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一人暮らしにつきものの憑き物  作者: ぴよ
第三部 友人宅と憑き物

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いるということ、いなくてもわかること

平日の朝


佐伯のスマホから目覚ましのアラーム音が響く。


座敷童子

「毎朝毎朝!本当に手がかかるのよ!」


家鳴

「いっそ、ベッド揺らす?」

「やりすぎじゃない?」

「でも、起こさないと」


目目連

「天気は快晴、通勤ルートの電車に遅延もありません」


やっと、むにゃむにゃ言いつつ起き上がる佐伯。


すねこすり

「急いで支度しないと、遅れちゃうよ」


ーー


同じ頃、水上は朝食を終えて身支度を整えている。

出かける直前、こけしを手に取って頭を撫でる。


「行って来ますね」


なんとなく習慣になってしまった、朝の挨拶。


ーー


「先輩、おはようございます」

「早苗ちゃんおはよー!」


職場で二人は挨拶を交わす。

最近人望を集めている部長の指示のもと、今日も仕事をこなす。


昼休みには二人でお弁当を食べる。


「先輩のお弁当、品数豊富でいいですね」

「冷蔵庫の作り置きをいっぱい詰めてきたんだー!早苗ちゃんのお弁当もきれいだね!栄養バランス良さそう!」


他愛もない話しをしながら、二人は週末の相談に移る。


「イベント終わりも近いし、ちょっと集中してゲームすすめたいよね!」

「ですね。じゃあ、今週末は私の部屋に集合でいいですか?お昼は用意しておきますから」


ーー


話しは決まったらしい。

二人なのに"集合"なのはご愛嬌。


佐伯の部屋で週末の予定を知った怪異達も盛り上がる。


座敷童子

(お昼は用意してくれるって?手伝いはいらないかしら?)


家鳴

(イベント!)

(走り切る!)

(次は僕の番!)


白沢

(楽しみですね)


すねこすり

(えっと……あいつは元気になったかな?)


目目連

(……今のところ、変わりはないようです)


座敷童子

(……とにかく!週末はお出かけなのよ!早苗を脅かさないように気をつけて、楽しくお邪魔するのよ!)


ーー


その週末


「いらっしゃい、先輩」


迎えられた一同は、水上の部屋で思い思いに過ごす。


座敷童子は片付いた部屋とキッチンに感心しきり。


家鳴と目目連はゲームに夢中。


すねこすりは、サイドボードでこけしの隣りに丸まっていた。


部屋を見渡し、白沢は目を細める。

(快適な部屋ですね)


座敷童子が顔を上げた。

(そうね、きっと、得難いことなのよ)


佐伯と水上も、楽しげに休日を過ごしている。

この部屋には、今いるもの達、そしてかつていたものの気配が溶けて混ざっている。


白沢は、小さな影が言っていた言葉を思い出していた。

(アンシン、でしたね。)


まったく、見事な結果ではないか。


しばらくして、ふと佐伯が部屋を見回し、笑みを浮かべたままほぅっと息をつく。


「ここさ、いい部屋だね、早苗ちゃん!」

「……?……はい、ありがとうございます。いつでも遊びに来て下さいね」


こたえたあと、水上も部屋を見回した。

その顔は、柔らかな安心感につつまれていた。


二人と、そして憑き物たちの声が部屋を満たす。

そして、その中に……

どこからかきこえる微かな笑い声が混ざっていた。


ーー


一人暮らしに憑き物は付き物

いても、いなくても……いなくなっても


どちらにしても、この部屋はもう大丈夫。

これからも、きっと暖かい。


それでも、また、次の騒動が起きたら?

また、何かがやってきたら?


それはそれ

そのときは、皆様、またお付き合いのほどを。

皆様、第三部はこれにて終了となります。


こけしと憑き物たち、そして水上との出会いと別れを描いた、少し重たいテーマのお話でしたが、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


次回からは心機一転、少し明るめの日常のお話をお届けする予定です。


引き続き第四部も、ぜひお付き合いいただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

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