二人暮らしとお役立ち対決
この部屋に来て、私は色々と怖い目にあってきた。
不思議なことに佐伯先輩は知らないようだけれど、この部屋にはナニかがいる。
今でも、ふとした瞬間にはビクッとしてしまう。怖いものは怖い。
でも、なんだか暖かいこの部屋で、私はナニかたちとの付き合い方を少しだけ知った。
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(早苗ちゃん、ようやくこの部屋に馴染んできたのよ)
(良いことです。短時間であれば、私もお邪魔できるようになりますかね)
(別にお邪魔しなくていいのよ)
日中、二人の不在時に座敷童子と白沢が会話をしていた。佐伯と、お客様の早苗ちゃん、二人のことなら話しはつきない。
(そういえば、先日こんなことがありまして……)
(まったく、いつの世も男は狼なのよ!あら、送り狼に失礼だったかしら?)
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そんな会話を聞いていた影が二つ。白沢とすねこすりの活躍を聞いていたく嫉妬していた。
天井に目が開く。
(わたくし、最近目立った活躍をしていない気がします。これは憂慮すべき事態です)
ピシピシと梁が鳴る。
(野良に負けてられるか!)
(お手伝いする!)
(お役立ち!)
何やら張り切る目目連と家鳴。
部屋の隅に集まってこそこそと相談を始めた。
目目連
(佐伯様は……ヒソヒソ)
家鳴
(いつものことだから……ゴニョゴニョ)
(早苗ちゃんに……ボソボソ)
(お手伝いして……コショコショ)
目目連・家鳴
(本当にお役に立てるのは……)
(誰なのか……)
((対決だ!))
ろくでもない事態が立ち上がったようである。
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朝、水上の枕元でスマホのアラームが鳴る。昨晩設定した時間より10分早い。
元々寝起きの良い水上である。予定より早い時間に起こされなくとも問題はないのだが、
「あー、仕方ない、起きますか」
(早起き成功!一歩リード!)
梁が嬉し気に鳴った。
少し早いが布団を片付けて洗面台で顔を洗う。リビングに戻ると、点けた覚えのないTVが朝の情報番組を流している。
「ふぁ~、早苗ちゃんおはよー」
眠そうな目をこすりながら佐伯が寝室から出てくる。
「すみません!起こしちゃいましたか?」
「ん〜ん。あ、占いコーナーだ!やった!早苗ちゃん今日ラッキーデーだって!」
(占いもTVも情報の集積。水上様に最適な番組を選択済みです。これぞお役立ち!)
目目連が得意気に瞬く。
以前ならこのあたりでビクビクしはじめていた水上も今は慣れたもの。生活リズムは若干狂ってしまったが、少し困った顔をしつつも、その後はいつも通りの朝を過ごして佐伯とともに出勤して行った。
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どうやら、家鳴と目目連は水上をターゲットにしたようだ。
それからも、水上が移動するのにあわせて照明がついたり消えたり、
(水上様専用、目目連式人感センサーです)
マナーモードにしたはずのスマホが、通知を受信するたびに結構な音量で鳴り出したり、
(お知らせ!確実にお届け!)
実に微妙、かつ慣れないと不気味な出来事が重なっていく。
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気づけばそんな日が数日続いていた。
いまのところ水上は、違和感を飲み込んでくれている。だが、度々起きる小さなアクシデントの積み重なりに少々疲れ気味のように見える。
(ちょっと!なんだか知らないけどやり過ぎなのよ!)
しかし座敷童子の苦言も耳に入らない。
(わたくし、耳はありません)
(役に立ってるし!)
目目連も家鳴も浮き足だっている。
何せこれは対決だ、相手より少しでも多く、できるだけ効果的に役立たねば。
(はぁ、まったく)
過剰な執着、介入、その連続は不穏な気配を孕み始めている。
座敷童子は、どこか不安そうに部屋を見回した。




