#29 結束の日
第3試合開始わずか3分で試合を止めた原田
『いやあごめんねぇタツキくん!あんな凄い棒さばき見ちゃったら戦意喪失しちゃったよー。あはは』
悪びれる様子もなく正直な気持ちを伝える原田。今までに出会ったことのないタイプだな。タツキは更に困惑する。
『この立合いってさ、いわゆる殺さずのルールじゃない?だから正直俺の得意な戦い方も出来なくってさ~。俺が得意なのは格闘技よりもこっちなんだよ!』
(悪いねタツキくん、、ちょっと大人気ないけど俺は負けられないんだ。あの上杉将補にあんな顔して頼まれちゃったらさ、、どんな汚ぇ手段だろうが勝たせてもらう)
そう言うと原田はポケットから何かを取り出した。
Y字の道具にゴムが取り付けられている。
『パチンコ、、?』
『古い呼び方だね!スリングショットって呼ぶのさ!』
原田はゴムを引っ張り使い方をタツキに見せる。
『ここに石が落ちてるでしょ、これをセットして。見ててねー!』
ビュッン!!
ガッ!!!
タツキの後方200m先の木に弾痕がついているのが見える。
『中々の威力でしょ!威力を出そうとすると精度が落ちるからこの距離であの木にぶち当てるの結構難しいんだよ?』
確かに難しそうだ。あの距離の木にあれだけの弾痕がつくのなら至近距離なら人間の身体を貫通しても不思議でない。
『流石に立合いでこんなの使えないからさぁ、仕方無く格闘技で!って思ったんだけど渾身のハイキックもあっさり止められた上にあんなの見せられたらもう戦えなくなっちゃうじゃん?』
『は、はぁ、そうですか。俺は別にやめても構いませんよ』
このまま試合が無くなればいいとタツキも思っていた。こんな試合よりも西に向かった2人が気になる。
『何をアイツらくっちゃべっている?まだ試合は始まってもいないのか?』
蓮見の容態を見ていて試合を見ていなかったマリが観客席のざわめきを感じ戻ってきた。
『んー、、試合は始まったんですけどね、途中で原田が何やら話しかけてそのまま中断しまして、今はスリングショットを披露してるところです、、』
観客席からは試合中の2人の会話までは聞こえない。皆からは試合中にふたりで雑談でもしてるかの様にしか見てとれない。
『やれやれ、、原田の悪い癖が出てしまったか。あいつはそもそも立合いに熱くなるタイプでも無いからなぁ。それでいて楽しそうだと思ったものにはとことん夢中になるのだけれどな』
『えと、じゃあ原田さんお疲れ様でした』
タツキが舞台から出ようとする。
『ちょ、待って待ってタツキくん!試合はまだ終わってないから!』
『え?特技も披露して貰いましたし、まだ他に何か?』
『これからお互いの特技披露対決をするのさ~』
『?』
何とも楽しそうな原田についていけてないタツキ
『俺はこのスリングショットが得意。対して君はあの圧巻の棒さばき!そしてこの舞台は野球場の広さだ!これはもうやるしかないっしょ~。それともタツキくんは棒を高速で回す技術はもってても野球は苦手だったり?あははは』
両手を広げ舞台1面をアピールする原田。観客席の戸惑ってる皆の顔に気づき司会者席へと歩いていく。
『は?』
俺、今バカにされたのか?されたよな?
