59-06.新体験
「増々強くなってるじゃない」
そうね~。驚きね~。
アリアはヴァガル帝国の武闘大会に参加した時点と比べても格段の成長を遂げていた。これは本当に想像以上の成長速度だ。今ならノアちゃんの相手だって務まるだろう。
ノアちゃんもウカウカしていられないわね。
アリアは手慣れた様子で生徒たちを鍛え始めた。
生徒たちも素直に教えを受けている。
今更実力差の実感なんて必要ないのかもしれないけれど、それでも最初に圧倒的な差を見せつけておくことで、生徒たちの欲求を上手く刺激してあげたようだ。
皆必死に食らいついている。成果が楽しみだ。
「行きましょうか」
「そうね」
アストレアとカイルちゃんにも目配せして後を頼み、私はセレネと二人でその場を離れた。
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「それでセレネは何か相談事かしら?」
「私も半神になりたいの」
……言うと思ってた。
「今更気にすることもないじゃない」
そうやって予防線を張るところが自分でも無理だと思っている証拠じゃない。
「カノンにも同じこと言ってみた?」
「言えるわけないわ」
「ならダメでしょ」
自分でその理由をよくわかっているんじゃない。
言えるわけないってそういうことでしょうに。
「『ILis』を使って試すくらいなら良いわよね」
「良いけどさ」
「アルカがやって」
「仰せのままに」
セレネの身体設定に手を加えようとコンソールを開く。
「そうではないわ」
「え? 直接変えるの?」
「ええ。試してみて頂戴」
拘るわねぇ~。単なるごっこ遊びなのに。
「ならニクスにでも聞いてみましょうか」
先ずはやり方を調べないとね。今の私にはハルちゃんたちもいないわけだし。
取り敢えずNPCニクスを召喚して……と。
「半神にする方法? そんなのアルカが完全な神に至らないと無理だよ。守護神システムのサポート機能を使うって手もあるけど……」
このニクスお喋りね。普段は「禁則事項です♪」って言いそうなことでもペラペラ喋ってくれるわね。
「なんで無理なのよ。アルカは半神どころか神まで生み出しているのよ? 半神化くらい自分で出来るでしょ?」
「それはシイナたちの力であって、アルカ自身のものではないでしょ」
「シイナはアルカの一部じゃない」
「知識と技術はアルカの一部になってないじゃんか」
なんかセレネとNPCニクスが盛り上がってる。議論が白熱し始めてる。
私はこのまま様子を見ていればいいのかしら?
「アルカもなんとか言ってよ!」
「アルカもなんとか言いなさい!」
仲良しね。この神様と聖女様。
「ニクスがセレネを神にすればいいんじゃない? 今のニクスなら出来るでしょ?」
「アルカにやってもらうと言っているじゃない!」
「けどほら。セレネはニクスの聖女だし」
「あなたの正妻よ!」
つおい。
「ならニクス。力を貸して。ニクスが一時的に融合してくれれば私に力が宿るでしょ」
「良いよ。もちろん。面白そうな試みだね♪」
「念のため聞いておくけど、ここに居るニクスはあくまで『ILis』上に再現されたNPCで間違いないのよね? その力も再現された偽物よね? 外に出れば綺麗さっぱり無くなるわよね? 何の影響も残さないのよね?」
「そりゃそうだよ。アルカが一番よくわかってるでしょ。私の神としての本質は封じられているって。私はあくまで精巧に再現されただけの偽物だよ」
本当に大丈夫かしら。前にそれでやらかしているのよね。
「どうせなら私と融合しなさいよ。それでも半神になるのは同じじゃない」
「それもそうね」
セレネとの融合体験だけなら心配も要らないかしら。
目的が少しズレてきている気もしなくはないけれど。
「なら私はこれで」
「何言ってるのよ。NPCが勝手に帰ろうとすんじゃないわよ」
セレネはニクスの肩を掴んで引き止めた。
「あんたも付き合いなさい。イロハたちがいないんだから調整役が必要でしょ」
「良いの? 私も融合するってことでしょ?」
「そう言ってるじゃない」
「ありがとう♪ セレネ♪」
……本当に大丈夫?
このニクス、NPCにしては妙に感情表現豊かじゃない?




