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世紀末な後始末  作者: 柊隼凌
第1章 赤の巫女
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#2、転生

天界がバタバタしだすほんの数日前

ここは俺の住む国、日本

俺は普通のサラリーマン。あと数年したらいよいよ俺も30代、、お兄さんって呼称は通用しなくなるお年頃かぁ。根っからのコミュ障で交友関係ほぼゼロ。けど幼い頃から割と器用で勉強もスポーツもそつなくこなし、会話そのものは苦手ではあるが突発的な対応の際は何故か頭が冴えて立ち回り事態は下手ではなくむしろ得意。人と触れ合うよりも機械を触ってるほうが気が楽だって理由だけで整備士になったものの、機転の早さを上司に買われ、フロント業務から営業部に回され、口下手なのが幸をそうしたのか営業してこない営業マンとして不思議と成績は伸び。去年はトップの成績でフィナーレ。営業とはいえ飛込みの類では無いので仕事中は割と暇。

自然とスマホに手が伸び閲覧開始。


えーと、何何、芸能人に不倫にカップラーメン新発売、戦争で8名死傷、VTuberまたまた炎上、首都高速で玉突き事故、7名死傷と、、


芸能ネタ、エンタメ情報に混じって事故や戦争のNEWSも目につく。以前より少し疑問だったんだけど漫画や映画で知ってた戦争ってのは数万人単位が撃ち合ったり空襲でミサイルばらまいたり、数百、数千の犠牲が出てもっと大騒ぎになる話かと思っていたのに。近年の科学進歩によって広範囲戦闘ではなく重要施設、軍事施設を狙ったピンポイント攻撃ってやつ?何より身近で起きてるわけではないから正直絵空事だ。


(ん、、痒っ!)パチンッ!

蚊に刺されたぁ、夏の外出時はほんっと蚊に刺される。お前らの吸いたい分の血液なんてくれてやるから頼むから痒みを寄越してくんなよなぁ、、

さて、そろそろいい時間か、帰社してさっさと家に帰るか。30分ほど車を走らせ会社に戻った。


『天野です。戻りましたぁ』

ん?なんか少しザワついてる?


『どうしたんですか?何かあったんですか?』

『あぁ天野、お疲れ様。さっきNEWS速報が流れてさぁ、、〇〇国がとうとう核ミサイル、、撃っちゃったらしいんだよ。。』

『え?マジですか?やばいっすねそれは、、』

『まぁうちは戦争には平和維持活動や後方支援でしか関わってもいないし直接どうこうは無いはずだけど、、また物価があがったり原材料調達困難等で業績また下がるだろうなぁ、、』


あぁ、今年の冬のボーナスもこれは期待出来ないなぁ。肩を落としながら帰宅し、コンビニでゲットした新発売のカップラーメンを啜りながら片手スマホで記事の閲覧。一人暮らしの寂しさなのか見もしないテレビをつけて聞き流しのBGM代わりにするのが俺の日常だ。


〇〇国の使用した核ミサイルによって×△国に甚大に被害が出てる模様、、

流石に暫くはこの話題で持ち切りか、、それによる政府の動きとか物価、日本への影響の話はまだ何も、、


ピローン、ピローン、緊急速報です。

「被害を受けた×△国を含む、連合国数国から〇〇国に対して複数のミサイルが飛ばされた模様、当局の集めた情報によりますと使用されたミサイルの大半が核を搭載したものと思われます」


え?さすがにそれはヤバすぎないか!?

ピローン、ピローン、緊急速報です。

「隣国から日本に向けた複数のミサイルの発射を確認、国民は直ちに安全確保をっ!」

(!?!??????!!!)

え?何が起こってる、、ミサイルが日本に?いつもの被害はありませんでしたってやつになるわけじゃなくて?


緊急速報!緊急速報!

東京を含む国内数箇所にミサイル着弾、ミサイル着弾!