若干のタイムラグを起こしつつイラッとするタツキ
『サナエちゃん、このメガホン借りるよん』
『え?あ、はい!どーぞ!』
『レディース&野郎たちー!盛り上がってるかーい??』
………
静まり返る会場
『なんだよぉ、ノリの悪い連中だなぁ、まぁいいや!第3試合は演目を変えるぜ!新しい演目は【野球】だあああああ!!!』
『なにっ?』笹岡
『はっ?』峰岸
『あのバカ、、』マリ
『ルールを説明するぜ!俺はこのスリングショットが特技でタツキくんは棒さばきの達人だ!さっきのあれ見た?クルクル回転するやつ?めっちゃCOOLだよなっ!クルクルだけに!!!』
………
『これから俺とタツキくんで野球対決をするっ!俺がこのスリングショットで三振をさせたら俺の勝ち、タツキくんはそうだな、クリーンヒットさせたらタツキくんの勝ちって事でいいや!んで、この舞台の外、あそこに生えてるでっかい木が見えるでしょ?あれに向かって俺がスリングショットを放つ。タツキくんはあの木の前で棒を使って石が打てればいいって事!おっけー?んじゃ始めるね~』
ザワザワザワザワ
『お待たせっ!タツキくん。では行こうか!俺たちのステージはあそこだ!』
でっかい木を指差しタツキの了承すら聞かずにタツキの手を引き歩いていく。
『タツキ随分困ってますね』
苦笑いしながら雪舟に目を向けるセオリ
『軍っていうのは変わり者の集まりなのかも知れんのう。わっはっは』
『んじゃ、タツキくんはここで構えてね!』
木の前に誘導し原田はそこから歩数を数えながら20歩進む。
『ピッチャーマウンドの距離はこのくらいだね!あ、俺の放った石が君の棒にも後ろの木にも当たらないとこに飛んでったら即俺の負けでいいからね!』
ニヤリと笑う原田
タツキと原田それぞれがポジションにつき、原田が司会者席にOKサインを送る。
『お、そろそろ試合開始のようですよ!サナエさん!』
『そうですね!村田さん!そして第3試合が野球対決に変わったことによって我々もようやく実況らしい事が出来る機会が出来ましたよ!!』
『サナエさん!頑張りましょうね!ウルウル。それでは始めましょう!プレイボオオオーーーール!!』
村田が片手をグルグル回しながら乗り気全開で開始の号令をかけた。
スリングショットのゴムを引き構える原田
『やれやれ、、』
仕方なく構えるタツキ。槍の構えではなくバットを持つ構えだ。
『まず1球目!』
ビュンッ!!!
原田の放った石が銃弾と変わらぬであろう速さで撃ち込まれた!タツキはそれに合わせ棒を振る!!
カシュッ!!
ズドンッ!!!!
『え!?』
(マジかよ、、あいつ当ててきやがった。どんな動体視力してやがるんだ!?いや視力だけでは当てられるはずもねぇ、反応速度、棒を振る時の筋力、、全て尋常じゃ無ければこのスリングショットで放つ石に触れるわけがねぇんだぞ、、)
生唾を飲む原田
『ふぅ、、やるねぇ!でもワンストライクだ!』
『ちっ、、』
ここでタツキの負けず嫌いに火がつく。
『ワンストライーーーーク!!』
右拳を前に出し左手をクルクルと回しながら村田がストライクを宣言する。
『流石にスリングショットの放つ石を打つなんて行為は無理なんじゃないでしょうか?』
サナエが村田と観客席の皆に向かって疑問を投げかける。
『うーん、タツキは現役高校生の陸上選手なんですよ。棒高跳びでインターハイにも選ばれてて、スポーツ神経は凄いはずなんですけど…せめて普通に投げるボールだったら打てたとは思うんですけどねぇ、、』
タツキのフォローを入れつつ頭の片隅では無理だとわかっている村田。頭を掻きながら選手の2人を見つめる。
司会者及び観客席からはタツキの棒が石をかすめていた事は分かりようもなくタツキと原田だけがその事実を知っていた。
(あいつ、、反射が良かった訳じゃない、、遅れた分を腕力のみで追いつかせていた、、剣速は私以上か!?)
マリはタツキの超人離れした腕力を今の一振で理解し感心していた。
(そうだ!)
何かを閃く原田
『タツキくんっ!今のかすってたよね?って事はあの石をキャッチャーが獲っていればファールチップでアウト!君の負けだ!!』
『なに?』
タツキがすっごく不満そうに答える。
2人同時に石が直撃した木を見る!
表面についた弾痕の1つに石が刺さっている!
『はっはっは!申し訳ないけどこの勝負は俺の……』
勝利宣言間近の原田の言葉が詰まる。
ポロッ、、
無情にも刺さっていた石がこぼれる。
『グローブから落ちたならファールだ。続けるぞ』
タツキが冷静にゲーム続行を告げる。
『ちっ、、』
目前の勝利を逃した原田。怪訝な表情で次の石を探す。
『来い』
1球目よりも棒を短めに持ち構えるタツキ。
『おおー!いいねぇ!その顔いいよ~!』
(ちっ、長打よりもミート重視のフォームに変えやがった。まぁいい。次はもっと尖ったこいつで、、)
『では、2球目!!』
ビュンッ!!!
やや低めの弾、鋭利な形の石が飛んでいく!
