#25 予定調和
よ
『あぁああー!どーしよぉおお!!』
部屋で巫女服と新甚平を並べ長考するあち
『巫女先輩から貰った反物で出来上がったこの甚平はきっと燃えなくて不思議な力を持ってるから持ち出すのは当然として、、慣れ親しんだ私のコスチューム、、これを置いていくのも悲しい、、』
2着の服の脇で部屋を行ったり来たりし悩み歩く。
『うーん、、、』
(サプライズのお披露目予定だったけど下半分しか、、)
カアアアアア、、、
頬が真っ赤に染まっていく
(新甚平を着て、おまたせ!って会うのもシチュエーションとして間違っては無いんだけど、、じっちゃん達を振り切って村を出ていくこの状況で新しい服を着てルンルンってのもどーなのよ、、)
『うーん、、』
トントンッ
『入るわよー』
セオリが嗅ぎつけて部屋に入ってきた。
『やっぱり二人で行くことに決めたのね、心配だけど、、二人で決めた事だろうし私は応援するよっ!』
『うん、ごめんね、、ありがとう!』
また涙が零れる
『それで今は何を、、ははぁん、着てく服で悩んでるのね』
そっと笑うセオリ
『そうなの、、村を出る時に着るんならやっぱり巫女服かなぁって、正装してた方がちゃんとしてるって思って貰えるでしょ?』
『あはははは、そうねぇ!』
『やっぱり新甚平は隠し持ってて何かの機会にお披露目にしようかなぁ??』
『それはダメよ!この服はきっと燃えないだけじゃないよ!形を変えられるくらいすごい反物何だからきっとあちちゃんの事を護ってくれる力も持ってるよ!』
『うぇぇん、、どーしよう、、』
『中に着込めばいいじゃない!』
『はっ、、確かにっ!セオリ姉天才っ!!』
『普通すぐ思いつくって、あはははー』
『神楽殿も回らなきゃだしすぐ着替えるね!』
新甚平を着てから巫女服の袖を通す、袴を履いて帯を締める。
パアアアアアアン!!
『えっ!?!!』顔を見合わせる2人
あちの着た服全てが白い光となりぼわっと広がり急速に身体に集まり出す。
『うわっ!!』『すごおおおおい!!』
巫女服の袖と袴の丈が短くなり開口部はやや広めに、袴は膝上のキュロットタイプ、帯は太めでリボン縛り、髪と膝下に装飾の帯が巻かれる!
『うわっ!両方の服の私が気に入ってるとこの良いとこ取りしたみたいなデザインになってくれたよ!!』
『色も変化して完全に巫女服デザインだね!』
『神様、仏様、、ありがとうごぜえますだぁ、、』
『何そのお礼、、ぷっ、次は神楽殿でしょ?りゅと君に置いてかれても慰めてあげないわよー』
『ぷーっ!行ってくるね!あとで御社殿に集合するからお見送りに来てねっ!』
『はーい!またね!』
そう言うとあちはベッドのシーツを1枚剥ぎ取り身体に巻き付けた奇抜な格好で神楽殿を目指す!
『あ!!いけない!ぺとの事忘れてた!』
急いで家に戻る
『あら?おかえり?早かったわね!ぷっ』
顔を赤らめ下を向きながらセオリの脇を通り抜ける。
『ぺと、ちょっとだけ出掛けてきます。悪者やっつけて帰ってくるから、、元気で待っててね』
ぺとを抱きそっとキスをする。
『ワンッ』ペとは呑気に嬉しそうに尻尾を振る。
『下着の入ったタンスには鍵かけといたからね、、』
『クゥゥン、、』しょんぼりするぺと
改めて神楽殿へ!
