#28 トップ対決
蓮見による圧倒的体格差からの攻撃を見事に躱し、玉砕?させたセオリ。まずは双山村が1勝をもぎ取った。
そして、いよいよ注目の第2試合が始まろうとしている。
『さあ、続いては第2試合、雪舟VSマリ!注目の1戦です!双山村天狗神社の宮司と元軍の総司令官、事実上のトップ対決と言っても良いでしょう!サナエさん注目されてるポイント等はございますか?』
『そうですね、第2試合は双方共に武器を装備しての戦い、しかもお互い刀での試合となります!』
『なるほど、共に刀を使っての戦闘となるんですね!』
『2人とも刀の使用にはなりますがそれぞれの戦闘スタイルは異なりそうですよ!雪舟さんはいわゆる日本刀。聞いたところによりますと十拳の太刀を使用されているそうです!』
『とっか??』
『拳10個分の刀の意味で十拳です!一拳が約10cmなので約1mの刀って事になります!反りも大きく正に斬る為の刀となります!』
『サナエさん随分お詳しいのですね?』
『私、武器フェチなんです!軍で武器科にも配属経験あるんですよ!』
目をキラキラと輝かせながら解説が止まらないサナエ
『対してマリさんはレイピアとサーベル型軍刀の2本を腰につけられてますね!この2本にも細かく違いはあるのですが、どちらも突く為の刀です!特にレイピアは刀身も長くフェンシングのような立ち回りで使います!そして注目なのはもう1つのサーベル型軍刀。サーベルは本来突く目的なので直刀なのですがサーベル型軍刀には反りがあり、斬る事にも適した作りになってます!』
『な、なるほど、、サナエさん!そろそろお時間のようなので、、』
『あとはそうですね!雪舟さんの刀は両手持ち用で……』
『お待たせ致しました!!では第2試合、、初めっ!!』
サナエのウンチクを遮り第2試合が開始された。
マリは静かにレイピアを抜く、対して雪舟は鞘に納めたまま柄に手をかける。
ジワジワと距離を詰める両者。
ザッ!!
やや遠目の距離からマリが一気に踏み込む!
ヒュン!!
素早いレイピアの突きを思わせるフェイントを撃ち込むが危険感じ後方にバックステップをするマリ!
ダンッ!シュキィーン!!
突ききらずに戻るレイピアの刀身を横目に雪舟は追い討ちの居合抜きを放っていた!!
マリの腹部の軍服が僅かに綻ぶ!
(フェイントにも動じぬか。やはりただの手練れでは無いな)
観客一同息を飲み静まり返る。
『やはりただの神官様では無かったようですね!今から神官では無く武人を相手としてやらせてもらいます』
マリの表情がキュッと引き締まる。
タンッ タタンッ タッタッ タタン
そしてマリは不規則なステップを始める。切っ先をゆらゆら揺らし雪舟の間合いの外ギリギリを左右、右左左と行き来する。
『出た、、チョーマイビーサスだ!』
『サナエさん?チョーマイ、、?なんですかそれ?』
『蝶舞bee刺、蝶のように舞い蜂のように刺す!の、チョーマイビーサスです!』
『な、なるほど?』
『マイさんの必勝スタイルです!』
チョーマイ!ビーサス!チョーマイ!ビーサス!
隊員たちから大きな合唱が始まる。
タタンッ タン! タタン、タタタ、タンッ!
タ~ラ~、タタン、タンッタンっ!
マリは前後左右に軽やかなフットワークを魅せる!
両手を開いてクルッと回って見せたり、上半身を反らせてからの反動でレイピアを突き出してみたり攻撃なのかフェイントなのかも掴みにくい動きだ。
見慣れない動きに対し雪舟はほぼ身体を動かさずに視線だけをマリへと注ぐ。
タンッ、タタタタタタタ、タタンッ
ヒューンッ!!
雪舟の左側面からレイピアの鋭い突き!
反応が遅れ身体を捻りレイピアをかわす。
ズンッ!
雪舟の左肩が赤く染まる。レイピアの切っ先は雪舟を捉えていたのだ。
『攻撃パターンが全く読めんな、、』
1度間合いを大きく離れマリが笑う。
『あの突きで終わらなかったのは久しぶりよ!久々に本気でやれそう!』
とても楽しそうだ!
キュッ タラララ~、タタンタンタンッ
マリのリズムが変わる。スキップを交えて踏み込んで来たり素早く左右にレイピアを持ち替えたりバトンのようにレイピアを身体に沿って回してみたり、どこから本気の突きが来るのか予想が出来ない。
シュッ!!