バッキィーーーーーン!!!
ボタボタボタッ!
コロン、、
砕け散る木の棒。その残骸と共にステージの外に石が転がる!
『あ、ああ、、あ、、』
目を見開きあんぐりと口を開ける原田
(やばいやばいやばい、こいつ芯で捉えやがった、、銃弾並の速さなんだぞ??漫画じゃねーんだぞこれは、、)
『き、君やばいねぇ、、何者なの!?』
(この子には野球の神でもついてるっていうのか、、)
『何者って、、ただの俺だけど、、?』
『んー、まぁそうね、俺もそんな質問されたら困るしね。でもあれだ!君、面白いね!』
タツキに動揺を誘われないように気をつける原田
『ツ、、ツーストライクぅぅぅ!!!!』
『棒が粉々になりましたよ、、なにあれ??』
『タツキが石に棒を当てたってことしか分かりません、、』
『野球でさえ実況のしようが、、』
うなだれる司会者両名
『おじい様、私、これをタツキに届けて来ましょうか?』
セオリはタツキから預かっていた白い棒を手に取り雪舟に問い掛ける。
『むぅ、、流石に龍神様をバットにする訳にもいかぬじゃろう、、』
悩む雪舟
フゥ、、
グリップ部だけを残した朝稽古用の木の棒を握ったまま、ため息をつきながら辺りを見回すタツキ
『気に入っていたのにな、、』
そして、自分の背後にある弾痕のついた木を見つめながら呟く
『こんなとこにいいのがあるじゃん』
『へ!?』
タツキはおもむろにその木を抱きかかえる。
スーッ 深く息を吸う
『ふんっ、、、ぐぬぬぬぬ、、、、』
『え?まさか!?ちょ、、待て待て、、お前、、』
『んぐぐぐぐぐ、、、、』
木の葉がザワザワ音を立てて揺れている。
『見て!村田さん!タツキくんが木にしがみついてますよ!』
『サナエさん!これは、、悔しいのです!!タツキは石に当てたのにヒットにはならなかった!その悔しさから木にしがみついているのです!!』
『これも青春の1ページってやつですね村田さん!』
実況を盛り返そうとする両名
『………マジで、、、!?、、、嘘だろ、、』
これから起きるであろう出来事を予想し、信じられないといった顔で見守る原田
『んぐああああああああ!!!!!』
メキメキメキメキー!!ブチッ!!!!
『……とんでもねぇなぁ、、おい、、、』
原田はおでこに手をやり空を仰ぐ
そして、バッターボックスには根っこ諸共ひきぬいたそ木を抱え先端の方を見つめているタツキがいる。
『んー、流石に長すぎるか…』
タツキは慌てふためく原田の反応なんて一切見向きもしない。原田がスリングショットで放つ石をただ打ち返す事のみを無邪気に考えていた。
タツキは抜いた木を寝かせ手頃な長さの所に足をかける。そしてその足を支点としそこから先になる箇所をすくい上げるように持ち上げる。
すぅーっ
深く息を吸うタツキ
『おらああああ!!!!』
メキメキッ!バキバキバキーッ!!