ガラガラガラ
神楽殿に入り、神楽鈴を手に取る。
(大切な鈴だけど、かさばるからこれは置いていかないと、、)
鈴を手にし、神様に二礼
『神様、アマテラス様、巫女先輩、私はこれから旅に参ります。暫くここにも戻って来れなくなります。』
目に涙を浮かべるあち
『今まで本当にありがとうございました!!また必ずここに戻ってきます!』
神楽鈴を神棚へと飾り、一礼して神楽殿を出る。御社殿はすぐ近くだ。
『お待たせ!りゅと!』
『お、思ったよりは早かったぜ?何だその格好??ミノムシのコスプレか?』
『ふんっ!これはいーの!りゅとはまだ支度中?何か考え事でもしてた?』
『ん?ああ。そこに祀ってある天狗像見てたんだよ』
『リュトの神様だもんね!』
『それはよく分からないけど、三体がそれぞれ違うデザインでさ』
『そうだね!団扇を持っている像と横笛を吹いてる像。あとは槍?じゃなくて錫杖を構えて羽根が生えてる像だね!』
『そう。団扇、横笛、錫杖、、』
『ん?』
『団扇!横笛!錫杖!!』
『うわっ急におっきな声出さないでよー!』
閃いた顔をしてあちに顔を近づけるリュト
『3点セットだ!!!残りの1つは錫杖だったんだ!!』
『3点、、?あー!山で祖母君様が言ってたってやつね!?』
『そう!錫杖!!前に師匠が俺の能力調べる時に触ってみろって言って持ってきた宝物庫の錫杖!あれがきっとそうだ!』
宝物庫に入る2人
『どこだろう、、』
『なんか色々あって分からないねぇ、じっちゃんに聞きに行く?』
『あの状況から二人で強行して村を出るのに、錫杖どこです?はカッコ悪すぎるだろ、』
『ぶーー!!』
『んー、、』リュト
『んー、、』あち
『横笛だっ!!』シンクロ
(団扇の時に横笛を吹いたら風が吹いて教えてくれた!)
ピー、ピロロロロロ~
(お?少し上手くなってる!)
笛の音に感心するあち
宝物庫の片隅がぼんやり光る!
『りゅと!あそこ!!』
駆け寄る二人
パカッ!
前に見た古びれた錫杖では無く白地に金で装飾された綺麗な錫杖が入っていた!
『おおおおおお!』顔を見合わせる二人
錫杖を取り出し持ってみる。
『山伏修行の時に持ってた標準の錫杖より短いかも?』
『あれは大人用だったからなぁ』
『これは子供用??ぷっ』
『ぐぬぬ、、けど俺にジャストサイズだな、』
『ねぇりゅと?この錫杖変わったところにグリップ?刀の柄みたいのが上下に2つ付いてるよ?』
『確かに、上部は付いてたら嬉しいけど下部はなんの意味が、、?』
両手で左右に柄を握ってみる。
『何か大型バイク運転してるような、、』
あちにアクセルをふかすようなジェスチャーをして見せる。
カシャーーーン!!
『うわっ!!』
錫杖の上部からは七拳分のやや短めの太刀、下部からは五拳分の小太刀!!
『仕込み刀!!二刀流だっ!!』
厨二病魂に炎が着火する!
『夢の二刀流、、(プルプル、、)俺の能力は天狗絡みかも?って聞いた時にすっごく気になってたんだよ!武器は何だろうって!錫杖見た時に少し唖然としたんだよ!俺の武器属性は杖なのかなって、、刀を握れる、、幸せだ、、』
涙目のリュト
『もぅ、、嬉しいのはわかったよぉー』
ハッ、、!!
(この時、あちは気付いた!これは?この状況はニューアイテムお披露目大会なのでは??服をお披露目するのは今なのでは!?)
『ねえねえ!!りゅと!』
『ん?どしたー?』
『ふっふっふ、、、』
『なんだなんだ??』
ンバッ!!!
シーツを両手いっぱい外に広げて服を見せるあち!
『りゅと!私の見て見て~!!』
(きゃあああ!見せちゃった!どう?どうなの??)
