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世紀末な後始末  作者: 柊隼凌
第2章 新たな世界
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23/28

#23 帰還!おかえり

『よ、よし!セオリ姉!ハサミ、、挿れるよ?』


『う、うん!この反物であちちゃんのイメージした服を作るには長さに余裕がないから一発勝負だよ!』


『セオリ姉!!プレッシャーかけないでええええ!!』


震えながらハサミにゆっくり力を入れる。


ザ!!!


『ん?』

『ん??』


『ハサミが、、はいらない?』


『ぐぬぬぬぬぬ、、、』

ハァハァッ、、

『ぐぬぬぬ、、ダメだぁ、、何これ!?すっごく硬いぃぃ、、』


『そんなぁ、せっかくあちちゃんの気持ちもイメージも固まってたのにぃ、、』


『残念だけど、、しょうがないね、後でじっちゃんの刀で試してもらおうかな、、』


『ふえーん、、』

残念そうに反物を手に取り、あちの肩から掛けるセオリ


『ここをこう巻いてさ、ほら!この反物の色合い、あちちゃんにすっごく良く似合ってて可愛い!』


キラキラキラキラ


反物が優しく光だしあちの全身を包み込む!


パアアアアアアアアア!!


優しい光がふわっと大きくなり見る見る反物の形が変わっていく!そしてあちのイメージしたままのデザインの服に変わる!!


『うわあああああああ!!!』

『すごいっ!すごい!可愛い!!凄いー!!』


甚平をベースに袖口と裾の開口部を広くしてフリルを装い、肩は肩上げをしより可愛く、外紐は太めでリボン結び。パンツは膝上10cm!


『あちちゃんちっちゃいから良く似合うー!きゃー!』

『セオリ姉、今軽くディスった?ねぇ?んー??』

『花火大会見に来てるちっちゃい子が着てそうなやつだぁ!可愛いー!!』

『もおおおおおお、、ふんっ!』


『でも本当に可愛いよー!』

『巫女服をミニにアレンジしようかとか色々悩んだんだけどさ!スカートだと色々不便そうだったからパンツスタイルでって考えたらやっぱり甚平になったの!』


『うんうん!』


久しぶりに見るご機嫌な笑顔のあちを見てセオリは泣きそうになるのを必死で我慢した。


一方その頃、、


『よっしゃあ!りゅと!初めいっ!!』

『うすっ!』



山頂のてっぺん、人が1人立つのが精一杯の場所に鉄下駄で立つりゅと。その鉄下駄はしっかり肩幅で地面に固定されている。そして大きな凧を放り投げる!


ブワアアアア!!


山風を受け空に飛んでいく凧!

その大きな凧に繋がれてるのは太いロープだ。


どんどん足元から下に垂れ下がってたロープが引かれていく!


『そろそろじゃぞ!堪えろよっ!!』


ガッッ!!!


両腕にどっしりとした凧が受けている風圧!そのまま持ってかれそうになる身体を鉄下駄の結衣に通した親指と人差し指のみで支える!!


グオオオオオオオ、、、、


ブワッ!!ビンッッッッ!!!!ギュッ!!

『ヴォエェエエ!!!』


りゅとの身体が宙を舞った瞬間!腰に縛っていた命綱が引き止める!腹に巻いた命綱が恐ろしい力で腹を締め付ける!!


『からだ、、が、、、ちぎ、れ、、』


仕方無く凧を離す。


グインッ!


手から離れた凧のロープの根元は地面に括り付けてあって何処かに飛んでいってしまう心配はなくされていた。


そして今一度鉄下駄の結衣に足の指を通し凧についたロープを手繰り寄せる。


ブワッ!グンッッッッ!!

『ヴォエエエエエ、、、、』


すぐ足の指が力負けして宙に舞い腹を絞め潰される。


『まずはしっかり凧上げ出来るようにな、んじゃぁの』

老婆が消える。


改めて鉄下駄を履こうとして気づく、指が取れてる、、


バシャンっ!!


りゅとに水が浴びせ掛けられる!

りゅとの傍らには1匹のカエルが洗面器を持って待機してくれていた。


滝から汲んだ治癒の水である。鉄下駄修行の後半は棒の両端にバケツをつけ水を汲み運ばせられていたのだ。


治癒の水で疲労や内蔵へのダメージ、足の指も復活はする。しかしその精神的恐怖は計り知れない。


りゅとの叫び声はそれから三日三晩絶えることは無かった。


開始から1週間、鉄下駄を履いたまま30分持つようになる。

1ヶ月後、3時間耐える。

3ヶ月後、命綱を外す。

半年後、鉄下駄の固定を外し、山頂付近を散歩する。

8ヶ月後、団扇で凧にかかる風圧を増やす。片手持ち。

1年後、団扇の風のコントロールを身につけ前後左右に凧を自在に操れるようになる。

1年3ヶ月後、凧に追加でつけた釣り針で飛んでる山鳥をひっかけ釣り出来るようになる。

1年半年後、西の海の沿岸まで凧を飛ばし魚を釣れるようになる。


『ようやく全部マスターしたな。よぉやった』

『うすっ!』


『背も大分、、いやちょろっと伸びおった』

『ホントですか?自分ではわかんないですね、』


『では、小屋に戻り、、の前にタツキも起こして連れてきちょくれ』

(タツキもまだやってたのか、呼べと言う事は落第か、、?)

