』


その後、俺たちは坂巻さんから色々と話を聞くことが出来た。神持ちとは神がもつ力を自身の能力や装備に付与させ間接的に使うことが出来る者、神憑きとは神の力を自らの魂を介して直接的に使える者なのだそうだ。


天狗の力を団扇や横笛、錫杖で使える俺は神持ち、炎の姿になったり炎の翼で治癒・蘇生の出来るあちは神憑きと呼ばれると。そしてそれらの神々しい力は個々に持つ霊力によって効果の大きさも変わるらしい。


それからこの世界の町や村等は神格物、神社や寺院、協会などの建物だったり石碑やお地蔵様、祭場などの霊力の総量にプラスしてそのエリア内にいる神憑き、神持ちの霊力を合わせた総数で聖地としての庇護効果の強弱に影響されるのだと言う。


『さてと、僕はこの周辺の巡業中だったんだけど君たちはこれからどうするつもりだい?』


『俺たちはこれから南西方面にある集落へ向かう予定です』


『南西方面の集落かぁ、僕が普段巡業で回るエリアの外になるねぇ、そこに何か目的でも?』


『そこの集落が襲われた可能性があって、それを助けに、、』


『襲われた?巨大化や凶悪化した蟲かい?』

この世界で巨大化や凶悪化してる虫は蟲と識別してるらしい。


『蟲だと思います。大グモの巣窟も近くにあるみたいです』

『大グモの巣窟は厄介だねぇ、油断すると大量に増えかねないし、、』

『人の姿から突然大グモに変化したんです!』

あちが自身の経験談の話をした。


『人型からの変化蟲というのは間違いないね?』

頷くあち


『それはただの蟲ではないよ!悪魔憑きだよ、、』

『悪魔憑き!?』


『僕たち人は【神憑き】【神持ち】のように神々からの力を得て神秘的な力を扱えるようになった。対して【悪魔憑き】や【悪魔持ち】は悪魔の力を行使できる人の事を差す』


『………』


『蟲と悪魔憑きは全くの別物、更に悪魔憑きとは悪魔持ちの上位互換だと思ってくれていい』


『そうだったんだ、、』


『あちちゃんの言葉を信じるのであれば悪魔憑きを倒したと言うおじい様も神憑きか神持ちのどちらかで間違いないよ。神と悪魔両方に通じて【持ち】が決して弱い訳でもない。【憑き】は人の業では無い力を使えるけどそれが全て攻撃に関する力とも限らない【持ち】は人が想像できる延長線上の事が出来るイメージかなぁ?それが攻撃特化していれば神憑きよりも当然戦闘向きって事になるね。


『なるほど、、』

『で、僕らはその神憑きや神持ちたちをその使える能力(ちから)によって攻撃特化の人達をアタッカー、治癒効果を持つ人をヒーラーなんて呼んだりもしているよ!』


『って事は俺がアタッカーであちがヒーラーって事になるのかもね』

『僕はまだ君たち2人の能力(ちから)を把握はしてないけど雰囲気的にもそんな感じじゃないかなぁ』



『悪魔憑きが出たと聞いたら僕もこのまま君たちだけでそこに向かわせる訳には行かなくなったな』


『え?何でですか?坂巻さんには無関係の、、』

『関係大ありだよ。僕はこの世の悪魔憑きや悪魔持ちを絶滅させる為に生きている。僕は【神持ち】なんだ』


『それにそうやって生きてるのは何も僕に限った話ではないよ。今この世界には悪魔憑きや悪魔持ちを倒す為に活動をしている人達がいる。組織として動いていたり、その組織同士で連合を組んだりしてるんだ』


(俺たちみたいな力を使える人が割とたくさんいそうだな)


『あ、いけない。こんな悠長に長話してる状況では無いね。少しでも早くその大グモの巣窟に行き対処しないと周辺に住む人達へ甚大な被害が起きる可能性があるからね。僕も君たちに同行させて貰うよ』


『どうするの?りゅと?』

『んー、、』


長考するりゅと。


このおじさんを何処まで信用していいものか、俺一人ならまだしもあちもいるし、元々2人で行こうとしてたんだ。無理に同行して貰う必要もない。


『あの、お気持ちは…』


『待てよ?あち?あちちゃん…もしかして雪舟さんのお孫さんのあちちゃん??』


『おじぃちゃんの事知ってるんですか、、!?』


『知ってるも何も世界がこうなる前から僕の父親と雪舟さんは古くからの友人だったんだよ。父はもう何年も前に亡くなってしまったんだけどね、、そう言えば僕あちちゃんがもっと小さい時に一度会ってるよ!天狗神社に挨拶に行った時にね!そうか君たちは天狗山の集落から来たのか、僕が自由に行動できる範囲には届かなかったから安否の確認が出来なかったんだ。大グモを倒したのが雪舟さんって事だね。色々納得だ』