マリが大きく腰を落としアッパーのような下からの鋭い突き!
キンッ!ビュン!
雪舟が刀で弾く!その返しでマリを斬りにいくが既にそこには身体は無い!
ビュンッ!!!ズバッ!
雪舟の背中が斜めに鮮血するっ!
振り向くとそこには右手で抜いていたサーベルを振り落としたマリの姿が!
『やるのぉ、、片手のみでの抜刀術か、、』
『その為に刀身に反りを持たせてある』
(斬り込みがまだ浅いか、、)
『まさかサーベルまで抜かされるとは思ってなかったけどね…私の編み出した二刀術見せてあげるわ。』
マリはレイピアを前に突き出し身体を半身にし腰を下げる右足を大きく前に伸ばす。そしてサーベルを肩の後ろから振り上げサソリの尻尾のように雪舟に切っ先を向けゆらゆらと揺らし構える。
『華麗なダンスはお終いかの?見応えのあるダンスが見れなくて残念じゃわい』
『神官殿に長く見せ続けるとその内に合わせられそうでしたので、趣向を変えさせて頂きますわ!』
『秘技、銀の雨…』
マリが大きく踏み込み飛び込みながらレイピアの突きをいれる!
ザザーーーーーーーッ!!!
物凄い速さでのレイピアの乱れ撃ち!点ではなく面として向かってくる!
その無数の突きによる音が激しい雨量の夕立ちのように聞こえてくる!
ビュンッ!
キーンッ!カンカンカンカン!
ズンッズンッズンッズンッ!!
雪舟が刀でレイピアを捌こうと払うように梛ったのだがレイピアは大きくしなり刀をいなす!
そしてしなりから激しく振動しつつ刀を叩き金属音を出しながらも突進が止まらない!
そして音は肉を突く音に変わる!
雪舟の胸元一面に複数回レイピアが届き血で染まる!
『激しい鮮血!!今私にはレイピアを刀で払い落としたように見えましたがっ!?』
『マリさんのレイピアは【しなり】を特化させて作ってあるんです!弾いたつもりでもレイピアがしなり刀を受け流したまま軌道を乱さず威力も落とさずそのまま打ち込めるのです!』
『半歩下がった事で深手を避けたようですがそろそろチェックメイトなのでは?』
『そうじゃのぉ、しかしこのまま帰ったら怒られそうじゃしな。もう少し付き合って貰おうぞ』
そう言うと雪舟は身体を半身にし左足を前に置く。
切っ先を少し下げゆらゆらと揺らす。
『霞の構えじゃ』
マリは先程と同じく銀の雨を発動させる構えで応戦する。
『余興は終わり。次で決めさせていただきます!!』
構えたままお互いに切っ先を揺らす2人
『ぃやあああああああ!!!』
マリが気合と共に踏み込む!
(ここで仕留める!!)
『ぎんせ、、、』
(ダメだ!これは試合、大技は禁止、、)
マリが何かを言いかけながらサーベルを強く握るが途中でそれを止める。
『…銀の雨!』
ザザーーーー!!!!
激しい切っ先による雨が雪舟を襲う。
ダンッ!!
雪舟は右足を大きく前に出し一気に距離をつめる!腰も大きく落とした為レイピアの切っ先が雪舟の顔面を貫く!!その瞬間雪舟の顔面は残像として消えていく!
『な!?すり抜けた!?!!』
(まずいっ!!!!!!)
ガンッ!!レイピアを握る拳をガードしていた護拳を刀で叩かれる!叩かれた左手が大きく身体の外へと弾かれる!
『こっのぉ!!!!』
右手で振り上げていたサーベルを無我夢中で雪舟に向け振り落とす!
しかしレイピアを叩いた後の雪舟の刀の柄がマリの溝落に突き刺さる!!
ドスンッ!!!
『ガッ!!、、、ハッ、、』
ポタッ、ポタッ、、
マリがレイピアを落とした左手で胸を抑えながら口から出血!
静まり返る会場、、、
『し、勝者、、、、マリさんっ!!!』
ワアアアアアアア!!!!
観客から大歓声が鳴り響くっ!!!!
マリは最後まで立っていた。諦めていなかった!!
激しく吐血をし、胸を抑えながらも右手の振り落としたサーベルが雪舟の首にしっかりと添えられていた!!
雪舟の首元から血が流れて落ちる!