『行ってきます!』


ものの1分後


『戻りましたー!』

『ふぁああああ、、眠い、、』


『2人ともご苦労じゃったの、晴れて2人とも修了じゃ。ご苦労さん。ではまたの!』


『え?』

『ん?終わり、、??』


『終わりじゃ、早よ山降りりゃあ』


『婆ちゃん俺たちの修了証明は??師匠に刀あげたりしてたやつ!』


『んにゃもん、お主らにはねぇ』


『ま、まじですか?』

『修了証明、、?』


『しいて言うならタツキは白い棒持ってたじゃろ。東の石碑横の土ん中潜っとるから拾っとき』


『婆ちゃん俺は?』

『お前は団扇も横笛ももっとろぉに!欲張りなやっちゃなぁ、、、お前にはヒントだけくれてやる』


『え?ヒント??クイズなの??』


『お前の持っとる団扇、横笛は3点セットの内の2つじゃ、寂しがっとるみたいだから、はよぉ見つけちゃり』

『3点セット!?!!』


『ではまたの!』


老婆は姿を消した。タツキと目を見合わせながら暫くポケーっとする。


『タツキ、どーだった?』

『ん?ずっと寝てた!』

『マジか、、天国と地獄だな、、』

『りゅと少し背ぇ縮んだな、?』

『違う、、タツキの背が伸びてんだよっ!!』


タツキ推定 190cm

リュト推定 160cm

2人とも背よりも髪が伸びボッサボサである。



『さてと、みんなが待ってる!帰ろうぜ!タツキは龍神様のとこ寄ってこいよー!またあとでな!』

『すぐ戻るさ!またな!』


そして時は戻り、、


『りゅととたっちゃんが帰ってきて3人揃ってからお披露目しようかな!』


あちはそう言って新甚平を脱ぎ出す。


『たっだいまぁー!』

ドタドタドタ、ガタンッ!


『よっ!』


あちの目の前には髪の毛ボッサボサの知らない男の子。

りゅとの目の前には半裸のあちと口を開けてるセオリ


『きゃああああああああ!!!!!!』

バッッッチィィィーーーーン!!!


フルスイングのビンタがクリーンヒットする!!!

どちらの理由か不明だが鼻血を吹くリュト!


『な、な、ななな、なんなのこいつ!!!』


『あ、あちちゃ!!その人、、、、』


『あち、、、セオ姉、ただい、、ま、、』


『!?!!』

思わずハッとし目を見開くあち!

優しい表情で涙ぐむセオリ


『りゅと!おかえりーーー!!!』

思わずハグするあち。

『あちちゃんっ、、!!服、服っ!!』


『ひゃっ、、、』

ペチンッッ!!!


『嘘だ、ろ、、、カハっ、、』

帰宅早々に頬を腫らすリュト。



3人でテーブルにつく。

まだまだ顔の赤いあち

別の意味で頬が赤いりゅと

久しぶりに並んだ2人を見てニコニコのセオリ


『たっちゃん遅いねぇ?東の石碑のとこだよね?待ってる間暇だしさっき使わなかったハサミもあるから髪切ってあげるよ!外出て!』

了承の選択権も無く家から出される。


チョキン、チョキン


『なんか不思議続きで何となくは理解しちゃってるけどさぁ、この数日で何でこんなに髪の毛伸びるかなぁ、、』


『は?数日!?』


『あ、この流れ来た。セオリ姉!パスパス!』


あちはカットに集中し、セオリに説明を任せた。


『時間の経過が違うってことかぁ、、俺、体感ではもう訳分からないくらい山に居たよ!』


『そうね、この髪の毛見たら分かるわよ、、』

『途中で何度も切ったんだぜ?これでも』

『うわぁぁ、想像もしたくない、、』

『はい、おしまい!髪の毛払うから立って!』


りゅとと向かい合わせになるあち


『え?あ、そうか、背も伸びてる、、』

『確かにそうかも、あちと向かい合うと実感湧くよ』


隣でニタニタ笑うセオリ

『なぁんでかなぁ?何で向かう合うとわかるのかなぁ?お姉さん不思議だなぁ、、??』


顔を真っ赤にする2人


『知りません!』

『知らないもんっ!ふんっ!』


『はいはい、ひゅーひゅー』


『むぅぅぅ!!』(シンクロする2人)


『ねぇりゅとぉ、たっちゃん遅くない?』

『東の集落でタツキに何かあったのかも!』

『!!、俺!ちょっと見てくるよ!』


顔色の変わる3人!

りゅとが東の集落跡地へ向け身体を翻す!


『ただいまぁ~』

気の抜けた声て挨拶するタツキ


ドゴオオオオオオンンン!!バキッ!ゴトンッ!