『……スリングショットで貫通しなかった強度の木を筋力だけで、、、』
『いい長さのバットが出来た。さぁ来い』
やる気満々のタツキ
『あ、もう大丈夫です……』
心なしかゲッソリしている原田が司会席の方へ手を振る。
『負け負けー!俺の負けでーーーす』
『木を、、抜いてから折ってたぞ、、』
『内容はよく分からなかったけど、あいつ人間業じゃねーぞ、、』
『司会者!!早く詳細を確認して来いっ!!』
騒ぐ観客席
村田とサナエが試合後?の2人に駆け寄る。
一通り話を聞き司会席へ足取り重くも戻る2人
『えーー、お待たせを致しました!第3試合は原田選手の戦意喪失の為、勝者はタツキ選手だそうです、、』
『あ……おめでとうございまーーす!!』
サナエが空気を変えようと明るく振る舞う。
『』
『それよりあの力見たか!?』
ザワザワしたままの会場
タツキと原田も皆の元に戻って来た。
『タツキ、勝手に木を抜いたり折ったりしたらダメじゃない!』
何となく最もらしい事で叱るセオリ
『原田、楽しめたか?』
マリがニヤニヤしながら原田に問う。
『楽しさを通り越して思わず敗者宣言しちゃいましたよ、、ふぅ…』
『私も勝てないかも知れないな。原田、この村はどうなっている?』
『知らないっす』
『そうだな、、あははははは!』
『きっとあいつにはゴリラ神がついてるんですよ!次に勝負する時はバナナを使った作戦でも組まないと、あははは!』
心の底から笑い合うマリと原田
『ふぅー。立合いに出てきた3人は3人とも常軌を喫してたな、』
『ははは、まぁそれを言うならマリさん含めて4人っすけどね!俺はただのNPCっす、部隊内ではマリさんに次ぐナンバー2だったはずなのになぁ、こんなんじゃマリさんにプロポーズなんて出来やしない、、』
『バカなこと言ってる余裕があるなら蓮見の介護はお前に任せるわね』
『はいはい、どーせあの巨体は俺にしか支えられませんからね!任されましたっと!』
マリの元から離れ蓮見の様子を見に行く原田
『えーーーと、この後はセオリVSマリさんとのエキシビション、、ですけどどうします??』
村田が不安げにセオリとマリに問いかける。
『あ、忘れてた』マリ
『もちろんやりますよ!』セオリ
『いや、セオリ。私はもう、、』
まだ痛む胸に手をやりながら、マリは申し訳なさそうにセオリを見つめる。
『はいはい、みんなどいてどいて!ここで今から試合するので皆さん少し下がってくださーい!』
観客達の中央にスペースを作るようにセオリは皆を誘導する。
『じゃあマリさんはここに座って!』
『え?あ、うん』
地べたに正座するマリ
『じゃ、私はこっち』
マリと向かい合い正座するセオリ
手に持っていた紙を巻いた棒を2人の中心に置く。
『マリさん、帽子お借りしますね!』
マリの被っていた軍帽をそっと頭から外し地面に置く
『えっと、、セオリ?』
困惑しているマリ
『せーーの!!叩いて被ってジャンケンポンっ!!』
『え!?』
慌てて遅れながらも左手を前に出すが雪舟にガード越しに叩かれた時の痺れで指がまだ曲げられない。
そしてセオリは自信満々でチョキを出す!
『ニヤリッ、、敵将!討ち取ったりー!!!!』
スパーーーーーーン!!!!!
セオリがマリの頭を紙の棒でフルスイングし引っぱたく!!
『え?え?』
マリが驚いた顔でキョロキョロ見渡す。
『あーはっはっはっはーーーーー、セオリさん最高っ!!』
原田が大爆笑しながらセオリにグーサインを送る!
『やれやれ、ワシの出る幕が、、とほほ』
苦笑いする雪舟
『ふっ』
鼻で笑うタツキ
ワアアアアアアア!!!!
『マリさんが頭叩かれたあああ!事件だああ!!』
『マリさん負けたああ!!』
『セオリさん面白すぎっ!』
『マリさんのあの顔見た?写真班はいないのかーー!!』
沸き立つ観客席!!!
『勝者、、セオリ!!』
村田がセオリの右手を持ちあげる。
バチンッ!!
『ギャッッ!!!』
村田の手がセオリの気功で弾き飛ぶ!
『お触り禁止ですっ!』
『いまのは、不可抗力、、、ふーっふーっ、、』
右手に息を吹きかけながら涙目になる村田
セオリが悪戯っ気たっぷりに笑う
ワハハハハハハハー!!!!
会場全員がドッカンドッカン爆笑する!