その放送が流れた直後に灯りが消え当然テレビも切れた。(停電!?)まじ、、かよ、、俺は急いでスマホに目をやる。画面中央にはぐるぐるマーク、読み込みできません。窓から外を見ると真っ暗闇だ。街全体が停電してるらしい。突然の事態で一切の情報を遮断され、近隣の何人かは路上に出て立ち話をしていたり、暗くて泣き出した子供の泣き声なんかも聞こえてきたりしていた。


ただ、安全確保と言われても近所の学校の校庭に集まればいいのかとかミサイルが落ちてきたとしてもどう防げばいいのかとか、主要都市では無い俺の街にはさすがに落ちてこないんじゃないかとか、色々考えつつも部屋に残り、どこか他人事のような気持ちも抜けずいつの間にか俺は眠ってしまっていた。


数時間経っただろうか、尿意を覚え静かに目を開ける。ん?ちょっと薄ら明るい?停電復旧したのかな?まだ少し寝ぼけたまま立ち上がる。(トイレトイレ、、)

『っわぁ!』思わず声が出る。トイレに向かおうと1歩足を出したら何かにぶつかった。ぶつかった何かが人である事はすぐ判断できた。

『え、、ちょっ、、誰?』何とか声を出しながら周囲の状況に思わず絶句する。ここ、俺の部屋じゃない。。

人も目の前の1人だけでは無い、行列??俺を挟んで前にも後ろにもたくさんの人が並んで立っている。誰も言葉を発していない。無言で生気の抜けたような表情のたくさんの人がうっすらモヤのかかっただだっ広い世界で列を作っていて並んでいる。。


(ななな、、なにこれ?どーいうこと!?)

今気づいたが俺が叫んだと思っていた声も音になってない。喋る感覚はある。けど声が出ていない。多分、恐らく口も動いていない。皆と同じように俺もただ列に並んでいるその中の1人に過ぎなかったのだ。

列は微塵も動かない。直線ではなくうねうねと並んでいた事でその列に並ぶ人種が海外の人だらけなのはすぐ気づけた。日本人?アジア人は少し少なめか。


寝る前の記憶は残っていた。そうだ戦争でミサイルが飛んでくる速報を見ていて、その後停電になって、、


俺はその時理解した。これってもしかして死後の世界では?明らかに住んでた世界とは景色や雰囲気が異なるし、身体も中に出来ないし、ましてや並んでる人々に一切生気を感じられない。俺の身体には特に痛みや不快感は無い。さっき寝惚けて起きたつもりになってたけど、あれは脳内で思ってただけで、恐らく俺は起きる前からここに並んでいたのだろう。


(あぁ、これが死ってやつか、、死因は何だったんだろう。ババ引いて低確率の着弾食らったんかな、、痛みや苦しさ感じず死ねたのなら不幸中の幸いって事になるのかな、、今頃、俺もNEWSに、、いやあの感じじゃまだまだ通信不能で国中の大騒ぎになってるのかも、、)


1歩も列が前進する気配を見せないまま、無駄に俺は色々思考していた。


チリーン

(ん?ベルの音!?)うまく説明出来ないけど、この付近で鳴った音じゃない。耳から聴こえたのでは無く、俺の頭の中、脳に直接響いてきた。周りの列の人達は微動だにしていない、今のベルの音は俺にしか聞こえて無かったのか、、不思議と誰かに呼ばれたような錯覚を覚える。ベルの音が聞こえてから数分経っただろうか、俺は意識を失っていた。


(、、う、、、うーん、、、)

俺は寝てるのか、、寝そべっている床が硬い。なにか懐かしさを覚えるような肌触り。自分の部屋とは違う感覚。まだ意識が朦朧としている。毎日の職場の風景、戦争の話、緊急速報、、停電、、、不思議な世界、列、ベルの音、、、

(はっ!)無理にでも目を開け状態を起こし周りの状況確認を急ぐ俺。さっき見ていた人の列は何処にもない。ここは、、薄暗いが恐らく家屋の中?足元の床は畳?硬さからすると御座だろうか。広さは感じない、、窓は無さそうだ。引き戸だろうか?あそこから出入りはできそうだ。天井に明かりのような物はついてない。壁際に2つの大きな瓶がありその並びの壁には何かが吊されて見える。

あいたたたた、、身体が痛い。この硬い床のせいだな。肩を回したり足を軽く揉んだりしつつ、瓶のそばに身体を運ぶ。この吊るされてるのは、、魚、?干してあるのか、、瓶は、、大きいから瓶ではなく水瓶(ミズカメ)と言うのかな?1つ目の水瓶を覗き込む。これは、、何やら小さめの、木の実、?ほんのりそれっぽさを感じるような匂いもする。さすがに口にするのは怖い。もう1つの水瓶は、、暗くて良く見えない。恐る恐る手を伸ばすと、、水?中は液体で満たされていた。ひんやりして少し冷たい。刺激は感じない。匂いは、、無臭かな。四方の壁が割と近い、天井も高くは無い。材質はほぼ木材のみのように思える。停電からの奇妙な人の列のシーンから知らない家屋の中の俺。