バタッ、、


風呂場を全壊させるリュト

あちゃーって顔で目に手を当てるあち

タツキだと思われるボーボー頭を見ながら涙目になるセオリ


『たっちゃんおかえりっ!』『タツキ!おかえり!』

みっともない体勢のままで手を振るリュト


『ドえらい派手な演出の歓迎ありがとうっ!』

『くっっ、、』

『あはははははは!!』

爆笑するあちセオリ


セオリがタツキの髪の毛を切りながら話を聞く


『タツキぃ、遅かったじゃん?何でそんな濡れてるんだ?』

リュトが問いかける。


『温泉入ってた』


『温泉っ!?!!』驚く3人


『温泉ってどこにあんだよっ!!』

『石碑のすぐ隣、なんか湯が出てたからついでに掘って広げて作ってきたよ』


『掘ってきたああ??』


『お前、龍神様の薙刀をスコップのように、、』

『そんな事しない、素手だ』


『素手!!!!』口あんぐりの3人


『温泉だって!セオリ姉!』

『あちちゃん!温泉!!』


『囲いは作ってないよー』

『むぅ、、、』あち

『残念、、、』セオリ


『村の皆にも教えて今度ちゃんとした温泉施設に作って貰うしかないな!』


『温泉を作ろー!』『おー!』女性陣


『じっちゃんももう村に戻ってるんだろ?』

『うん、ちょっと前に帰ってきてる!今は集会所だけどそろそろ戻ると思うよ?』


『姉さん少し太った?』

ゴンッ(ゲンコツ)

『変わりませんっ!!』


『それよりタツキ、、背、、』

『ほんとだ!たっちゃんおっきぃー!』

『そうかなぁ?』

『そうだよっ!』妬みのリュト


『ねぇねぇ、あちちゃん』

あちの袖を引くセオリ

『ん?なぁに?』

『なんか、さ、2人ともやけに大人っぽく見えるのって私の気のせい??』

『え?うーん、、』

学者のような目でリュトとタツキを見渡すあち


『確かに、、たっちゃんは顔つきが大人っぽく変わってる。りゅとは、、あんまり、、』苦笑いするあち


『あら、そうね、確かにりゅと君は変わってないかも』軽く吹き出すセオリ


『ふんっ』嫉みのリュト


『お!帰ってきたか!2人とも!』

『師匠!!』

『じっちゃん!』『おじい様お帰りなさい!』


ようやく5人が揃うも、やや晴れない表情の雪舟


『とりあえず中で話そうかの』

地面に散らばってる髪の毛を横目に家に入っていく


ササッとホウキで軽く髪の毛をかき集め、全員で家に入る。


あちとセオリがお茶を用意し、全員席に着く。


『さっきまで集会をしていての、今後の村の方針について色々話をしてきたんじゃ』


『何か新しい議題?それとも問題?』あちが不安そうに聞く


『2人にはまた後で詳しく話すが、ワシが帰って早々に蜘蛛女と戦闘しての。勿論倒したのじゃが、皆がそれからずっと怯えておってのぉ。当然それは元からそうなのじゃが、皆声に出しては言ってはおらなかったのじゃがな。とうとう我慢の限界と言うか、精神的な疲労の限界に近づいておる』


『、、、。』悲しそうなあち


『どこの誰か、何処から来てるのかとか何か情報は?』

あちを気にしながら質問するリュト



『西から、西の集落を、襲っとったとあちが蜘蛛女から話を聞けてな』

『なら、俺が行ってくるよ!』

『!?』驚くあちとセオリ


『まぁ待てりゅと。行けばいい、倒せばいいとかの簡単な話では無い。敵が何人おるのかも不明。敵が複数のグループで居るかもわからん。こっちから侵攻してる間にこの村を狙う可能性もある』


『だから俺が独りで行くんだよ。じっちゃんとタツキが残れば問題無いじゃん!』


『ワシとタツキがおったとしてもな敵の人数や襲撃手段によっては守れる物も守りきれん』


『ちっ、、』


『師匠、何か策でも?りゅとは少し落ち着け』

タツキが窘める


『いや、相手がわからぬ以上、策を練りようが、、と言い続けて今の状況となってしまっとるんじゃがな』


『なら、俺がやる』珍しくタツキが声を上げる。


『りゅとであれタツキであれ変わらんじゃろ』


『いや、俺も村に残る。俺は山の試練で動物たちと会話ができるようになった。西の樹海の動物たちから情報を集め、探ってもらう』


『!?!!』一同驚愕


『驚くことって、、慣れないよね?』苦笑いのあち

『タツキ!助かる!宜しく頼む!』

『早速行ってくる。りゅとは来るなよ。動物達が怯えるからな』

『俺ってそんななん??なぁあち?ねぇセオ姉ぇ?ねぇ師匠??』


『うん』あち

『え、まぁ、かな?』セオリ

『やれやれじゃわい』雪舟


『仕方ないよりゅと、君には風呂場の片付け&リフォームのお仕事を授けよう!!りゅと!温泉のお湯引いといてねぇ~』


『んな事出来るかあああああ!!!』


タツキは家を出てクスッとひと笑いし南西の麦畑へと向かっていった。


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