『何してんだお主ら、、』
御社殿に入ってきた雪舟、セオリ、タツキ。
その3人が目にした光景は
『りゅと見て~!』と叫ぶあち
3人からの視点だと素足に白いシーツのみ、それを広げて仁王立ちで自身の身体を見せびらかすあちの姿が、、、
『人が心配しておったら昼間っからお前ら、、』
『ブハッ!!!違うっ!ほら見て!』
急いで振り返るあち
『ん?』『お?』新しい服に驚く男二人
『わ~!ぱちぱちぱち~!あちちゃん似合ってるよー』
改めてお披露目に祝福するセオリ
『新しい巫女服じゃん!正装の時より動きやすそうだし良いじゃん!似合ってるよ!』
(似合ってるいただきましたああああ!!)
『そか、良かった!』
興奮してる素振りを隠しつつ顔が真っ赤なあち
『うふふ、あおはるだね~』セオリが茶化す
『ゴホンッ、ま、そのあれだ。お前らのその格好を見るに行く事に決めたんじゃろ?』
『ああ!行くぜ!』『うんっ!!』
『流石にもうワシからはとやかくは言わん。じゃが、、必ず帰ってくるんじゃぞ!』
『たくさんお土産話聞かせてやるよ!』
『もちろんっっ!!』
元気よく答える二人
『ほぅ、あの時の錫杖か!融合の能力とは違ったから反応せんかっただけで、やはりりゅとが持つべき錫杖で合ってたって事じゃな!ワシの目に狂いは無かったわい!ワッハッハッハ』
『りゅと、早く帰ってきて俺と立ち合いしようぜ!試練後の力試しをしたいからな!』
『タツキ!初めての敗北楽しみにしてろよ!』
『2人とも無事に!明るく元気でね!』
『村の皆には上手く言っておく。ワシの力不足でお前ら子供に頼ってしまい申し訳ない。お主らは、ワシの、、ワシらの、、、希望じゃ、、、』
泣き出す雪舟
『もぉー、じっちゃ、、ん、やめて、よ、、』
釣られて泣き出すあち、更に釣られてセオリも
『りゅと、あち、俺が定期的に鳶を飛ばして様子を見に行く。何か用があれば足にでも手紙か何か付けといてくれ』
『りょーかい!』『うん!わかったよ!』
御社殿から先に出る二人
『改めまして、お世話になりました』『ました!』
『行ってくる!』『またね!』
二人で親指を立ててニッコリ笑う。
同じく立てて返す姉弟、その様子を見てニッコリ笑う雪舟
『あ、忘れておった』
『えぇえぇええ』一同ブーイング
『タツキ、りゅと、ワシの師匠呼びは辞めじゃ』
『え?』『え?今?』
『ワシら3人の師匠は天狗山の祖母君になった。故にワシらは兄弟弟子じゃ』
『兄弟、、ん?』目を合わせる二人
『まぁ師匠以外で好きに呼べい!では任せたぞ!』
『うぃ!』『行ってきまぁす!!』
あちの腰に手を回すリュト
『え?ちょ、、びゃああああああァァァァ、、、、』
不意に手を回されドキッとするも飛んでもない速度で走り出され、まるで無理矢理ジェットコースターに乗せられたかの様なあちの叫びが段々と遠退いていった。
『最後まで騒がしかったな』
『あいつららしいっす』
『寂しくなるね!』
暫し別れのセンチな気分に浸る三人
バタバタ、、バタバタ、バタバタバタバタ
『この音は?』『空?』『ヘリだ!!』
数ヶ月振りの軍の補給ヘリの姿が見える!