完全に思考停止だ。え、、っと、何が起きてる?ここはどこ?私は、、良くあるセリフを吐きそうになりつつ、自身の両手足の違和感に気づく。ん?身体が小さくなってる!?半袖半パンの衣服。Tシャツなどでは無く夏に着る甚平のようなデザイン、ただの切れ端のような布地だが。そこから出てる自分の手足が明らかに子供のそれである。


(ふぅ、、)ため息のような息を吐く。とりあえず頭は変に落ち着いている。パニックは起こしていない。ただ状況整理が出来ない。色々ありすぎだ。変に身体も疲れている。落ちついてなんかられないはずなのに、、眠気が、、寝よう。寝てしまおう。。現実から逃げるように俺は硬い御座に頬をつけ、そのまま静かに眠りについた。


チュンチュン、チュンチュン


(ん?鳥?鳴き声?朝、、かな?)

今まぶたを開ければ元の世界、、という希望を持ちたかったのだが床が硬い。目を瞑ったままでもわかる。ここは俺の知らない場所のままだ。諦めて目を開ける。窓が無いせいでまだ暗い。外から鳥の鳴き声は聞こえてくる。寝返りをうつように少し身体を動かせば引き戸に手が届いた。ギギギギ、、光が差し込んでくる。明るくなった部屋を見渡したところ、山小屋?のような雰囲気を感じた。干し魚も傷んでも無さそうな食べ頃さに見える。水瓶から水を少し掬い、顔を洗う。光の指した水瓶の中の水の表面にうっすら俺が映る。真っ先に目に飛び込んだのは、、白髪だ、、俺の頭部は真白くなっていた。眉毛が隠れる程度の前髪、横は耳にかかり後ろは、握れば掴める程度の長さ。手足はやはり子供のそれだ。


暫しの沈黙、ふと俺は好奇心を抱く。ズボンの中身は、、「毛が生えて無いっ!!?つるつるだ!ちっちゃ!!!」まさに子供だった、、


可愛くなった俺の俺を見て少し緊張が緩んできた。

グーッ

腹がなった。確かにお腹がすいていた。新発売のカップラーメンまだ途中だったんだよなぁ。恐る恐る干し魚に手を伸ばす。クンクンクン、、腐ってはない、よな?

パクっ、味は悪くない。いける!干し魚は全部で5匹吊るされていた。その内の1匹を食べ終えた俺は、恐る恐る木の実を口に入れてみた。あ、美味しいかも?ナッツと言うよりは干しぶどう?果実の甘味を感じる。

ただ知らない食べ物は率先して口に運びたくは無かった。毒みたいなのは無さそうって言うのといざとなれば非常食代わりになるだろうと。やや冷静に自分に言い聞かせた。


小屋の外に出てみると1面雑木林。右も左も変わらない景色。近場しか見えないので山とかは確認出来ない。ただ人が列をなしていたあの異空間とは違い、俺が住んでいた世界の田舎の景色?に少し安心していた。


目まぐるしいこの展開に普通はもっと慌てたり戸惑ったり怖がったりするのだろうか?俺は冷静だった。そう、俺は根っからの厨二病!推測はすでにしていた。これはあれだ!異世界転生ってやつだ!小屋の中央に座り込んだ俺は恥ずかしげもなく試みる。

『開け!コマンド!ステータスオープン!』

(…。)何にも出てこない。小屋の外に出る。右手を前方に突き出し拳を握り力を込める。

『焼き尽くせ!ファイヤー!!』何も出ない。

『全てを凍らせよ!ブリザード!』冷や汗は出た。

右手を天に向け叫ぶ

『古のドラゴンよ!降臨せよ!!』指先にトンボが止まった。。


『くっ、、』憧れていた異世界転生、子供になってるし!髪が白いし!何か特別な能力(チカラ)授かってるはずだよね??スライムは?魔物は?小屋の外に出たら弱いモンスターとエンカウントしてそれを倒してレベルアップ!とか、、イベント発生!!


何も無い。なぁんも無い。


『おーーーい!!誰かいませんかー!!!!助けてくれー!!!!誰かあああああああ!!!』


当然何も反応はない。むなしい。せつない。する事ない。寝よう。引きこもろう。


転生したら引きこもりになった。

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