『天狗神社の事まで知ってらっしゃるんですね。そこまで聞かされたら嫌とは言えなくなっちゃいましたね。あちもそれでいいよな?』


『ん?悪魔憑きと戦いに行くと聞かされたら無理やりにでも着いて行くよ?それは譲れない、あはは』


おじぃちゃんの知り合いという事を知り安堵するあち


『具体的な場所は把握してるのかい?』

『いえ、天狗神社の位置からやや南寄りの西側としか』

『捜索に時間がかかりそうだね、、』

『そうでも無いですよ。俺、木のてっぺんまで登れますのである程度、西へ抜けたら高い木に登って一望出来ると思います!』


『なるほど、それなら何とかなりそうだ』


こうして、りゅと達はおじさんと共に西の集落へと向かうことになったのである。


道すがら2人はおじさんから今のこの世界の状況について色々の話を聞けた。人類同士の戦争は突如として現れた樹海と共に人類の築き上げてきた文明の殆どが壊滅し自然消滅したが、聖地、神の庇護を受け生き残った人類たちと樹海、庇護を受けずに生き残った者たち、悪魔たちとの戦争に変わったのだと。但しおじさんはその話の全てを信用している訳でも無かった。おじさんが得ている情報は【神の遣い】と名乗る者からの情報なのだと言う。

おじさんが住んでいる猫の都は周辺の集落や村などから生き残った者が集まり約500人が住む住居住区になっているのだそうだ。


『僕からしたらさ【神の遣い】も正直、謎が多いんだけど実際に猫の都も何度か悪魔憑きや悪魔持ちとの戦いを経験しててね。これが世界各地で起きていると想像すればあながち嘘では無い話なんだろうなって思ってるんだよ。これなら世界大戦してた頃とどっちがマシだったんだかね、、』


『なんか色んな話を聞きすぎて脳みそが消化不良起こしてますよ、、』

『私はまだ大丈夫よ!それよりそろそろ日が暮れそう。夜はどうする?』


『本当にノープランで飛び出して来たんだね、、』

苦笑いするおじさん


『どうするも何も疲れたら手頃な場所見つけて寝ればいいやって思ってたけど、、裏山ではそうしてたし』


(裏山?天狗山の事かな)

『ははは、りゅとくん。流石に庇護下にある山と庇護下に無い樹海では危険度が全然違うから!』


『そうかな?あちと居るせいか俺には裏山より今の方が安心快適に感じちゃってるんだけどな、?』


『確かに君たちと行動を共にしてからは呑気におしゃべりしながらって、、蟲たちが襲ってきてない、、』


『さっき襲われましたよ!ミツバチの大群に、、』

『あれはお前が騒いだからだ!』

『何よぉ~、、』


『ん?その話もう少し詳しく聞けるかい?』


2人はその時の状況を詳しくおじさんへ伝えた。


『タンポポの自生地で騒いだらミツバチの大群が向かってきたと、、それはあれだな。君たちミツバチの巣を刺激しミツバチたちの自制心を失わせたのかも知れないな』


『自制心??』


『本来蟲たちは結界などの霊力を嫌って近づいて来ないんだけど悪魔たちと違って立ち入ることでその身に危害が加わる事はないんだ』


『入っては来れるのか、、』

『そう!蟲たちは嫌がるけど霊力でのダメージは通らない。ちなみに悪魔は強い霊力に充てられると身体に痛みを感じたり霊力が強ければ青白い炎に包まれ消滅もする』


『、、!?確かに!!オオムカデは結界を張った時に燃えてた!』


『燃えたということはオオムカデは蟲では無く悪魔だったって事だね!しかもその悪魔を燃やしたということは強い結界効果があったってことにもなる』


『ストップストッープ、おじさん、勉強疲れたからそろそろ、、』


『あ、思わずつい、ははは。じゃあ今晩はこの辺りに結界を作ってそこで休もうか。少し広めに結界を張るから侵入者がいてもすぐ対応出来るようにね!』


おじさんは手際よく結界を作り、その中心で休息をとる。


グー、ギュルギュルギュル、、

『お腹すいたぁ、、』

あちが大きなお腹の音をたてりゅとに何かを催促する。


『好き嫌いするからダメなんだぞ?』


『好き嫌いとかじゃないもん!虫は食べ物だなんて私は絶対に認めない!!絶対に嫌っ!!私の前で虫を食べるのも絶対許さないならねっ!!!』


『おやおや、これは困ったねりゅとくん』

『…』


『私、お肉が食べたい!りゅと、何か獲っててきてよ!山鳥とか兎とか猪とか!!うーん、、この歳だったら最悪ヘビやカエルなら我慢して食べるからさ、、』


『そんな簡単に言われてもなぁ、、目につけば獲るけど罠を貼れるような道具は持ってきてないし、、』


『虫は嫌、虫は嫌、虫は嫌、、、お肉食べたいお肉食べたいお肉食べたあああああい!!』


『あちちゃん、、ははは』

坂巻は背中のリュクにまだ入っているカリン虫をどうしようか悩んでいた。


あちが子供のように、まぁ実際子供なのだが地べたで手足をバタバタさせ癇癪を起こしている。


『仕方ない、ちょっとその辺見てく、、』


『待って!りゅと!!!お肉がある!!お肉!!そこ!見てみて!お肉が並んで歩いてるよっ!?!?』


『何をバカな事を、、、え!?』


あちが指差す先には3つ並んだ骨付きの肉が草むらの中をひょこひょこ並んで歩くように進んでいる。


『なんだあれは??僕もあんなのは見た事が、、』

驚くおじさん!


『マンガ肉が樹海の中を歩いてるー!!!』


樹海の中を散歩する謎のマンガ肉


そして新たな冒険の仲間となったおじさん


2人は無事に西の集落へたどり着けるのか?


次話へつづく

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