(何とも不思議なタイミングじゃわい)
村の皆も気が付き河川敷に向かい集まり出す。
『セオリとタツキは軍の皆さんと会うのは初めてになるのかの?』
『上空を飛んでくとこなら何度も。かなり前に東の集落へ降りようと試みてくれた事があったのですが東は起伏が険しく着陸出来ないだけでなく庇護効果の高さの範囲も低いみたいで上空でのホバリングも無理でしたからね』
タツキが当時を思い出し悔しそうに語った。
『何か飛び方?ううん、何でもない』
セオリが何か言いかけ言葉を飲み込んだ。
ヘリはいつもの河川敷では無く何かを確認してるかの様に上空を旋回しつつ南東部の開けた空き地へと着陸する。
無事に着陸し、ドアが開く
いつも補給活動で来てくれてた三人が降りてくる、と同時に中から沢山の隊員が、、
ざっくりで4、50人?ぞろぞろと降りてくる。明らかに周囲を警戒している様子だ。
『着陸地点周辺異常ありませんっ!』
隊員の1人が叫ぶ
ヘリからもう1人降りてくる。金髪の女性。色白で純血の日本人では無さそうだ。セオリのようなアジア系美人では無く欧州系の美人さんだ。遠目からでも存在感が他を圧倒としているし階級も高そうだ。
補給隊の女性隊員が前に出る。笹岡さんと峰岸さん、やや遅れて雪舟の3人がその女性を迎えに前に出て挨拶し握手を交わす。
『遠藤さんお久しぶりです!で、これは、、一体?』
笹岡がいつも来てくれてる3人に状況を聞く為に話しかける。
『笹岡さんお久しぶりです。今日は見ての通り補給活動ではありません。私達の部隊、全員でお伺いさせて頂きました』
いつものフレンドリーな口調では無い。奥の金髪の女性を意識してだろうか。物々しい態度にも見える。
『遠藤一佐及び補給隊、下がれ。私から説明する』
金髪の女性からの指示にて挨拶を交わした3人の隊員が後ろに下がる。
『天狗山集落の皆さん初めまして。私はこの部隊の総指揮をしている上杉摩利と申します』
(総指揮?随分と若く見えるが、、)
峰岸は上杉の挙動及び隊員の動きに目を配る。
『率直に申し上げる。神の信託に従い、今後この天狗山集落及び周辺の管理統制を我々軍の方にて取り仕切らせて頂きます!』
『な、なんだって!』思わず声を出す笹岡
『そんな、いきなり来てそう言われましても、、』
『これは私及び軍としての意向ではない。神の信託だ。それ以上でもそれ以下でもない』
その場に居合わせた村の皆が静まり返る。
隊員が1人、上杉に近付き耳打ちする。
静かに頷く上杉。
『こちらの開けたスペースに野営用の簡易住居設営をさせて頂く』
『!?』『…。』驚く笹岡。黙る峰岸
『お受けする以外無いじゃろう、笹岡くん、峰岸くん。まだ状況はよぉわからんが帰れと言って帰ってくれる訳では無さそうじゃ』
笹岡、峰岸は突然の軍の訪問や隊員の人数に圧倒され完全に飲まれきっている。
『上杉、隊長で宜しかったですかな?ちと状況展開が早すぎてワシらも困惑しておる。詳しく説明をして貰えると助かるのじゃが。神の信託?だけでは何とも』
上杉が雪舟の目から何かを感じ目の前まで近づく。
『貴方がこの管理区を治める神官か。私も話がしたいと思っていた』
1歩下がり流れを見守るセオリとタツキ
『では、宮下3等尉』
『はっ!』
『小部隊を編成し周りの安全確認、樹海への監視行動を指揮を取れ』
『はっ!』
『残りの隊員は住居及び司令部となる指揮所の設営!速やかに着手せよ!』
『はっ!!!』全員での返事
唖然とする村人たちを他所目に隊員たちがテキパキと野営用簡易住居を組み立て続ける。
この南東部は街道設営作戦決行後に新しく広がった管理区域の場所。村の皆が新たな農地転用として整備をしていた場所だった。
リュトとあちの旅立ち直後、突然の軍の来訪。
神からの信託と語る隊長の上杉
双山村はどうなってしまうのか?