『えーーこれにて双山村と元軍の皆様による親善大会を終わりに致します!最後に雪舟さんとマリさん一言ずつお願いいたしまーす!』
『ほっほっほ、首を切られかけた患者に人遣いが荒いのぉ、、』
『も、もし宜しければ私の方でまとめてみせますのでここでお休みしてて頂いて。私のまとめ方に不備があればどうせセオリが来るでしょうし!』
セオリにウインクしてから集まった全員の前に簡易的なお立ち台を作らせ、壇上にあがるマリ
『まず、双山村の皆様、今更ながら私の身勝手な行動、申し出に無礼があったことをここに認め謝罪致します。心より申し訳ありませんでした』
深々く頭を下げるマリ
『私は数時間前まで上杉摩利将補として軍を率いておりました。全ては我が国の為にとしての崇拝心を持ち、特例にて得た階級に相応しい言動や行動を持つべきと自分に言い聞かせても来ました。軍というのは上官の命令が絶対なんです。その命令1つで全員の生死を分けます。生温い事は言わず、与えられた使命を全うする。そうやって私は私を創り、その心情を隊員達にも徹底させてきました。それが間違っていたとは言いません。しかし、今、この世界には軍なんて無いのに私はまだ上杉将補として神からの啓示をあたかも上官命令の様に扱い、それを実行する為の行動を説明したり相談をする事もせず隊員はおろか万民に強制して参りました。それは私が立場を利用した訳ではなく、私自身が誰よりも優れ誰よりも強いと自負していたからです。今日恥ずかしながらそれが間違いだったと教わりました。私は弱かった。そして愚かで未熟でした』
静かにマリの話を傾聴する一同
『それに気付かされ上杉の名と将補のポストを捨てただのマリとなりました』
全員と目を合わせるように見渡す。
『ふぅー、ここからはマリとして話しますね!』
神妙な表情から一転させ笑顔で話し始めるマリ
『暇つぶしとして付き合ってあげるとかカッコつけて言っちゃってだんだけど、、親善試合!楽しかった!うん、私は楽しかったの!!』
両手を前で拳を作りブンブン上下に振りながらマリは高揚しながら話を続ける
『あの試合、、本当は私の負けなの!雪舟さんに手を抜かれちゃっててさ!試合としては勝ちを譲って貰えたけど勝負は完敗!絶対誰にも負けないと心から思ってたのに、、みんなにかっこ悪いとこ見られちゃったよね!あはは!』
『それにセオリに頭叩かれてさ、私、随分長い間、誰からも頭を叩かれない高貴な存在になりすぎてたんだって思ったの』
『私さ!もっともっと強くなりたい!もっともっと私の弱さを知ってもらいたい!もっとみんなとちゃんと色々話したい!そして私の話も聞かせたい!何かあればセオリみたいに叱って欲しい。元隊員の皆、これからは元上官とかも忘れ、もし良かったらなんだけど、、良き友としてこの不条理な世界で私を支えて貰えないかな?これからも私と一緒にいて欲しい!そして命令に頷く関係なんかじゃなくって、さっきみたいに笑い合える関係になりたいの!!双山村の皆さん、色々気づかせてくれて本当にありがとう!私は神の啓示を受けここに友を引き連れて来ました!是非、私の、私たちの声を聞いて欲しい。そして私たちをあなた達の仲間にして頂け無いでしょうか?私はまだまだ弱い。部隊の皆がいたからここまで来れた。けどここがゴールだなんて思わない!まだ私たちは危険な樹海に囲まれ、謎の脅威に怯え、自由とは言えない生き方を余儀なくされてるじゃない?それを私は変えたいの!誰かに頼るわけでもなく、って思ってたんだけどここにいる全員に私は頼りたくなっちゃったの!みんな私に力を貸して貰えませんか?!お願い致します!!』
そしてマリはおもむろに膝をつき、土下座をした。
それにつられて元隊員たち、双山村の村民も全員何故か正座をした。土下座をしてるマリと同じ頭の高さに自然と揃った。
パチパチ
パチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!
皆、一斉に拍手をする!!
『美人が台無しだぞー!土下座やめろー!』
『双山村へようこそー!』
『丁度人手が足りなかったんだ!よろしくなー!』
『俺達も軍の皆の知識や技術を教えて欲しい!』
『私たちと一緒に、仲間になろう!!』
双山村の皆から心良い迎え入れの言葉がたくさんむけられる。マリ含め元軍の一同はしっかり前を向き村民の皆を見て、誰からともなく敬礼をする。
それを見てマリは
『まったく…もう軍では無いのに君たちは、、』
涙を流しながら最高の笑顔でハニカミながらちょっと崩し気味の可愛い敬礼を全員に送り壇上を降りた。
『マリ、偉かったな』
頭を撫でる雪舟
『これは、、セクハラかな?』
『な、何じゃと!?濡れ衣じゃ!!』
セオリに目を送りつつ笑顔で雪舟の手を払う
『村にセクハラ撲滅のルールを作らなきゃ!』
『あはははっ!セオリと私で取締係作らなきゃね!』
笑い合いながら握手をしハグし合う2人
波乱の展開となった親善試合はこうして幕を下ろした。
念の為の処置にて拝殿で寝かされてる蓮見を置き去りにして、村民一同の結束を固める日となったのである。




