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一人暮らしにつきものの憑き物  作者: ぴよ
第三部 友人宅と憑き物

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27/31

友人宅へ遊びに行こう

第三部スタートいたします。

また、しばらくの間、よろしくお願いいたします。

水上の引越しが終わり、しばらくしてからの週末。


「やっと部屋も整って来たので、是非一度遊びに来て下さい」

と、佐伯は水上からお誘いをいただいた。


「お昼は早苗ちゃんがつくってくれるらしいから、デザートを買って行こう!引越し祝いも持ったし!準備万端!」


(一緒に行く!)

すねこすりが声をあげた。


ぴしぴしと梁が鳴る

(ズルいぞ!)

(僕も行きたい!)

(行きたい!)


(あんた達は建物付属!諦めなさい!)

座敷童子の一言に意気消沈の家鳴たち。


とはいえ、座敷童子もそわそわ。目目連は瞬きを繰り返す。


(ちょっとすねこすり、ちゃんと早苗の部屋を見てくるのよ)


(わたくし、用がなければ水上様のお宅を覗くわけにはまいりません。よろしくお願いします)


短い間とはいえ一緒に暮らした仲。今も早苗のことが気になって仕方ない一同であった。


ーー


買い込んだケーキを提げて、佐伯はマンションの入り口に立っていた。教えられていた部屋番号をオートロックに入力。

「先輩待ってましたよ。どうぞ」

すぐに声が返ってきた。


無事にエントランスを通過。部屋の前まで行くと、既に水上は扉の前で待っていた。

「いらっしゃい先輩、どうぞ中へ」

大歓迎である。


部屋の中を一通り案内してもらい、そのあとリビングでソファに席を勧められる。

(いいお部屋だねー)

すねこすりも勝手にルームツアー。


「今日はお越しいただきまして」

「いえいえお招きいただきまして」

冗談混じりに挨拶をしたら、あとはもういつも通り。水上手作りの昼食をいただきながら話しは尽きない。

次から次へとおしゃべりに花を咲かせ、ケーキを食べながらお茶を飲む。ただ、佐伯はどこか落ち着かない気もしていた。


ーー


「早苗ちゃんの部屋って、なんかとっても静かだよね」


水上は一瞬目を丸くしてから、穏やかに笑う。


「確かに、先輩の部屋よりは静かかもしれませんね。私、先輩のあの部屋大好きです」


「わたし、落ち着いててこの部屋も好きだなぁ。でも早苗ちゃん、寂しくなったらいつでもうちに遊びに来てね。とりあえず、話し相手にこの子を置いてくね。」


佐伯は引越し祝いにと持って来た河童のこけしを取り出した。


「あ、これ」


「そう!一緒に行った温泉で買った子だよ!あの旅行とか、うちの部屋とかを思い出してね!」


「ありがとうございます。大事にしますね」


ーー


それからも二人の話しは続く。会社のこと、近所のお得なスーパーについて。楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていく。

最後はちょっとしたサプライズ。今後はオンラインでも一緒にゲームをしたいと水上が購入したゲーム機を見て、佐伯は大喜び。設定諸々は追々と約束し佐伯は帰宅した。


ーー


佐伯が帰った後、余計に静かに感じる部屋で、水上は何故か託された温泉土産の河童のこけしを眺めていた。


思い出というには近すぎる、忘れられない日々。

思いがけなくも、先輩の部屋に転がり込んだ。

最初は怯えて、それから泣いたり、笑ったり。

そんな目まぐるしい、愛しい日々。


「確かに、この部屋は静かだね」


部屋を見まわしてからあらためてこけしを手に取る。


「これから、よろしくね」


こけしにそう言葉をかけて、タオルを載せた頭をひとなでしてからサイドボードへ置いた。


水上はそのまま寝室へ向かう。

こけしは、その背中をじっと見つめていた。

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