『いまの打撃でお主の意識を全て断ち切るはずだったんじゃが…ワシの負けじゃ!!わっはっはー!』
『…え?、、私は、、勝ったのか、、、!?』
観客席の皆が涙を流して泣いている!
とても嬉しそうにとても誇らしげに皆が泣いている!
双山村の皆も元隊員の皆も。
『マリさんっ!動かないで!!!』
気づくと原田が傍に居た。
(原田?なぜここに居る?何を言っている?)
『サーベル今外しますのでじっとしててくださいっ!』
セオリもすぐ横に居たらしい。
(サーベルを外す?…はっ!)
マリは雪舟の首を落とす寸前のフォームのままコンマ何秒かの意識を飛ばしていた。そのサーベルの刃が雪舟の首にくい込み、そこから血が流れ落ちている。
『止血準備オッケーです!慎重に外してください!』
雪舟の首元からサーベルを外した瞬間にダラダラと血が流れるのをセオリが急いで止血処置をする。
あと数ミリ深く入っていたら動脈を切り落としていた。いや、マリが無意識にサーベルの振りを止めてなかったら首を落としていたのは間違いない。
『マリさん!おめでとう!おじい様が負けるとこ初めて見たよ!!すっごいね!本当におめでとう!!』
止血作業をしつつも隣にいるマリにセオリが祝福を送る。
『えっ、、』
(何だこのくったくの無い笑顔は!?身内が殺されかけてたんだぞ?罵声を浴びせ掴み掛ってきたって不思議では無い!なんでこんなに敵の私を祝福出来るんだ!?)
『孫達の帰りを待たずに死ぬとこだったわい!!だっはっはっはっはー!!』
『おじい様!喋っちゃダメ!!』
冷静に試合を振り返りながらマリは自身の姿を見渡す。
(切り傷がひとつも無い。あれだけの剣技をもった相手から一度も切り傷を貰わないはずが無い。全てを躱すまでの技術は私には無い。これは、、)
『いや、こんな結果では、、』
ワアアアアアアア!!!!!
『マリさん最強ーーっ!!』
『チョーマイ!ビーサス!!』
『神官殿の強さもやばかった!!』
『雪舟さんの最後の動き見えなかったああ!!』
マリが勝利を断ろうと発し始めた言葉を観客席からの歓声が掻き消す。
マーリ!マーリ!雪舟!マーリ!雪舟!マーリ!
双方の観客達がマリと雪舟の名前の大合唱をしこの素晴らしい試合の余韻を喜びあっていた!
『雪舟殿、私は、、』
『マリよ、お主は強い!そして皆がマリを必要としてる!お主はこんなにも慕われ愛されておる!二度と私は独りだなんて言ってやるなよ?』
『…』
『神の啓示に従うと言っておったな?』
『?、ええ、、』
『その神の啓示をみんなに伝え、一緒に考え、一緒にどうすべきかを考えるのも悪くないはずじゃ。天狗山の南東に来い!とゆう啓示じゃったのかは知らぬが、ただそれに従うのではなく、その啓示を咀嚼した上でマリの想いを載せなければそれはただの神の奴隷じゃ。ワシも神を崇め祀りはしておるが、その神が孫を殺せと言うならワシは神を斬るぞ?わっはっはー!』
『私には軍人としての在り方が身に染みすぎてたのかも知れませんね。神の言葉も上官、将軍からの命と同じように捉え何かの思考を挟もうともせずに愚直に従う事のみを考えていた。そしてそれを私自身も部下たちにさせ続けていた?』
『あいつらのあの嬉しそうな顔を見てみい!あれは上官を見る目ではなくお主の事をアイドルのように見てる顔じゃのう!部下というか信者じゃわい!わっはっは!』
『あああ、あいどるー!?!?』
マーリ!マーリ!マーリ!マーリ!
『きゃー!こっち見てるぅ!』
『マリ様ー!結婚してくれー!』
『マリちゃん最高っー!!!』
下を向き肩をぷるぷる震わせるマリ
『お前ら、、どさくさに紛れて、、、』
ギロッ!!!鋭い視線で部下たちを睨みつける。
ワアアアアアアア!!!
『マリさん美しすぎるーっ!!』
『マリさんっ!!こっちもー!!!』
『ぐぬぬ、、、』
ブゥン!!!
レイピアを投げつけるマリ!
『うおおおお!俺のだぁ!!!』
『テメェ!離せ!バカヤロー!!!』
マリのレイピアに群がる男隊員達、、
『…。』
『お主もあれくらいとは言わんが、肩を張らずに自分らしさを出せるようになった方が良いとワシは思うぞ』
(雪舟殿は初めから私に刃を当てずに勝つ手段しか取っていなかった。私の完敗だな、、最後に私の【奥義、銀世界】が通用するか知りたかったな、、)
ステージを降りる雪舟にタツキが肩を貸す。
『負けちゃいましたね!』
嬉しそうなセオリ
『負けちゃったのぉ!わっはっは』
雪舟も嬉しそうに笑う
『彼女、最後に大技を放とうとしたのに堪えてやめてましたね』
タツキが雪舟に耳打ちする。
『気が付いたか?ルールを思い出して躊躇しおったようじゃな。まだまだ底が見えない怖い女子じゃ』
タツキに耳打ちを返しながらニヤリとする。
『もぉ、カッコつけた立ち回りしようとするからですよ~』セオリが雪舟を茶化す
『わっはっはっはー』
観客席に戻ったマリを大歓声で迎える隊員たち。
『あの爺さん、化け物でしたね』
耳元でこっそり原田が囁く
『全くだ。今のが殺し合いなら私には柄ではなく刀が身体を貫いていたよ』
『ひゃあああ、おっかねぇ、、』
『しかし、忘れていた熱い何かを思い出せたかも知れない。軍としての上杉将補では無く、心から独りのマリとして生きられるかも知れんな、』
『んじゃ、俺も楽しんできますよ!』
原田がステージへと向い歩き出す。
『原田ぁ!負けるなよー!』
マリが素っ気なくもエールを送る
『こりゃ本気でやらないとだな、ハハ』
『タツキの試合も楽しみじゃのぉ!』
『そうですね!楽しみです!』
ワクワクを隠さないセオリ
『ふぁ~あ、行ってくる』
欠伸をしながら席を立つタツキ
『壮絶な第2試合はマリさんの勝利でした~!凄すぎて解説は無理でーす!』
Boo Boo Boo!!
観客席からブーイングの嵐
『気を取り直して第3試合はタツキVS原田となりまーす!どちらも高身長細身のイケメン対決です!』
ニンマリするサナエ
『双方の武器は~タツキ君は木の棒?、原田くんは素手ですかね?』
『手持ちは何も無さそうですね!仕込み武器はあるかも知れませんがその辺も要注目です!』
皆、静かに開始の合図を待つ。
『さぁ、双方ともに準備完了の様です!!それでは第3試合、、初めっ!!』
タタタタタタッ
原田の突進、木棒を構えるタツキ
(あれ?殺気が無い、、)
違和感を感じるタツキ
すんなりとタツキの間合いに入り右手を前に出す原田
『はい、握手!』
『!?』
警戒しながらも手を握るタツキ
『ではやりましょうか!』
手を離すと共に原田の身体が飛び上がる!
ほぼゼロ距離からの前宙かかと落とし!
原田の強烈なかかと落としをタツキは左手で受け止める!
『な?片手でっ!?』
止められた右足を掴まれないよう即時にタツキの手を振り払いバク転で距離を空ける原田
『機械体操?』
『身体を動かすのが好きなだけだよ!』
側転、バク転、バク宙からの空中で身体を捻りつつ斜め上段からの高速振り落としハイキック!!
パァン!!!
右手で払いのけるタツキ
『嘘だろ!?渾身のハイキックだったんだぞ!!』
鮮やかな体術で距離を空ける原田
『さぁてどうしたもんかなぁ、、』
ジリジリと歩み寄る原田
木棒を両手で持ち直すタツキ、身体の前方でクルクル木棒を回し始める。
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン、、、フュイーーーーーン
『な、なにこれ!?』
原田が回転の速さにドン引く
『ちょ!ストップストープッ!』
突如両手をあげ試合を止める原田
『君と格闘で勝つのは無理そうだからバトルはやめよ!ゲームをしよう!』
『え?』困惑のタツキ
『参加者は演説でも立ち会いでも特技披露でも何でもいいって言ってたでしょ?立会いはやめまーす!特技披露対決って事で改めて宜しくね!タツキくんっ!』
『あいつら何してるんだ?会話してる?』
観客席からは舞台中央の2人の会話までは聞き取れない。突然戦闘をやめた2人に何事かとざわめき立つ
『村田さん、これは?』
『ここからは聞き取れませんねぇ、、何かアクシデントでもあったのかも知れませんが様子を見てみましょう!』
試合中にとんでもない物言いを始めた原田、この波乱の流れの第3試合は一体どうなってしまうのか!




